乗用車を置き去りにできる発進加速
今回試乗したのは、電動スクーターのヤマハ・ネオス(NEO’S)。50ccの原付きスクーターに相当し、英国仕様では45km/hに最高速度が制限されている。取外し可能な駆動用バッテリーを搭載し、航続距離は38kmがうたわれている。
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英国価格は3005ポンド(約50万円)と、電動スクーターとしてはお手頃。月額約40ポンド(約7000円)でリースすることもできる。毎月の呑み代を数回削れば、充分まかなえる金額といえる。
2022年3月、ヤマハは電動化に対する未来像を発表し、次のステップを進み始めた。今回試乗したネオスは、その最初のモデルとなる。オランダ・アムステルダムで、仕上りを確かめてみた。
ネオスは新設計となるが、シート下に収納ボックスが備わる点は従来のスクーター的。だが、クルマのドライビングモードに当たる、ライディングモードは2種類が用意され、キーレス・イグニションを装備する。タイヤは大きめの13インチを履く。
バッテリーの充電時間は、英国家庭のコンセントなら0-100%で約8時間。20-80%なら約4時間でまかなえる。急速充電機能は備わらない。ブルートゥースによるスマートフォンとの接続機能も付いている。
最高速度は45km/hでリミッターが掛かるが、平坦な場所でフルスロットルを与えて、46km/hまでは出せた。最初の50m程度は、非常に勢いよくスタートダッシュを決めてくれる。赤信号からの発進時は、乗用車を置き去りにできるほど。
航続距離はバッテリー2本で67km
エコ・モードを選択すると、最高速度は40km/hに制限される。一部の都市では、むしろ好都合な場合もあるだろう。エコ・モードとノーマル・モードとの切り替えは、簡単にできる。
自転車やスクーターに対しての道路整備が進んだアムステルダムでは、45km/hの制限速度でも不満は特に感じられなかった。だが、ロンドン中心部ではもっと速く走りたいと感じるかもしれない。
ネオスの航続距離はノーマル・モードで最長37km、エコ・モードで38.6kmが主張されている。1本8kgある駆動用バッテリーは2本まで搭載でき、その場合は67kmまで走れる。英国では980ポンド(約16万円)のオプションだ。
駆動用バッテリーの残量が20%へ低下すると、タートル・モードへ切り替わり、消費電力を可能な限り抑えてくれる。その状態で、30kmほどは走れるという。
今回の試乗車には、2本のバッテリーが搭載され快調だった。1本目のバッテリーがタートル・モードになる手前で、自動的に2本目のバッテリーへ切り替わる。
小さなメーター用モニターがハンドル中心部に据えられ、バッテリーの残量を確認できる。だが、航続距離は表示されない。マイライド・ヤマハと呼ばれる、スマートフォン用アプリで確かめる必要がある。
このアプリは使い勝手が良く、簡単にネオスと接続できるだけでなく、航続距離も正確にわかる。バイクはコーナリング時にボディを傾けるが、そのリーン角度も確認できる。ネオス仲間とルートを共有することも可能だ。
優れた製造品質や長い経験が反映
今回は、日中に48.7kmを走行した後で、24.9kmぶんの電気が残っていた。合計するとメーカーの公表値より航続距離は長いことになり、性能は上々といえる。午前中に試した時は合計62.4kmだったから、気温や乗り方などで変化することもわかる。
バッテリー1本だけの場合、最高速度で連続して走ったり急な丘を駆け登ると、25km程度まで航続距離は短くなる。価格は安くないが、2本目のバッテリーは欲しいところだ。
ただし、原付スクーターに乗るのは主に都市部で、通学や通勤などが中心となるはず。多くのユーザーにとって、往復で1日20kmも走れれば充分とはいえる。ヤマハも、それを前提としている。
ブレーキはフロントがディスクで、直径200mm。リアはワイヤーで操作するドラムブレーキとなる。車重98kgのスクーターを45km/hから減速するのに、充分な制動力が得られる。サスペンションは上質で、減速時に姿勢が乱れることはない。
ネオスが搭載するシステムはシンプルで、ABSは備わらない。トラクションコントロールも付いていない。
ネオスの価格は中国製の電動スクーターと比べると割高ではあるが、ヤマハとしての優れた製造品質や長い経験が活かされた結果といえる。KYB社製のサスペンションは、市街地で乗るスクーターに好適。タイヤのグリップ力にも不安はない。
少しコーナーを積極的に走り、ネオスを27度まで傾けたが終始安定していた。スタンドが地面に擦ることもなく、125ccスクーターのような安心感すらあったほど。
クラスベストといえる完成度
ヤマハ・ネオスは、優れた電動スクーターだといえる。乗り心地に優れ、軽量で機敏で、駆動用モーターは静か。魔法のじゅうたんのように滑らかに進む。ブレーキの効きは良く、加速も鋭く扱いやすい。
エンジン音のないスクーターの場合、ボディやサスペンションのノイズが目立ってしまうものだが、そんな雑音もない。バイクを理解したヤマハだけあって、プレミアムな質感すら備わっている。
スマートフォンを置ける小物入れには、12Vのソケットも付いている。SUBポートはオプションだ。シート後方に追加できる、34Lのラゲッジボックスも用意されている。
最高速度は45km/hだが、基本的にこのクラスのスクーターにはすべて同じ制限がかかる。航続距離は短いといえ、アクティブな大学生や働き盛りの青年にとっては、1本のバッテリーで走れる37kmは不足気味かもしれない。
2本目のバッテリーで航続距離は伸ばせる。だが、980ポンド(約16万円)は気軽に買える金額ともいえない。
電動スクーターの人気は上昇中。ヤマハの販売台数の推計も、それを示している。クラスベストといえる品質や完成度を持つネオスも、広く受け入れられるだろう。唯一、航続距離が気がかりではあるけれど。
ヤマハ・ネオス(NEO’S/欧州仕様)のスペック
英国価格:3005ポンド(約50万円)
全長:1875mm
全幅:695mm
シート高:795mm
最高速度:45km/h
0-100km/h加速:−
航続距離:38km(シングルバッテリー)
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:98kg(シングルバッテリー)
パワートレイン:3相同期モーター
バッテリー:8.9kWh
最高出力:3.4ps
最大トルク:13.8kg-m
ギアボックス:−
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