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【全ドライバー独自採点/F1第22戦】不運なルクレールと運に恵まれ続けるフェルスタッペン

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【全ドライバー独自採点/F1第22戦】不運なルクレールと運に恵まれ続けるフェルスタッペン

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はラスベガスGPの週末を振り返る。

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【全ドライバー独自採点/F1第21戦】ライバルが学ぶべきテクニックを披露したアロンソ。前戦のミスを挽回した角田裕毅

 路面のグリップが低く、ヘビーブレーキングが必要なエリアを備えた、新設ストリートサーキットは、ドライバーに大きな挑戦を突き付けた。コース上で完全に満足いく走りができたと感じてラスベガスを後にしたドライバーは、非常に少なかっただろう。

■評価 10/10:勝利は逃すも、週末を支配したルクレール

シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選1番手/決勝2位

 そんな中で際立って優れていたのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)だった。彼は週末を支配したが、セーフティカーのタイミングがルクレールには不利に、レッドブルふたりには有利に働いた。そのため、ルクレールは、その仕事に相応しい勝利を手にすることができなかった。

 ルクレールは再びポールポジションを獲得、しかし決勝スタート直後にマックス・フェルスタッペンにコース外に押し出され、しばらく2番手を走らざるを得なかった。それでも優れたタイヤ管理で、ピットストップ前にフェルスタッペンを抜き去り、その後、ギャップを約4秒まで拡大した。セーフティカーが出動する少し前にタイヤ交換を済ませており、ステイアウトしたことで、その時点ではトップの位置を維持したが、いずれフェルスタッペンとセルジオ・ペレスに抜かれるものと予想された。

 実際、ライバルよりも古いタイヤを履いていたルクレールは、見事なディフェンスを見せながらも、ロングストレートでレッドブル勢に抜かれてしまった。ところが最終ラップで、見事にペレスの前に出ることに成功したのには驚かされた。シーズン最高レベルの、素晴らしい追い抜きだった。

■評価 8/10:運がことごとく味方する今年のフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選3番手/決勝1位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選17番手/決勝4位

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はいつもどおりの高レベルのドライビングを披露した。ただ、低いグリップの路面の影響で、通常よりもペレスとの差は小さかった。予選でフェラーリ勢にかなわなかったフェルスタッペンは、スタート直後に強引にトップに立ち、その行為にふさわしい5秒ペナルティを受けた。ペナルティによって、ルクレールに約4秒の遅れを取り、さらに間には2台が挟まっている状況であり、セーフティカーが出動しなければ、フェルスタッペンは2位に終わっていただろう。今シーズンを通して、運がことごとくフェルスタッペンの味方をしている。ジョージ・ラッセルとのクラッシュでもRB19は大きなダメージは負わず、その上、彼に有利なセーフティカーがもたらされた。今年のフェルスタッペンは常にツイている。

 予選Q1終盤にフェルスタッペンとの間で起きたインシデントによって、エステバン・オコン(アルピーヌ)は、そのまま敗退せざるを得なかった。しかしオコンは決勝で大きく挽回してみせた。スタート直後のターン1で起きた混乱を利用して、1周目で8つポジションを上げ、ライバルたちより遅くピットストップを行って、12番手から再開。セーフティカーでステイアウトせざるを得なかったが、素晴らしいタイヤマネジメントでペースを保ち、ピエール・ガスリーをパスした後、4位をつかんだ。

■評価 7/10:表彰台も、2戦連続最終ラップでライバルに負けたペレス

セルジオ・ペレス(レッドブル):予選12番手/決勝3位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選2番手/決勝6位
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選4番手/決勝8位
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選11番手/決勝7位
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選14番手/決勝5位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選19番手/決勝10位
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選9番手/決勝13位

 セルジオ・ペレス(レッドブル)は、2戦連続、最終ラップでポジションを落とした。予選Q2では予想以上の路面の改善に足をすくわれて敗退。決勝スタートでは、ターン1でバルテリ・ボッタスに衝突してフロントウイングに損傷を負い、修理のためにピットインしなければならなかった。だが、次の20周でオコンやルイス・ハミルトンを含む5台をパス、ライバルたちのピットインでペレスはトップに立った。タイミングよく26周目にセーフティカーが出るという幸運に恵まれ、通常なら7番手に落ちていたところを、フリーピットストップで2番手に。しかし、チームメイトとはほぼ同じ使用履歴のタイヤ、ルクレールよりも5周新しいタイヤで、ふたりに敗れてしまった。

 カルロス・サインツ(フェラーリ)は、ラスベガスで最も不幸な男だった。サーキットの路面の故障によって、週末が台無しになったのだ。壊れて作り直されたマシンで週末の残りを過ごさなければならず、完全に不当な10グリッド降格ペナルティを受けた。そしてダメージによってフェラーリが負う損害は約400万ユーロ(約6億5000万円)に上る。

 ポールポジション争いでチームメイトに僅差で敗れたサインツは、決勝スタートで、ターン1入口においてハミルトンを巻き込みながらスピンした後、3周目にピットインしてハードタイヤに交換、セーフティカー出動時には6番手、フリーストップを得た10番手からリスタートし、4つポジションを上げて6位を獲得した。

 ジョージ・ラッセル(メルセデス)は予選で見事な結果を出し、3番グリッドからスタート。しかしタイヤ管理をうまくやれず、15周目にピットインしなければならなかった。明らかにラッセルの過失により、フェルスタッペンと接触し、W14が損傷を負ったが、フリーストップの機会を得て、フレッシュタイヤに交換することができた。5秒ペナルティを科されながら、アレクサンダー・アルボンの後ろで大量の時間をロスした後、ランス・ストロールとオコンを楽にパス(彼らはペナルティを考慮して抵抗しなかった)、4位でフィニッシュしたラッセルは、8位に降格された。

