現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【くるま問答】オープンカーは和製英語!? 英語や海外での呼び方と種類を解説! 自動車の歴史はオープンカーとともにあった!

ここから本文です

【くるま問答】オープンカーは和製英語!? 英語や海外での呼び方と種類を解説! 自動車の歴史はオープンカーとともにあった!

掲載 6
【くるま問答】オープンカーは和製英語!? 英語や海外での呼び方と種類を解説! 自動車の歴史はオープンカーとともにあった!

普段私たちは、屋根が開くタイプのクルマを「オープンカー」という1単語で総称しています。でもこれって実は和製英語なので、海外では通じません!また、「コンバーチブル」や「カブリオレ」といった呼び方で何が違うのでしょうか。この記事でオープンカーに興味を持って、オープンカーを買いましょう!(オープンカーはいいぞ~)

オープンカーの種類
自動車は馬車が発展して生まれた乗り物であるため、馬車の時代に用いられていたボディ形状・使用用途を区別する用語が自動車の分類にそのまま引き継がれていることが多いのです。また、「気分によって屋根を開けることができるタイプ」か「雨が降ってきたときに屋根を閉めることもできるタイプ」かという違いで区別されます。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

■フェートン=オープン状態が基本

もともとは、馬車のボディ形状を指していた言葉で、「自分で操縦する・スピード重視・4人乗り」タイプの馬車のことでした。自動車の時代になっても、4人乗りが可能で走行性能を重視したサイドの窓ガラスがない幌付きの自動車のことを指していましたが、サイドにガラス窓を備えた快適な「セダン」や、その「セダン」の屋根を開けることでオープンエアを楽しむことができる「コンバーチブル」など、天候を気にせずに乗れる自動車が登場したことで消滅しました。
(例:日本内燃機 九五式小型乗用車)

■スパイダー=オープン状態が基本

馬車のボディ形状に由来。フェートンと同じく、「自分で操縦する・スピード重視」の馬車用ですが、よりスポーティになっており乗車人数も1~2名までと、フェートンよりも走行性能を重視したタイプの馬車に用いられていた単語です。こちらはガラス窓付きでも呼ばれることがあり、現代でもイタリア車のオープンカーに多く用いられています。
(例:アバルト 124スパイダー)

■ロードスター=オープン状態が基本

よく勘違いされがちですが、英語でのスペルは「Road-star」=道の星ではなく、「Road-ster」です。「ster」は「~な人、~する人」を意味するので、「道ゆく者」という意味になります。この「道ゆく者」が馬や馬車に乗って移動する様子から、軽装の馬または簡易的な「雨よけの幌」を備えた1頭立ての軽装馬車のことを総称して「Roadster」と呼んでいたのです。自動車の時代になってからは、「スパイダー」とほぼ同じスポーツタイプの2人乗りオープンカーを指します。
(例:マツダ ロードスター)

■スピードスター=オープン状態が基本

名前の由来は「スピード(Speed)」+「~な人、~する人(ster)」、つまり「スピード狂」で、2人乗りオープンカーで速度を出すことを重視した車を指します。装備を簡略化したり、軽量化を徹底することでスパイダーやロードスターよりもレース車両に近いガチなモデルに使われることが多いです。
(例:ポルシェ 356 スピードスター)

■バルケッタ=オープン状態が基本

イタリア語で「小舟」の意味。その名のとおり、小型軽量で屋根がないということを強調したい車種に使用されます。オープンに特化したモデルで、基本的にはストイックなオープンスポーツカーです。
(例:ダラーラ ストラダーレ)

■カブリオレ(カブリオ)=クローズド状態が基本

馬車に由来するフランス語で、ドイツ車だと「カブリオ」と省略する場合があります。馬1頭立てで2人乗りの幌付きスポーツタイプ馬車のこと。馬車の時代からクローズ状態(屋根を閉じた状態)が基本です。しかし、自動車の場合は、コンバーチブルと同様に幌を閉じると「セダン」になるタイプを呼称することがほとんどです。
(例:BMW 4シリーズ カブリオレ)

■コンバーチブル=クローズド状態が基本

ドアや窓ガラスにより完全に外界から密閉できる「セダン」や「クーペ」タイプの自動車が誕生したことで生まれた新しいジャンルです。こうした外界から完全に密閉できるタイプのクルマのうち、屋根を開くことでオープンカーになることができる(クローズド状態とオープン状態を変換できる=Convertibleという意味です)モデルのことを指します。そのため、カブリオレと同じく、幌を閉じた状態では「セダン」に近い快適性があるモデルです。
(MINI コンバーチブル)

