かつて宿命のライバルであり、一度日本市場から消えたのちに復活したという同じような経緯を持つトヨタRAV4とホンダCR-V。しかし現在、RAV4は人気があるいっぽう、CR-Vの売れゆきは今ひとつという状況。2020年販売台数はRAV4が5万4848台、CR-Vが6140台と大差がついた。
車格はほぼ同じである2台。すると、この売れゆきの差はクルマの出来なのか? SUVブームで盛り上がるなか、いま一歩ブレークできていないCR-Vは、売れているRAV4と何が違うのか?
【前編】佐藤琢磨×原田哲也対談 「オレと琢磨が同じレースで走ってたら、絶対ケンカになるね(笑)」
文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ、ホンダ、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】『CR-V』vs『RAV4』! どっちが好みか写真でチェック!!
■現行モデルで国内復活デビューを飾ったRAV4とCR-V
最近はSUVの人気が高い。新型車の発売も活発で、直近ではヴェゼルとアウトランダーの次期型が披露された。新車として売られるクルマに占めるSUVの比率は、2000年代は約7%だったが、今は約20%でミニバンに迫る勢いだ。
しかし、すべてのSUVが好調に売れているわけではない。ライバル車同士で明暗を分けることも多く、その典型がRAV4とCR-Vだ。
カムリと同じGA-Kプラットフォームを持つ『RAV4』。悪路走破性の高い2Lガソリン4WDモデルと、動力性能が高い2.5Lハイブリッドモデルをラインアップする
『CR-V』は低速から力強く加速する1.5L VTECターボエンジンモデルと、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」搭載のモデルがあり、どちらにも電子制御による「リアルタイムAWDシステム」がラインアップされている
現行RAV4は2019年4月、CR-Vは2018年8月に登場した。両車とも1990年代に初代モデルを国内で発売して、人気を集めて進化を続けたが、次第に北米などの海外指向を強めたクルマへと変わっていき、国内の売れゆきを落とした。その結果、両車とも国内販売を一度終了している。
それが復活したのは、日本でもSUVの人気が盛り上がったからだ。ホンダは2013年に国内市場に合ったコンパクトSUVのヴェゼル、トヨタも2016年に手頃なサイズのC-HRを投入して、それぞれ人気車になったが、SUV需要はさらに増加していく。
そこで商品ラインナップを強化するために、RAV4とCR-Vを復活させた。
■売れゆきはRAV4が好調なのに対してCR-Vは……
ところが両車の売れゆきには大差が生じた。RAV4はコロナ禍の影響を受けながらも、2020年には5万4848台(1カ月平均で4571台)を登録した。アクアやノアと同等の売れゆきで、小型/普通車の販売ランキングでは中堅から上位に位置する。
一方、CR-Vは6140台(1カ月平均で512台)に留まる。比率に換算するとRAV4の11%だ。両車とも全長は4600mm少々、全幅も1860mm前後のライバル車同士なのに、売れゆきはまったく異なる。
販売格差の背景には、複数の理由がある。まずは商品特性の違いだ。最近は前輪駆動ベースのシティ派SUVが浸透した影響もあり、そちらは市場が飽食気味だ。そのため、SUVに原点回帰のニーズが生まれ、野性味の伴うSUVが好まれる傾向も出ている。
例えばランドクルーザープラドは、日本では走破力の本領を発揮する機会を得にくい悪路向けのSUVだが、2020年には約2万4300台(1か月平均で2000台少々/ランドクルーザー200を除く)を登録した。同じく本格オフローダーのジムニー/ジムニーシエラの高い人気も長く続いている。
さらに小型/普通乗用車でトップ水準の売れゆきとなるコンパクトSUVのライズは、前輪駆動ベースのシティ派だが、フロントマスクは悪路向けの印象が強いデザインだ。このように以前に比べると、野性的なSUVが好調に売れている。
■RAV4は悪路に強い4WDとタフな印象のデザインを採用
