現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【最新スーパースポーツ試乗】公道走行も可能なサーキット専用マシン、フェラーリSF90XXの1030psパワーをフィオラノで解き放った!

ここから本文です

【最新スーパースポーツ試乗】公道走行も可能なサーキット専用マシン、フェラーリSF90XXの1030psパワーをフィオラノで解き放った!

掲載 1
【最新スーパースポーツ試乗】公道走行も可能なサーキット専用マシン、フェラーリSF90XXの1030psパワーをフィオラノで解き放った!

サーキットを安全に速く走るコツ、それは限界点の把握

 私にとって、サーキット走行は本質的に怖いものである。何しろ、今日のスーパースポーツは、いたって簡単に200km/hを超える。したがって、何かあればタダでは済まない。だからといって無難に済ませてしまえば後悔が残る。そもそもクルマの評価ができない。

【最新スーパースポーツ解説】本籍はサーキット、公道も走れるトラック専用マシン、フェラーリSF90XXの熱きポテンシャル

 安全かつ確実に、でも限界ギリギリの性能を引き出すにはどうしたらいいのか。そのほとんど唯一の答えが、クルマの限界点をわかりやすく知らせるロードインフォメーションにあると私は信じている。

 自分がいま、崖っぷちにどれだけ近づいているのか。もしくは、崖っぷちからどれだけ離れているのか。これさえ正確に認識できれば、奈落の底に落ちる心配はない。サーキット走行もこれと同じである。自分のペースがクルマの限界にどれだけ近づいているのかを正確に理解していれば、スピンしたりコースアウトしたりすることはない。つまり、それだけ安心して「崖っぷち」に近づけるということ。だから私は、ロードインフォメーションの量と質が、スポーツカーにとって重要な性能のひとつであると捉えている。

SF90XXは饒舌かつ圧倒的なパワーでドライバーに語りかける

 システム最高出力1030psを誇るV8ツインターボ+モーターのPHEVスポーツ、フェラーリSF90XXストラダーレの国際試乗会は、ある意味でロードインフォメーションの量と質を試すのに絶好の環境で行われた。試乗会が行われたのは北イタリアが冷たく凍え始める2023年11月初旬。フェラーリのテストコースとしても名高いフィオラーノ・サーキットは、この日、前日からの雨で路面がじっとりと湿っていた。基本的にトラック専用マシンのモンスターと対峙するのに、これほど「おあつらえ向き」なコンディションはそうはない。

 私の不安などお構いなしに、先導車を操るフェラーリのテストドライバーは勢いよくコースインしていった。私に選択の余地はない。彼との距離を1cmでも縮めるべく、スロットルペダルをフロアまで踏み込んだ。

 想像と違って、そんなときでもSF90XXはタイヤを空転させることもなければテールを左右に振り出す素振りも見せない。まっすぐに、けれども恐ろしい瞬発力(0→100km/h加速データは2.3秒)を発揮しながらメインストレートを加速していった。

 クルマの感触を確認するひまもなく、目の前に1コーナーが迫ってくる。さすがにこのときは丁寧にブレーキングしてステアリングを切り込んだが、先導車はもうS字コーナーを目指して加速を始めている。私は、またしてもスロットルペダルを深々と踏み込んだ。

 その瞬間、目の前に「重力の落とし穴」が現れて、そこにクルマもろとも吸い込まれていくかのような圧倒的な加速を味わった。微低速でフルパワーを発揮すればタイヤが容易にグリップを失うのは当然のこと。そこでスタート時は頭脳明晰なトラクションコントロールが私に気づかれないように介入し、エンジンパワーを絞って最大限の加速度と安定度を確保してくれたのだ。一方で、車速がある程度、乗っていれば、そう簡単にタイヤがグリップを失う恐れはない。そこでSF90XXは、1コーナーの立ち上がりで初めてV8ツインターボと3モーター式PHEVシステムの底力を解放したのである。