[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]

オープンカーの歴史
人類の移動手段といえば馬や牛などの家畜に乗る、または馬車という時代が長らく続いていました。しかし、1769年に馬車を代替する目的で蒸気自動車がフランスで発明され、1886年には現在と同じガソリンエンジンで動く自動車「ベンツ パテント モトールヴァーゲン」がドイツで誕生します。

しかし、この時代の自動車は馬車のボディにエンジンを載せて自走できるようにしたタイプが多く、エンジンの性能もまだまだ低かったため「お荷物」となる屋根はつけられないという状況がしばらく続きます。たとえあったとしても、庶民の手が届かない大型の高級車にしか搭載されていませんでした。

実際、アメリカで生まれた世界初の大衆車「フォード モデルT(T型フォード)」が1908年に登場した時も、幌屋根スタイルであり「エンジン付き幌馬車」という雰囲気が漂うものでした。

ちなみに、T型フォードは効率的な大量生産方式で作られていたため、1927年に生産終了するまでの19年間のうちにどんどん生産コストが低下し続けた結果、1925年時点での発売価格(幌ありツーリング仕様)は現在の日本円にして約37万円ほどになっています。世界初の大衆車と呼ばれるのも納得の低価格ですね。

1921年に同じくアメリカ車の「エセックス・コーチ」が、登場すると状況は一変します。従来の「小型大衆車はオープンカー」という常識を覆し、天候に左右されないクローズドの屋根がついたセダンタイプの車を発売したことで、当時既に陳腐化し始めていた「T型フォード」から「上級志向カスタマー」の乗り換え需要を喚起することになりました。

その後は、雨の日でも快適に移動できるセダンタイプの車がトレンドとなり、第二次世界大戦後の1950年代後半までオープンカーの需要は息をひそめることに。余談ですが、セダンという名前は人間を運ぶために使っていた一人乗りの輿「セダン・チェア」からきているそうです。(日本で例えるなら、駕籠のような乗り物)

第二次世界大戦後、欧州に駐留していた米軍兵士が戦前から戦後にかけて生産されていた英国MG社製の小型・軽量スポーツカー「Tシリーズ」に魅了され、アメリカに持ち帰ったことで北米での需要が高まりました。1955年にイギリスのMGから「MGA」が、1962年にその後継車「MGB」が登場すると、史上空前のヒット車種となり、1950年代~1960年代はオープンカーの黄金時代を迎えました。同じ時期の日本では、日産の「ダットサン スポーツ DC-3」が1952年に発売され、1963年にはホンダから「S500」などが発売されています。

1970年代に入ると、衝突時の安全性や快適性に疑問符がつくようになり、2度のオイルショックによる景気減速や環境規制などで、2シーターのオープンカーは次々と姿を消していきます。そして、この暗黒時代を乗り越えた先に待っていたのは、パワーと豪華さで勝負するスポーツカーの時代であり、小型・軽量がウリの2人乗りオープンカーに出番はありませんでした。

こうして、世界で2人乗りオープンカーの人気が低迷していた1989年、マツダから「ロードスター」が発売されると、発売翌年の世界年間販売台数が10万台に迫る記録的な売れ行きとなり、現在の4代目まで続く「世界で最も多く生産された二人乗り小型オープンスポーツカー」として存続する車種となりました。

