フランスからのエントリーは、同じディエップ生まれの2台。エンジニアリングも基本ルノー・スポールの手になるが、一方は実用的なCセグメントハッチバックをベースに、全身をニュル最速に向けて鍛え上げたマッスル系。もう一方は、名門の血筋と精神を現代に蘇らせるべく、ゼロスタートで開発されたライトウェイトスポーツ。いずれもクルマをよく知るフランスならではのスポーツモデルだが、果たして代表の座はどちらの手に!?
このフットワークこそルノー・スポールの真骨頂
日本市場においてはニッチマーケットへの積極的なアプローチで年々じっくりとそのシェアを伸ばしてきたルノー。台数的にはカングーが大半を稼ぐものの、ルノー・スポール銘柄もコアなファンが多いことで知られている。
とりわけ、1990年代前半以降のクリオ=ルーテシアに設定されたRSシリーズは、親しみやすい価格やベース車と同等の高い実用性などもあって、身近なスポーティグレードとして認知されている。そこにメガーヌも加わって、ホットハッチカテゴリーではGTIを擁するVWに迫る存在感を記しているといっても過言ではない。
3代目となる現行型のメガーヌRSは、先代までの2Lエンジンから日産とルノーの合作となる1.8L4気筒直噴ツインスクロールターボにエンジンをスイッチ、最高出力は279ps、最大トルクは390Nmを発揮する。組み合わせるトランスミッションは6速DCTのみ。サスペンションは最も穏やかなシャシースポールが装着される。本国ではリアシートも撤去し130kgの軽量化を果たした一方で、300psにパワーアップしたホットバージョン「トロフィーR」が発表されたが、こちらの日本導入は未定だ。ルノー・ジャポンとしては当然ながらメガーヌシリーズ全体の均等な販売が望ましいわけで、現状はRSも標準仕様の延長線的な位置づけで、ファミリーカーとしても使える多用途性を重視した設定になっているのだろう。
とはいえ、メガーヌRSのパフォーマンスはまったく侮れないものに仕上がっている。コーナリングのシャープネスは前型にも増して高く、特にタイトターンでの回頭性はちょっと常軌を逸しているように感じるほどだ。これはひとえに3代目に与えられた飛び道具の4コントロール、平たく言えば四輪操舵の恩恵だろう。
走行状況やドライブモードの設定に応じて同相1度、逆相2.7度の舵角を後輪側に加えるこのシステムは、キングピンオフセットを抑えてトルクステアを軽減する専用設計及びジオメトリーのフロントサスとの組み合わせでもって、付かず離れずの絶妙な足捌きで路面にビタッと染み入る。パワーを載せての旋回中も路面の凹凸には見事に追従し、唐突な挙動などはおくびにも出さない。形状を問わず、フランスのスポーツカーはフットワークこそが最大の売りだとつくづく痛感させられる。
正直なところ、4コントロールの旋回感は完全に癖を消しきれているわけではない。前述のタイトターン時の挙動などはちょっと性能が強調されすぎている感もある。が、造り手の側はこれを鞣して完全な自然体に近づける気もないだろう。違和感とまでは言わない範疇に抑えたんだから、むしろドライバー側も積極的にこの癖を楽しんで駆使してくれという想いがあっても不思議ではない。そしてこの4コントロールのおかげでサスペンション側の横力負担が軽減され、その余裕が乗り心地に転嫁されているのも事実だ。
A110は未来へと繋がるスポーツカー像を体現
技術の進化を大らかに反映し、次世代ホットハッチの動的水準を示しているのがメガーヌRSだとすれば、同門との濃い関係を保ちながら独立したブランドとして扱われるアルピーヌA110は、技術を黒子として努めてコンベンショナルな様式を保持しながら、最新のスポーツカーのあり方を再定義しようとしているように窺える。
その象徴となるのが、オールアルミの車台だ。押出材や鋳造品を大胆に配したそれはリベット&ボンディングも接合に加えて、軽量・高剛性を生産性と両立した。ロータス・エリーゼ以降、少量生産のスポーツカーに好んで用いられる手法に影響を受けてはいるが、A110が目指すのはビジネスの分岐点を超えるべく、不特定多数に一定以上の数量を捌くことだ。そのために内外装もしっかり作り込み、前後のストレージを確保し、ライバルでもあるポルシェ718に準ずる静的商品力も確保している。それでいながら1110kgという車重にスポーツカーとしての本気を感じる向きも多いだろう。
