現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 航続距離1000kmの近未来 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX 試作車へ試乗 前編

ここから本文です

航続距離1000kmの近未来 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX 試作車へ試乗 前編

掲載 8
航続距離1000kmの近未来 メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX 試作車へ試乗 前編

1007kmを1度の充電で走破したEQXX

メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXXは、クルマの現実的な未来といえる。新しい鋳造製法による軽い車体がまとう滑らかなフォルムに、転がり抵抗の少ないタイヤと細いホイール。高効率な駆動用モーターと、最新の駆動用バッテリーを載せている。

【画像】近未来のメルセデス・ベンツ ビジョンEQXX 最新のEQSとEQE、Sクラスも 全93枚

このクルマのミッションは、今後の量産モデルへ展開できる技術開発を、エンジニアへチャレンジさせること。自動車業界全体に訪れた大変革期にあって、世界最古の自動車メーカーが最前線に留まれるよう、取締役会によって推進されたという。

構想と開発に費やされたのは、約2年間。そのミッションが、カタチとして姿を表したというわけだ。

ビジョンEQXXは先日、ドイツ・シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ開発センターから、フランス南岸のニースにある同社のデザインスタジオまで、1度の充電で走り切った。充電ポートが封印された状態で。

その距離、1007km。平均速度は87.3km/hで、電費は11.5km/kWhだった。現在の純EVの、倍以上の効率を持つ。ニースに着いた時点では、まだ140km走れる電気が残っていたそうだ。

ちなみに、90.6kWhの駆動用バッテリーを搭載するメルセデス・ベンツEQEの電費は、5.3-6.2km/kWh。航続距離は659kmがうたわれている。

ビジョンEQXXの凄さが伝わってくる。ニースまで走った日は平均気温が3度と低く、区間によっては風が強く雪も舞っていたというから、ベスト・コンディションだったとは決していえない。

滑らかで前後に長く未来的なルックス

ビジョンEQXXは、メルセデス・ベンツのデザイナーと空気力学を専門とする技術者によって、ボディデザインが導かれている。滑らかで前後に長く、とても未来的なルックスだ。テールまわりは、2015年のコンセプトカー、IAAにも通じている。

フロントノーズは低く傾斜し、ボンネットは短め。ホイールアーチが大きくフェンダーが丸く膨らみ、スポーツカーのようにも見えると思う。

空気抵抗を極力抑えつつ、一般的な量産車と同等の車内空間や実用性も与えられている。ボディには、フロントヒンジのドアが4枚備わっている。

長年ブランドらしさの象徴でもあったフロントグリルは、バンパーへ吸収された。よく見ると、細かく丸いテクスチャーが与えられている。スリーポインテッドスターは、ボンネットの上。左右へつながった細いヘッドライトは、LEDだ。

サイドミラーは小さなカメラではなく、従来的な鏡が用いられた。既存モデルより遥かに小ぶりだが、カバーの形状が工夫され空気抵抗は良いそうだ。

フロントガラスの位置は前寄り。キャビンは滑らかに後方へ向けて絞られていく。一方でショルダーラインは、リアタイヤに向けて膨らんでいく。左右タイヤの間隔、トレッドは、リアがフロントより50mmも狭い。

ホイールは20インチ。ホイールハウス内の気流を最小限に抑えるため、専用デザインのディッシュタイプになっている。タイヤは185/65というサイズのブリヂストン・トゥランザ・エコ。素材は、ビジョンEQXXのために特別配合された。

空気力学に優れたボディのCd値は0.17

スタイリングで一番印象的なのは、リア周りだろう。細長いテールライトが、ボデイ両サイドの下から大きなアーチを描いている。下部にはディフューザーが付いていて、ドラッグを減らす目的で伸縮できるようになっている。

空気抵抗を示すCd値は0.17と、驚くほど低い。メルセデス・ベンツが公道用ナンバーを取得したクルマとしては、過去最小値とのこと。

これに貢献しているのが、小さな正面面積。2.12平方メートルしかない。空気力学の技術者、テディ・ウォル氏が説明する。「典型的な高速道路では、バッテリーのエネルギーの最大65%が空気抵抗によって消費されます」

参考までに、メルセデス・ベンツEQS 450+の場合、Cd値は0.20。正面面積は2.51平方メートルある。

ビジョンEQXXの全長は4977mmで、全幅が1870mm、全高は1350mm。EQSより31mm長く、91mm狭く、162mm低い。ホイールベースは2800mmとのことで、310mmも短い。

ボディ構造にカーボンファイバーを、ブレーキディスクにアルミニウムなどを採用し、車重は1755kg。このサイズの純EVとしては、かなり軽いといえる。

メルセデス・ベンツ・デザインセンターの駐車場を軽く流している限り、ビジョンEQXXは非常に静か。車内にはレザーシートが4脚据えられている。速度が高まるほど、駆動用モーターから電気的な唸り音が響くようになる。

といっても、現在販売されている一般的な純EVと質感的には遜色がない。メルセデス・ベンツの量産モデルのよう、といっても過言ではない。

この続きは後編にて。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
ベストカーWeb
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース

みんなのコメント

8件
  • そりゃ、電費最優先の設計と軽量素材てんこ盛り、専用の車格には合わない細いタイヤ、これだけのもの詰め込んで記録出せなきゃおかしいでしょ。
    問題は、社会に普及出来るだけの価格で量産できるのか・肝心の充電時間はどれ位になるのか・・・
    このままじゃ、ただのコンセプトカーと変わらないよ。
  • そら大容量のバッテリーを積み込み、千万円単位の値付けが出来るメーカーにとっては簡単な事ですわ。

    しかしドイツの速度無制限アウトバーンを200㌔以上の速度で爆走してEVで移動すりゃ、バッテリーの減りに失望して好き者富裕層のセカンドカー以外は次はEV買わんだろうな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

379.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
ビジョンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

379.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村