[ アルバム : オープンカー はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

まるで[ラリー車]! 三菱 [アウトランダーPHEV]が最高のクルマに進化した件
まるで[ラリー車]! 三菱 [アウトランダーPHEV]が最高のクルマに進化した件
ベストカーWeb
オールトヨタ製になるぞ!!!!!! 新型[スープラ]は新開発の2L直4ターボ+ハイブリッドが濃厚か!?
オールトヨタ製になるぞ!!!!!! 新型[スープラ]は新開発の2L直4ターボ+ハイブリッドが濃厚か!?
ベストカーWeb
全幅1.97mはデカすぎた!? 中身はよかったけど新規市場開拓ならず? 生産終了した[グランエース]に販売現場が思うこと
全幅1.97mはデカすぎた!? 中身はよかったけど新規市場開拓ならず? 生産終了した[グランエース]に販売現場が思うこと
ベストカーWeb
冷静貫徹のサービスパーク/贅沢すぎるデモラン/多くの著名人も来場【ラリージャパン写真日記最終回】
冷静貫徹のサービスパーク/贅沢すぎるデモラン/多くの著名人も来場【ラリージャパン写真日記最終回】
AUTOSPORT web
[発炎筒と発煙筒の違い]知ってた!? 車載するのはどっち!? 意外と知られていない発炎筒の基礎知識
[発炎筒と発煙筒の違い]知ってた!? 車載するのはどっち!? 意外と知られていない発炎筒の基礎知識
ベストカーWeb
96年前のル・マンで優勝したベントレーが東京を走った!「コッパ・ディ東京」に降臨した「オールド・マザー・ガン」とは?
96年前のル・マンで優勝したベントレーが東京を走った!「コッパ・ディ東京」に降臨した「オールド・マザー・ガン」とは?
Auto Messe Web
一番後ろまで段差ゼロ! いすゞの新型路線バス ついに量産開始へ 「市場が待ち望んでいた」モデル
一番後ろまで段差ゼロ! いすゞの新型路線バス ついに量産開始へ 「市場が待ち望んでいた」モデル
乗りものニュース
こちらも“5気筒500PS”級の新型SUVがテスト。週末は連覇王者がポール獲得で僚友が連勝/TC2000第11戦
こちらも“5気筒500PS”級の新型SUVがテスト。週末は連覇王者がポール獲得で僚友が連勝/TC2000第11戦
AUTOSPORT web
新型「GRヤリス」がマフラー交換だけでパワーアップ! 「スーパーターボマフラー/スーパーターボマフラー アーバンマットエディション」がHKSから同時発売
新型「GRヤリス」がマフラー交換だけでパワーアップ! 「スーパーターボマフラー/スーパーターボマフラー アーバンマットエディション」がHKSから同時発売
くるまのニュース
メルセデスAMG、4シーターカブリオレ『CLE』にワイドな専用エクステリアの“53 4MATIC+”を導入
メルセデスAMG、4シーターカブリオレ『CLE』にワイドな専用エクステリアの“53 4MATIC+”を導入
AUTOSPORT web
ニュル「7分37秒」切り アウディRS Q8 パフォーマンスへ試乗 RSシリーズ最強の640ps!
ニュル「7分37秒」切り アウディRS Q8 パフォーマンスへ試乗 RSシリーズ最強の640ps!
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ「ウラカンGT3 EVO2」を応援する「JLOC AMBASSADOR」を紹介…コスチュームはひと目で分かる大胆トリコローレカラー!
ランボルギーニ「ウラカンGT3 EVO2」を応援する「JLOC AMBASSADOR」を紹介…コスチュームはひと目で分かる大胆トリコローレカラー!
Auto Messe Web
フェルスタッペン「ラスベガスは今季を象徴するような週末」これまでとは異なる価値を実感/チャンピオン会見 (1)
フェルスタッペン「ラスベガスは今季を象徴するような週末」これまでとは異なる価値を実感/チャンピオン会見 (1)
AUTOSPORT web
「厳しいシーズンを団結して戦ったことは誇り」フェルスタッペンも予想外の苦戦。転機はモンツァ/チャンピオン会見 (2)
「厳しいシーズンを団結して戦ったことは誇り」フェルスタッペンも予想外の苦戦。転機はモンツァ/チャンピオン会見 (2)
AUTOSPORT web
「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
「イライラが和らぐ」とドライバーも支持。IMSA、GTDプロ/GTDをめぐるルール変更を発表
AUTOSPORT web
トヨタ版「CX-80」は“4人乗り”仕様! 衝撃的な「カクカクボディ」採用した“個性派デザイン”が凄い! マツダ「3列シートSUV」とは異なる“めちゃ未来”なモデルとは!
トヨタ版「CX-80」は“4人乗り”仕様! 衝撃的な「カクカクボディ」採用した“個性派デザイン”が凄い! マツダ「3列シートSUV」とは異なる“めちゃ未来”なモデルとは!
くるまのニュース
【F1第22戦無線レビュー(2)】「目的を見失うなよ」「自分のレースをしている」戴冠を見据え冷静に走り続けたフェルスタッペン
【F1第22戦無線レビュー(2)】「目的を見失うなよ」「自分のレースをしている」戴冠を見据え冷静に走り続けたフェルスタッペン
AUTOSPORT web
ACコブラ、なぜ「大波乱」を呼んだ? 1960年代の伝説的スポーツカー 歴史アーカイブ
ACコブラ、なぜ「大波乱」を呼んだ? 1960年代の伝説的スポーツカー 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

6件
  • で…
    車種別に言い方は色々あるのはわかったが
    車種によらない「オープンカー」は一般的になんて言うの?
  • 勉強になりました!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村