1周目のクラッシュにより赤旗中断となったF1ハンガリーGP。そのリスタートの際には、F1史上最も奇妙な光景が見られた。
ウエット路面でスタートしたハンガリーGPだったが、赤旗中断の間に路面は急速に乾いていた。再スタートの際には全車がインターミディエイトタイヤを履いてコースに出たものの、ほとんどのマシンがフォーメーションラップ中にピットイン。ドライタイヤに履き替え、ピットレーン出口で再スタートの瞬間を待った。その結果、グリッド上はポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)ひとりだけになってしまうという珍事が起きたのだ。
■ハミルトン、タイヤを換えずグリッドにポツンとひとり……メルセデス「判断は100%適切だった」
ポールポジションのハミルトンは、フォーメーションラップ中に最初にピットレーン入口を通過するドライバー。したがって彼らはライバルたちの出方を伺うことができず、自分たちがピットに入ってタイヤを交換すると、仮に残りのドライバーが誰も入らなかった場合に最後尾に落ちてしまうというリスクがあった。そういったこともあって、チームはインターミディエイトでリスタートを迎えることに賭けたのだ。
ハミルトンがグリッド上で静止し、メディカルカーがグリッド再後方につけると、スタートライトは通常通り赤信号が5つ点灯した後、ブラックアウト。ハミルトンはひとりでターン1へと突入していった。
この光景を見て、2005年のアメリカGPを思い出したファンも少なくないだろう。このグランプリはミシュランタイヤ勢がレース参加を直前で取りやめ、ブリヂストンユーザーの6台のみでスタートが切られたというレースだが、今回の1台のみのスタートはそれ以上の珍事であり、F1史上最も台数の少ないグリッドスタートとなった。
そこで最も興味をそそられるのは「仮にハミルトンも含めて全車がフォーメーションラップ中にピットインし、グリッドに誰もいない状態となった場合、どのようにリスタートが切られていたのか?」ということだ。
これはF1の歴史上一度も起こったことのないシナリオだが、F1レースディレクターのマイケル・マシ曰く、グリッド上のマシンが0台になった場合の対処法についても、彼の頭の中に入っていたようだ。
“0台スタート”となった際の手順について、マシはこう説明した。
「最後の1台がピットレーンに入った後、(グリッド上の)スタートシグナルが点灯する」
「そのシグナルが消えると、ピットレーン出口にあるグリーンライトが点灯し、ピットレーン出口に並んだ順番で再スタートが切られることになっただろう」
つまり、再スタート時に全車がピットレーンからのスタートを選択した場合にも通常通りの手順となり、誰もいないグリッド上でスタートライトが点灯していた、ということになるのだ。
マシはさらにこう続けた。
「クリスチャン(ブリル/F1公式スターター)は最後のマシンがピットレーンに入った時点で、通常通りにスタートライトを作動させただろう」
「レッドライトが5つ点灯し、それが消えた後、ピットレーン出口がオープンされる」
「それ(ピットインするマシンの有無)は関係ない。事実上、その時点ではレースは再開されていないのだからね」
ハンガリーGPのユニークなスタートは今後も語り継がれることになるだろうが、マシはこの教訓を活かして、スタート時にグリッド上に誰もいないという事態を起こさないためにレギュレーションを修正する必要があると語っている。
「これは誰も予想できなかったことだが、事態が落ち着いたらこのことについてスポーティングディレクターたちと話し合う」とマシは言う。
「ただ、既に何人かと話したのだが、彼らの内何人かは『あれは果たして本当に良くないことだったのか?……』と言っているよ」
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