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グッドイヤー新タイヤ「E-Grip Comfort」を評価 狙いはプレミアム・セグメント

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グッドイヤー新タイヤ「E-Grip Comfort」を評価 狙いはプレミアム・セグメント

もくじ

ー どんなタイヤ?
ー どんな印象? ボディが受けるダメージを遮断
ー E-Grip Comfort 従来型と比較
ー 制動距離はお金で買える?
ー 注目のベクター4シーズンズは?

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どんなタイヤ?

日本グッドイヤーは、2月1日より新しいコンフォート・タイヤ「エフィシエントグリップ・コンフォート(以下、E-Grip Comfort)を発売する。


E-Gripシリーズはその名が示すように効率よいグリップに焦点を合わせたブランド。今回加わるのは、EAGLE LS EXEの後を引き継ぐE-Grip Comfortと、ハイパフォーマンスSUVタイヤ「E-Grip Performance SUV」という2パターン。プレミアムセグメント向けの商品が拡充されることになる。「喧騒を、置き去りにしよう。」というコピーで大々的に発表された新商品。その実力はいかに。

クルマの性能/タイヤの性能

一世紀を超える歴史を紡いできた自動車だが、その間に目覚ましい進化を遂げてきた。この間に向上した性能はタイヤをなくして我々が享受することはできない。けれども、タイヤほど見た目が代わり映えのしないものも珍しいだろう。そしてタイヤの悩ましい点は、装着する車種の性能、特性がクルマによってまちまちであるということ。



どんな印象? ボディが受けるダメージを遮断


今回試乗会が開催されたJARIのテストコースは自動車の様々なことを研究するための施設であって、サーキットではない。ここでは、わたし達が普段クルマで走る実際の様々なシチュエーションを多彩に再現することができるのだ。突然子供が飛び出してくることもないので、タイヤの違い、タイヤの「真価」とそれがどれほどの「進化」を遂げたのかに神経を集中させることができると改めて強調しておきたい。

まずE-Grip Comfortを試す。正直第一印象では、強烈に二度見したくなるような際立ったキャラクターは感じなかった。ただ、どうしてプロモーションに「喧騒」という言葉を使ったのかは早くも感じ取ることができた。すべてが聞こえる。しかし五月蠅くないのである。単なる「静粛」とも、やみくもな「静寂」でもなく、「喧騒から隔絶されている」というのは確かに的確な表現だなという印象を受けた。


この日のテストカー1台目は、トヨタ・マークX。適度に「ヤレ」が出始めているのは、モデルとしても、個体としても事実だろう。しかしだからこそ、タイヤの「真価」と「進化」に触れる上では様々な気づきをもたらしてくれる。



E-Grip Comfort 従来型と比較


新製品のE-Grip Comfortを履いたクルマのあとで、従来品のEAGLE LS EXEを装着したクルマに試乗した。舗装してから年季の入ったざらついた路面、そういう状態での騒音レベル、音圧は、従来品であっても比較的新品なためか、それほど顕著に違うという印象を受けなかった。「従来品も悪くないな」 正直そんな印象すら受けたほどだ。


しかし、突起がある路面でのハーシュネスを体感するゾーンに突入した時に「進化のほど」を強く感じたのである。クルマのボディがミシミシと振動し鳴き始めたのだ。こういう路面は、地方都市間をつなぐ3桁国道などで筆者もしばしば体感する。E-Grip Comfortではほとんど皆無だったことだ。

短時間の試乗では、大いに不快だとは思わないレベルにとどまっていたものの確かに煩い。結局侵入してくる振動をしっかりとタイヤの仕事として往なせている証。なるほど、静寂を手に入れるのでもなく「喧騒を置き去りに」している。


今度は、別のコースに移動して、水の撒いてある低ミュー路の評価である。



制動距離はお金で買える?


低ミュー路は、滑りやすい路面での振る舞いを評価できる大切な設備。

E-Gripシリーズには、今回加わるComfortのほかに、すでに展開しているグッドイヤーの今が詰まった「Performance」と経済性が優れる「ECO EG01」がある。それらを履いたテストカーと、あと世界的な定番商品として注目を集めているオールシーズン・タイヤ「Vector 4Seasons Hybrid」も用意されて比べることができた。こちらのテストカーは、すべてトヨタ・プリウスPHVだ。


端的に言うと「E-Gripシリーズ全体で見た時に不足はないが、それぞれでレベルに差がある」というキャラクター分けがされている。ドライ面から水たまりに侵入した際の違和感、ハイドロプレーニング現象を抑える程度に減速しながら侵入しても不安定な印象は最小限。ウェットな路面でもしっかりハンドル操作でクルマをコントロールできた。加えて、これはクルマの外から見た感覚だが、ウェットから再びドライ面に出た際の様子を見ていても水切れの良さを感じる。これはタイヤの排水性の良さも奏功しているポイントではないだろうか。

フルブレーキでE-Gripシリーズを試す

その上で顕著だったのが、フルブレーキで停車するまでの距離。E-Grip ECO EG01が一番長く、その次がComfort。一番短いのはE-Grip Performanceで、しかもフルブレーキの制動時の挙動も安定。フルブレーキングは非常事態の想定であり、こんな言い方は少し奇妙に思われるかもしれないが「止まり方」がジェントルだった。これはおそらく価格順に高価なものほど制動距離が短いという結果。制動距離はお金で買えると実感した。



注目のベクター4シーズンズは?


ちなみにVector 4Seasonsは低ミュー路での安心感も含めて、若干方向性の違いも感じたものの、必要な性能はしっかりと担保されているという印象。タイヤがクルマに及ぼす経済性ではなく、ライフスタイルの中でタイヤができることという視点を感じた。グリップ感や、クルマで感じる喧騒からの隔絶度合い、乗り心地などはもちろんE-Gripシリーズの方に有意な部分を感じ、Vector 4Seasonsには全体的に大味な印象は否定できない。けれども実際同じコースを走るとそれぞれの性能面で大きく劣ることもない。


タイヤで演出できる味の部分やそれぞれのグレードのタイヤが誇る性能に関してはE-Gripシリーズがグッドイヤーの看板であり、次の時代に対する同社の回答であることは動かしがたい。一方で、シーズナルの交換を不要にし、利便性、経済性、緊急対応度などの機能を持たせたタイヤとしては、Vector 4Seasonsは申し分ない。「タイヤができること」という課題に対してのグッドイヤーの真摯な回答であると感じられた。

「喧騒を、置き去りにしよう。」
なるほど、置き去りにしている。というのがこの日の筆者の正直な感想である。安全運転にも、ドライビングプレジャーの点でも、やみくもな静かさだけの追求が正とは限らない。そういう部分へのこだわりをしっかりと感じつつも、車内の会話、音楽鑑賞を楽しむこともできる環境への寄与。タイヤとして高次元でバランスさせていることが分かった。

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