 SF90XXで本当に素晴らしいのは前述したロードインフォメーションの質の高さ、そして量の豊富さにある。おかげで、1ラップ目のS字コーナーで早くも私はリアタイアが「むずかり始めている」ことに気づいた。そこから左にステアリングを切り込めば、フロントタイヤのグリップが抜けかける様子がステアリングから伝わってくる。しかも、そのどちらもが、実際にタイヤが滑り始めるはるか手前から私に注意を促してくれるのだ。これくらいたっぷりとしたマージンが与えられれば、私でも自信を持ってグリップ限界の直前まで右足を踏み込むことができる。「これならモンスターの正体も暴ける!」 そんな期待に、胸を膨らませていた。

 さらなる驚きは、フィオラノの裏ストレートに設けられた緩いキンクを通過したときにやってきた。高速でクリアするこのセクションではボディが軽く浮き上がるような感触が伝わってきて、これまでであれば強く減速していた。だが、SF90XXは強大なダウンフォースのおかげでタイヤの接地感が薄れない。これほど自信をもってフィオラノの裏ストレートをクリアできたのは、初めてのことだった。

 もともと「XX」はサーキット走行専用のフェラーリだけに与えられる特別なモデル名。SF90XXは、XXモデルでありながら公道走行も可能とされた点に最大の特徴があるのだが、いずれにしてもサーキットが本籍地であることに変わりはない。だからこそ、フェラーリはSF90XXに最高レベルのロードインフォメーションを盛り込んだのだ。ここにこそ、モータースポーツを知り尽くしたフェラーリの真骨頂が現れている。世界で最も「いい汗」がかける最高の1台である。
 圧倒的なポテンシャルを存分に引き出すことができるSF90XXの生産台数はストラダーレ(クーペ)799台、スパイダー599台。発表と同時に即座に完売したという。

フェラーリSF90XX主要諸元

モデル=SF90XXストラダーレ
欧州価格=7DCT 79万ユーロ
全長×全幅×全高=4850×2014×1225mm
ホイールベース=2650mm
乾燥重量=1560kg
エンジン=3990cc・V8DOHC32Vツインターボ
エンジン最高出力=586kW(797cv)/7900rpm
エンジン最大トルク=804Nm/6250rpm
モーター最高出力=171kW(233cv)
バッテリー容量 kWh=7.9kWH
EV航続距離 km=25km
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:255/35ZRF20/リア:315/25ZRF20
駆動方式=4WD
乗車定員=2名
0→100km/h加速=2.3秒
0→200km/h加速=6.5秒
最高速度=320km/h