 ルイス・ハミルトン(メルセデス)は、悪夢のような予選を過ごし、2セット目のタイヤの温度をうまく上げられずにQ2で敗退した。決勝ではターン1でサインツにヒットされて15番手に後退。17周目にタイヤ交換を行って18番手で復帰したハミルトンは、セーフティカーによりフリーストップを得た後、コース上で9つポジションを稼ぎ、ラッセルのペナルティでさらにひとつ上げて7位を獲得。週末を困難な形でスタートしたが、最終日には素晴らしい走りを披露した。

 ランス・ストロール(アストンマーティン)は、今回はチームメイトよりも多くのポイントを稼いだ。予選ではアロンソより0.5秒遅く、Q2で敗退。決勝ではターン1での混乱に幸運にも巻き込まれず、9番手までポジションアップした。3周目の最初のセーフティカー中にタイヤ交換を行い、26周目に再びセーフティカーが出動した際にフリーストップを得た。7番手で復帰したストロールは、アルボンとの長い戦いに勝利し、タイヤに苦しんでいたガスリーをオーバーテイクし、5位を手にした。

 オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は今回、ほとんど報われない週末を過ごした。予選ではノリスよりも苦戦し、19番手どまり。しかし決勝スタート直後の混乱を利用して大幅に順位を上げ、13番手に浮上。序盤のセーフティカーで他車がピットインしたことで、ピアストリはさらに順位を上げ、マグヌッセンを抜き、16周目に最初のタイヤ交換を行い、見事なオーバーテイクを繰り返した後に、ハミルトンとの接触が起きた。マシンに小さなダメージを負い、2度目のピットインを済ませた時点で11番手。そこからガスリーを抜き、ファステストラップを記録して、2ポイントを獲得した。

 ケビン・マグヌッセン(ハース)がセクター1で見せた速さに誰もが驚いた。予選中、そこで彼より速かったのは、フェラーリ2台だけだったのだ。マグヌッセンが、タイヤの温度を適切に上げることができていたことの表れだ。それによって8番グリッドを獲得、ターン1の混乱に巻き込まれなかったが、いつもどおりタイヤのデグラデーションにより、ポジションを落とし始めた。14周目にピットインして、26周目にはフリーストップを得たものの、大きな助けにはならず、今回もまたポイント圏外という結果に終わった。

■評価 6/10:珍しくスピンを喫したアロンソ

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選10番手/決勝9位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選5番手/決勝11位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選6番手/決勝12位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選7番手/決勝16位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選8番手/決勝17位
ダニエル・リカルド(アルファタウリ):予選15番手/決勝14位

 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がターン1でスピンするシーンを見るのは非常に珍しいことであり、このサーキットのグリップレベルがいかに低いかを示す出来事だった。アロンソは予選ではQ3に進出したものの、終盤のラップでベストの走りができず、9番グリッドからのスタートに。2番目のセーフティカーまではあまり順位を上げられず、12番手から再開し、タイヤのグリップを失っていたガスリーを抜き、ハミルトンを抑えきることはできなかったが、ピアストリの終盤のピットストップにより、9位を獲得した。

 素晴らしい週末を送ってきたピエール・ガスリー(アルピーヌ)だが、決勝17周目にタイヤを履き替えた後、タイヤをプッシュしすぎたことで、良い流れが断ち切られた。ハードタイヤの2セット目がなかったために、2回目のセーフティカー出動時にフリーストップを利用せず、1回ストップで走った。序盤はグリッド位置の4番手を守り、他車がピットストップをしたことにより、一時は3番手に浮上。しかし最後の24周で、タイヤのグレイニングに苦しみ、急激にポジションを落とした。

 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は予選で6番手という素晴らしい結果を出した。決勝ではいつもどおり、見事なディフェンスを披露、しかしライバルたちよりもタイヤのデグラデーションが進むのが早く、アルボンはトップ10圏内の位置を維持することができなかった。

 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は、非常にポジティブな週末を過ごした。予選でアルボンに続く7番手を獲得したのだ。しかし決勝ではタイヤのデグラデーションがひどく、16位まで順位を下げた。

 バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にとっての今回のハイライトは予選だった。ローグリップ・エキスパートのボッタスだが、決勝スタート直後のアロンソやペレスとのインシデントの犠牲になり、リヤウイングに大きなダメージを負ったまま走り続けなければならず、苦しい一日となった。

 AT04がラスベガスで苦戦するなか、ダニエル・リカルド(アルファタウリ)は、予選Q2に進出。しかしレース中にポジションを上げることはできず、後方を走り続け、ポイント圏外から遠い位置でフィニッシュした。

■評価 5/10:角田裕毅にとって忘れてしまいたい週末に

周冠宇(アルファロメオ):予選18番手/決勝15位
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選13番手/決勝リタイア(19位完走扱い)
角田裕毅(アルファタウリ):予選20番手/決勝リタイア(18位完走扱い)

 周冠宇(アルファロメオ)は、予選で苦戦したが、決勝では多少パフォーマンスが上向き、ポジションを少し上げた。ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)と角田裕毅(アルファタウリ)にとっては、忘れたい週末だった。ふたりは、予選でも決勝でも、チームメイトより劣っていたし、ポイント争いに加わることもできなかった。

■評価 4/10:高速クラッシュで週末を終えたノリス

ランド・ノリス(マクラーレン):予選16番手/決勝リタイア

 ランド・ノリス(マクラーレン)は、3周目の高速クラッシュで怪我をせずに済んで本当に幸運だった。ノリスは週末を通して悩んでいたバンプでコントロールを失って、ウォールにヒットした。マクラーレンは予選で力を発揮できず、Q1とレースでは戦略もうまく遂行できなかった。

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