もくじ
ー 7人乗りコンパクトSUV
ー 力強く、剛性も高い
ー オフロード性能は限定的
7人乗りコンパクトSUV
メルセデスが「ベイビーG」と説明するこの新型SUVにはたしかにGクラスに通じる部分を感じさせるが、その宣伝を鵜呑みにしてはいけない。主張の激しいエクステリアデザインは確かに共通要素が見られるが、Gクラスと異なるのは3万ポンド(426万円)からという価格だけではない。
まず第一に、GLBはメルセデスがAクラスなどにも使っているMFAプラットフォームを延長したものを使用している。しかし、Aクラスよりもホイールベースが100mm延長され全長は4.63mに達している。これは間も無く登場する2代目GLAより明らかに大きく、GLCよりは若干小ぶりだ。GLAは確かに成功したが、メルセデスはアウディQ3、BMW X1、ボルボXC40よりも室内空間が足りないと考えていることがわかる。
メルセデスのコンパクトセグメント車のテストを統括するヨッヘン・エックは「われわれには室内の広いクルマが必要です。日常使いでの利便性はもちろんのこと、必要とあれば7人が乗車できることが求められます」と語る。
GLBの発売は今年第4四半期に予定されていることから、今回われわれが試乗する機会を与えられたのはカモフラージュの施されたプロトタイプだ。
市販型のGLBは先月発表されたコンセプトとおおむね共通のボディが与えられているが、その細部はオフロード性が大きく削られている。われわれに貸し出されたGLB250 4マティックは英国では当面の間もっともパワフルなグレードとなる。2.0ℓのM264型4気筒ユニットは224ps、34.3kg-mを発揮する。今年後半に登場するAMG GLB35はさらにハイパワーになる見通しだ。
力強く、剛性も高い
われわれは2月下旬にスウェーデン北部の過酷なコースで試乗を行なった。氷点下の気温に加え、大量の積雪の中でテストが行われているのだ。
このクルマはシルが低く、ドア開口部も大きいおかげで乗降性は良好だ。インテリアの大部分はカバーがかけられているが、そのデザインは新型Aクラスとおおむね共通だ。前席のサポート性は高く、着座位置の高さゆえ視界も良好だ。
リアシートのレッグルームも広く、前後に140mmの可動幅を持ち、40/20/40の分割可倒式だ。側面ガラスはほぼ垂直で、ルーフラインも傾斜がないためヘッドルームはクラス最高レベルだ。英国ではオプションで用意される3列目シートは大人にはやや狭いが、不要時には収納可能だ。
走り出してみると、エンジンは力強く扱いやすい。機械的洗練性はGLBの特徴のひとつであり、より上級モデルともそう大きな差はない。ボディ剛性は高く、Aクラスと同等の強度を持つという。
4マティックのグレードを選択すれば、標準で8速DCTとマルチプレート・クラッチ式4WDシステムがエンジンパワーを伝達する。3つのドライブモードにより、前後駆動配分を調節することが可能だ。
オフロード性能は限定的
GLBは氷結路でも十分なトラクションを持つ。MFAプラットフォーム採用車では最も車高が高いが、それでも重心はこのクラスとしてかなり低く抑えられているとのことだ。
印象的であったのは、その穏やかな乗り心地だ。他のコンパクト・メルセデスよりもホイールベースが長く取られていることから、その走りは非常に穏やかだ。フロントにマクファーソン・ストラット、リアにマルチリンク式という組み合わせの足回りによる段差のいなし方も見事だ。
ただし、車高がそれほど高くないためオフロード性能については限定的だ。これについてエックは「オフロードを重視してさらに最低地上高を高めることも可能でしたが、お客様はそれを求めていないでしょう。このクラスではオンロードでの走りの方が重要なのです」と説明した。
エックはコンセプトで示されたようなオフロード・パッケージの設定について否定はしなかった。しかし、発売時点での用意はないとのことだ。車高調整機能や低速ギアなどのような真のオフロード向け機能がないという点で、ベイビーGとは言い難い。しかし、今回試乗した限りでは、コンパクトSUVとしては非常に競争力の高いクルマと言えそうだ。
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