こんな記事も読まれています

「めちゃくちゃ変わった」 宝塚IC接続の「尼宝線」大改造が完了 IC渋滞ゼロ「効果絶大」の声
「めちゃくちゃ変わった」 宝塚IC接続の「尼宝線」大改造が完了 IC渋滞ゼロ「効果絶大」の声
乗りものニュース
なぜ「ETCレーン」でバーがあがらない? “突破”しても良い!? 「正しい対処法」とは
なぜ「ETCレーン」でバーがあがらない? “突破”しても良い!? 「正しい対処法」とは
くるまのニュース
高速道路を乗り降り自由!? 料金も半額以下に!? ETC周遊割「ドラ割」「速旅」「みち旅」って何? 使い方と注意点とは
高速道路を乗り降り自由!? 料金も半額以下に!? ETC周遊割「ドラ割」「速旅」「みち旅」って何? 使い方と注意点とは
VAGUE
50ccエンジンバイクの新車が国内から消える!! 二重規制で2025年6月に前倒しか?
50ccエンジンバイクの新車が国内から消える!! 二重規制で2025年6月に前倒しか?
バイクのニュース
ルクレール、スペインGPでレッドブルの復調を予想。これからは四つ巴の優勝争いが見られる?
ルクレール、スペインGPでレッドブルの復調を予想。これからは四つ巴の優勝争いが見られる?
motorsport.com 日本版
フェラーリのカリスマ、ルカ・ディ・モンテゼーモロが成し遂げたこと 【第10回】フェラーリへの愛
フェラーリのカリスマ、ルカ・ディ・モンテゼーモロが成し遂げたこと 【第10回】フェラーリへの愛
AUTOCAR JAPAN
脱「コの字」型ヘッドライト採用! [新型フォレスター]は新世代スバルSUVの旗手となるのか?
脱「コの字」型ヘッドライト採用! [新型フォレスター]は新世代スバルSUVの旗手となるのか?
ベストカーWeb
FIAがスーパーライセンス規則を変更、17歳でF1参戦が可能に。注目されるアントネッリのF1プランへの影響
FIAがスーパーライセンス規則を変更、17歳でF1参戦が可能に。注目されるアントネッリのF1プランへの影響
AUTOSPORT web
フェラーリの「ル・マン24時間」総合優勝はなんと10回! 跳ね馬の58年前の栄光の戦績を振り返りながら、2年連続優勝を祈りましょう
フェラーリの「ル・マン24時間」総合優勝はなんと10回! 跳ね馬の58年前の栄光の戦績を振り返りながら、2年連続優勝を祈りましょう
Auto Messe Web
「B+COM TALKワイヤーマイクペアユニット」はこれからインカムを始めるふたりにピッタリ!セットでお得に高性能をゲット!  
「B+COM TALKワイヤーマイクペアユニット」はこれからインカムを始めるふたりにピッタリ!セットでお得に高性能をゲット!  
モーサイ
【写真蔵】一部改良されたジープ ラングラーには、エントリーグレードの「スポーツ」も登場
【写真蔵】一部改良されたジープ ラングラーには、エントリーグレードの「スポーツ」も登場
Webモーターマガジン
【20世紀名車ギャラリー】ゆったりとしたツーリングが似合う英国オープン、1955年式トライアンフTR2の肖像
【20世紀名車ギャラリー】ゆったりとしたツーリングが似合う英国オープン、1955年式トライアンフTR2の肖像
カー・アンド・ドライバー
洗車のオプション「下回り洗浄」は選択するべきですか? クルマの「底面」は見えないのに、なぜ洗浄する必要があるのでしょうか?
洗車のオプション「下回り洗浄」は選択するべきですか? クルマの「底面」は見えないのに、なぜ洗浄する必要があるのでしょうか?
くるまのニュース
【リコール】レクサス、トヨタ スバル25車種23万台超リコール
【リコール】レクサス、トヨタ スバル25車種23万台超リコール
Auto Prove
光明は高速グラベルラリーにあり。不運が続くトヨタのエバンス「早い段階で自信を取り戻すことが重要」
光明は高速グラベルラリーにあり。不運が続くトヨタのエバンス「早い段階で自信を取り戻すことが重要」
AUTOSPORT web
トヨタ8号車が総合トップ! 雨が強まりSCでレース折り返し|ル・マン24時間:12時間経過
トヨタ8号車が総合トップ! 雨が強まりSCでレース折り返し|ル・マン24時間:12時間経過
motorsport.com 日本版
【クルマら部】クルマ愛クイズ!三菱が誇るスペシャリティクーペ『FTO』から全4問!
【クルマら部】クルマ愛クイズ!三菱が誇るスペシャリティクーペ『FTO』から全4問!
レスポンス
木村武史、レクサスで挑む6回目のル・マン24時間に自信あり「ひさびさに手ごたえがありますよ」
木村武史、レクサスで挑む6回目のル・マン24時間に自信あり「ひさびさに手ごたえがありますよ」
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
  • fia********
    公道走行可能なサーキット専用マシン。日本語おかしい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

421.0552.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

128.0129.0万円

中古車を検索
90の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

421.0552.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

128.0129.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村