ネーミング整理 往年の名車は?
フォルクスワーゲンは、欧州で販売するEVハッチバック、ID.3のSUV仕様の開発を進めている。車名は「ID.3 X(仮称)」となる可能性がある。
【画像】時代の変化にフォルクスワーゲンはどう対応?【フォルクスワーゲンのEVシリーズを写真で見る】 全88枚
同社CEOのトーマス・シェーファーは、「ID.3をベースにしたコンパクトSUVを追加開発し、この急成長中のセグメントに参入できるよう懸命に取り組んでいる」ことを明らかにした。
彼はAUTOCARに対し、現行のID.3とは大きく異なる外観になるだろうと語っている。2026年までに登場する見通しだ。
フォルクスワーゲンの電動SUVは今後、「ID X」シリーズと命名される可能性がある。目的は、世界中の市場で「わかりやすさ」を助けるためだ。シェーファーCEOは、SUVモデルに「X」の名を使用することについて、次のようにコメントしている。
「SUVモデルの車名がXになるというのは、1つの選択肢であり、あり得ないことではありませんが、100%決まったわけではありません。ラインナップ全体で一貫性を持たせる必要があるのですが、現時点では規模はまだかなり大きく、あちこちで重複しているので、整理しなければなりません。しかし、ナンバリングとXは意味があるように思えます」
また、ゴルフやポロといった親しみのある名称を、今後、内燃機関モデルが段階的に廃止されていく中で、どのように使っていくかを思案中であるという。
「ゴルフの名前には特に大きな価値があります。しかし同時に、IDブランドも勢いをつけており、(ユーザーからの)認知度も高い。ですから、まったく違う名前に変えても意味がないんです」
「わたし達は、今後10年間でこの名称をどのように発展させていくかを、今まさに考えているところです」
現在、フォルクスワーゲンの電動SUVは、欧州市場のID.4とID.5、中国市場のID.6の計3車種が販売されている。新型のID.3 Xは、新しい命名法を採用する最初の1台となるかもしれない。
ラインナップの「簡素化」を示唆
欧州向けのID.4およびID.5は、ID.3とMEBプラットフォームを共有しているが、車格は一回り大きい。開発中のID.3 X(仮称)はこれよりコンパクトで、ラインナップ最小の電動SUVとなるだろう。
フォルクスワーゲンはまた、「小型車とスポーティなクロスオーバー」と呼ばれる2車種のコンパクトEVを開発している。現在のポロやTクロスと同じく、ブランドのエントリーモデルとなる見込み。
2026年までに合計10種類の新型EV(現行モデルのフェイスリフトを含む)を発売する計画で、シェーファーCEOは次のように述べている。
「目標価格2万5000ユーロ(約360万円)以下のエントリーモデルから、ID.Buzzや新しいフラッグシップモデルのIDエアロまで、あらゆるセグメントで製品を展開をすることになります」
また、現在EVのベースとなっているフォルクスワーゲン・グループのMEBプラットフォームは、「航続距離や性能、便利な機能の面で、大きな進歩を続けている」という。
さらにシェーファーCEOは、フォルクスワーゲンは製品ラインナップに関して「古い習慣を捨て」、将来的にはコアモデルに集中し、「今後10年間でモデルレンジとパッケージを顕著に簡素化する」としている。
その結果、一部のICEモデルが廃止され、仕様の選択肢も大幅に少なくなることは避けられないだろう。今後は、「より少なく、より正しく」をモットーに取り組んでいくという。
グループ内での連携も強化
シェーファーCEOはフォルクスワーゲン・グループ内での連携に関して、「フォルクスワーゲン、セアト、クプラ、スコダ、フォルクスワーゲン・コマーシャル(商用車部門)など、グループが持つ大きな可能性を活用し、競争力を高めていきます」とした。
その取り組みの一環として、スコダが新型フォルクスワーゲン・パサートと新型スコダ・スパーブの開発を担当し、セアトとクプラが小型EVの開発を主導する。一方、フォルクスワーゲン・コマーシャルは自動運転技術の開発を、フォルクスワーゲンは次世代のSSPプラットフォームの開発を担う。
フォルクスワーゲン・グループは23の生産工場を抱えるが、個々の開発・製造からプラットフォームによるグループ化に焦点を移しつつある。これにより、今年は2億2000万ユーロ(約320億円)のコストを削減できるという。全体的な目標は、シナジー効果で20%の効率化、量販ブランド(前述の5ブランド)全体で8%の投資収益率を確保し、グループ全体の販売台数の80%を占めること。
シェーファーCEOは、フォルクスワーゲンというブランドの強みについて、次のように述べた。
「フォルクスワーゲン・ビートルやブリー(マイクロバス)、ゴルフGTIを見ると、人々は笑顔を浮かべ、スマートフォンを取り出してくれます。わたし達にとって、伝統は重荷ではなく、真の資産です」
「そして、それこそが再び築き上げたいものなのです。社内でも、わたしはチームにこう言いました。『VWは、再び愛のあるブランドにならなければならない』と。人々に好かれるフレンドリーなブランド。特にエレクトリックとデジタルの時代にあって、お客様のご要望に耳を傾け、それに応えるブランドです」
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