新車試乗レポート [2023.01.09 UP]
【BMW 3シリーズ】マイナーチェンジの見どころと新技術【石井昌道】
BMWのコアモデルである3シリーズがモデルサイクル半ばのマイナーチェンジを受けた。
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いまのところ比較的にベーシックに近い320iエクスクルーシブにしか試乗していないが、見事な乗り味。3シリーズらしいスポーティさだけではなく、快適性も高いので誰にでもオススメしたいモデルだ。
そもそも7代目となるG20型3シリーズがデビューしたのは2019年。その前型のF30型3シリーズはスポーティさと快適性のバランスが高い優れたモデルだったが、G20型はスポーティさを大いに引き上げてきた。というのも、アルファ・ロメオ・ジュリアやジャガーXEなど新たなライバルが出現し、3シリーズの牙城を狙おうとかなりスポーティな仕上げにしてきたから。そこで負けるわけにはいかないと、気合いを入れたわけだ。
5シリーズから採用が始まったCLARと呼ばれる新世代プラットフォームを採用することで、ホワイトボディは約50kg軽量化しながら剛性が高まった。
さらに、フロントサスペンション取り付け部にアルミダイキャストを採用して、フロント周りの剛性は50%も高まった。F30型でもハンドリングに不満などなかったが、G20型はフロント周りの圧倒的な剛性感は乗れば即座にわかるレベル。ステアリングを切り始めた瞬間から正確無比にノーズが動いていく感覚が素晴らしい。
新型3シリーズ
また、全体的な剛性を高めたことでスプリングレートを高めることが出来たので、操縦安定性も高まった。こうしてスポーツセダンのトップであることを証明してみせたG20型だが、日本で発売された当初は乗り心地が硬めであることが目に付いた。
というのも、最初に日本導入されたのは330i Mスポーツでスポーツサスペンションを装着したかなりスポーティな仕様であるのに加えて、タイヤがランフラットだったからだ。3シリーズは5代目のE90型から全車ランフラット・タイヤを装着し、その前提でシャシーも開発されていたが、G20型ではそれを改めてスタンダード・タイヤが標準でランフラットはオプションになった。
ランフラットにはメリットも多いが重量増が避けられず、CO2排出量がシビアで燃費重視の時代には合わなくなってきているので、採用が減ってきているという背景がある。また、日本では高級な部類の3シリーズだが、欧州では装備が少なくてリーズナブルなモデルも売られていて、タイヤ交換の際にランフラットではユーザーの負担が大きいことを配慮した面もある。じつは日本での発売前に欧州でG20型を試乗したときにはスタンダード・タイヤが装着されていたので、乗り心地の硬さはあまり感じなかったのだが、日本仕様はたしかにちょっと硬かった。
後にラインアップに加わった320iエクスクルーシブなどは330i Mスポーツほどには硬くなく、ランフラットは履いているものの本来の3シリーズの乗り味が感じられるようになった。マイナーチェンジ後のモデルはさらにバランスがいいのだ。
G20型ではオプションで電子制御の可変ダンパーを選択することもできるが、じつはコンベンショナルなダンパーに凝った機構が採用されている。開発エンジニアはそこもG20型のストロングポイントの一つだと強調していた。
形状を工夫することでストローク依存型の可変ダンパーとなっているのだ。フロントは伸び側、リアは縮み側で作用する仕組みで、ストローク初期は柔らかく、17mm程度から徐々に硬くなっていく。これによって、スポーティさを存分に引き上げながら、普段乗りの快適性も確保しているのだ。
また、コーナーでステアリングを切り込んでいくと、最初はスッとロールが始まりながら、じょじょに粘りを見せるような挙動になっていて、コーナリングのプロセスのわかりやすさと操縦安定性を両立。誰もが、運転が上手くなったように感じられる3シリーズ特有の一体感の源にもなっている。
新型3シリーズ
新型の320iエクスクルーシブではその良さが大いに生きているので、誰にでもオススメしたいと思ったのだ。
M3をのぞくトップモデルのM340i xDrive、ディーゼルの良さが存分に味わえる320d xDriveなども魅力的だが、318iや320iエクスクルーシブなどベーシックなモデルにもG20型本来の味が色濃く反映されている。2.0L直4のガソリン・ターボの抜群のドライバビリティも見事。素の良さを味わうならむしろこういったモデルのほうがわかりやすいほどなのだ。
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