A110が搭載するエンジンは、先に記したメガーヌRSも用いる1.84L気筒をベースとしている。パワーは252psとやや控えめでも圧倒的な車重の軽さもあって充分以上に速い。音的な盛り上がり感に欠けるのはフランスのスポーツモデルにありがちなそれだが、ガンガン車体を押し出す7速DCTのフィーリングが気持ちを少しずつ走りの側に寄せてくれる。
新しいA110はオリジナルのRRではなくMRパッケージを採用するが、ハンドリングにその危うさは余程のことでもない限りは感じることはない。高い限界域に至るまでのコントロール性の高さは折り紙付きで、フロントの接地感の希薄化やリアのお安いブレークといったありがちな応答は窺えない。直進性に関してはゴリゴリにスタビリティが高いわけではないが、さらりとした運転にはさらりと、気合いを入れた運転にはそういう姿勢で応えてくれる。
テールはガッチリと粘り抜くような仕立てにはなっておらず、ブレークは遅くはない。が、とにかくその推移は穏やかだ。唐突な反動もなく綺麗にリアが張り出し、余裕を持って対処できる。派手に逆カウンターを当てるような事態は、相当深くアクセルを踏み込んだ時だ。車体制御技術に頼ることなく、そこらの山道でも安心して運転に没頭できるこの懐深さは、骨格づくりの巧さと適切な味付けによって叶えられている。特殊な成り立ちにみえて、実は万人に優しいクルマだ。
スポーツカーのあり方が様々な制約に抑えられる中、小さなエンジンを軽量な車体で活かして走るパッケージは運動性能面でも効率面でも負荷が小さく、未来性は非常に高い。A110はまさにこれからという、そんなスポーツカー像をほぼ完璧な形で体現している。数字的な突出はなくても、まずは人に優しいクルマを作ることにこだわり続けてきたフランスだからこそ実現した1台といえるだろう。
RENAULT MEGANE R.S/ルノー・メガーヌ ルノー・スポール
F1にも参戦するルノーの武闘派集団が、実用Cセグメントカーをスポーツカー顔負けの走り屋に鍛え上げたスーパーハッチ。4輪操舵の4コントロールや、セカンダリーダンパーを持つ4HCCなど、ルノー・スポールならではのシャシーテクノロジーが投入される。
【Specification】ルノー・メガーヌ ルノー・スポール
■全長×全幅×全高=4410×1875×1435mm
■ホイールベース=2670mm
■車両重量=1480kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1798cc
■最高出力=279ps(205kW)/6000rpm
■最大トルク=390Nm(39.8kg-m)/2400rpm
■トランスミッション=6速AT
■サスペンション(前:後)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(前:後)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=245/35R19
■車両本体価格(税込)=4,400,000円(9月26日現在)
お問い合わせ
ルノー・ジャポン 0120-676-365
ALPINE A110 PURE/アルピーヌA110
1960~1970年代にラリーで大活躍したA110を現代に蘇らせたライトウェイトスポーツ。かつてはRRだったのに対しミッドシップマウントとなるエンジンは、ベースをメガーヌRSと共通とする1.8Lターボで252psと320Nmを発生。高性能版の「S」も発表済み。
【Specification】アルピーヌA110
■全長×全幅×全高=4205×1800×1250mm
■ホイールベース=2420mm
■車両重量=1110kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1798cc
■最高出力=252ps(185kW)/6000rpm
■最大トルク=320Nm(32.6kg-m)/2000rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(前:後)=Wウイッシュボーン/Wウイッシュボーン
■ブレーキ(前:後)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(前:後)=205/40ZR18:235/40ZR18
■車両本体価格(税込)=7,900,000円(9月26日現在)
お問い合わせ
アルピーヌ・ジャポン 0800-1238-1100
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