RAV4もこの流れに沿っている。角張った外観は力強い印象で、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は190~200mmだから、悪路のデコボコを乗り越えやすい。駆動方式も前輪駆動の2WDはベーシックなグレードに限られ、売れ筋は4WDのみになる。
2Lの自然吸気エンジンを搭載するアドベンチャーとG・Zパッケージには、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させるダイナミックトルクベクタリングAWD(4WD)を採用した。
RAV4には3種類の4WDがある。ハイブリッドには後輪モーター駆動の「E-Four」。ガソリン車は「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と「ダイナミックトルクコントロール4WD」の2種類
カーブを曲がる時は、外側に位置する後輪の駆動力を自動的に高めて、車両が内側へ曲がりやすくする。この機能は舗装路でも効果的だが、RAV4は悪路向けのイメージもアップした。
一方、CR-Vに悪路向けの特徴はない。その代わり1.5Lターボエンジン搭載車には、荷室に3列目シートを装着した7人乗りを用意する。ファミリー向けのSUVだ。
『CR-V』は最高出力190ps、最大トルク24.5kgの1.5L 直噴VTECターボエンジンを搭載する。低回転域の2000回転から最大トルクを発生するエンジンは扱いやすい
■CR-Vのほうが価格設定が割高に感じられる
価格の違いも見逃せない。RAV4の自然吸気エンジンは2L、CR-Vは2.4L並みの性能を発揮する1.5Lターボだから単純には比べにくいが、装備水準が同程度の車種で見ると、RAV4 4WD・アドベンチャーはダイナミックトルクベクタリングAWDなどを装着して331万円だ。CR-V 4WD・EXはベーシックな内容で358万1600円になる。
ハイブリッドは、RAV4ハイブリッド4WD・Gが402万9000円、CR-V e:HEV・4WD・EXは414万5900円だ。全般的にCR-Vのほうが価格は高めの設定になる。そしてRAV4では、価格を抑えたいユーザーに向けて自然吸気エンジンの2WD・Xを274万3000円で用意するが、CR-Vは最廉価でもターボエンジンの2WD・EXが336万1600円になる。
最終的に買うグレードはアドベンチャーでも、最初にグレード構成を見た時、270万円台から用意されるRAV4のほうが第一印象でリーズナブルに感じられる。CR-Vは、いきなり300万円を大幅に超える金額を突き付けられるから、購買意欲が下がりやすい。
RAV4はエントリーモデルXの2WDが274万3000円、4WDモデルが297万4000円から用意されている
そしてCR-Vに、価格に見合う質感があればいいが、逆に落胆させられる。例えばインパネに入るステッチ(縫い目)はイミテーションだ。コンパクトSUVのヴェゼルでは、上級グレードに、本物の糸を使ったステッチが採用される。CR-Vの内装が、ヴェゼルに見劣りするのでは困る。
しかもヴェゼルはコンパクトSUVでは後席と荷室が広いから、7人乗りを求めない限り、ヴェゼルで充分という見方も成り立つ。現行ヴェゼルの自然吸気エンジン車なら、上級のRSホンダセンシングでも252万833円だから圧倒的に安い。
CR-Vは割安なヴェゼルと比較されると明らかに不利で、いわば身内に負けた面もある。
■乗り換え需要の差も売れゆきに影響
そしてRAV4が売れゆきを伸ばした背景には、トヨタのSUVからの乗り替え需要もあった。RAV4が発売された2019年4月時点では、ハリアーは2013年に登場した先代型だ。そのためにトヨタのミドルサイズSUVを求めるユーザーが、設計の新しいRAV4を購入した。
販売店からは「C-HRを目当てに来店したお客様が、後席と荷室が狭いと不満を漏らし、RAV4を紹介して購入いただいた」という声も聞かれた。C-HRもハイブリッド2WD・Gなら304万5000円だから、RAV4ハイブリッド・2WD・Xの334万3000円と大差はない。
しかも最近は残価設定ローンを使うユーザーが増えており、5年間の均等払いなら、C-HRハイブリッド・2WD・Gが月々4万3400円、RAV4ハイブリッド・2WD・Xは月々4万5100円だ。RAV4は人気車で残価率も高いから、価格に約30万円の差があるのに、月々の返済額は1700円しか違わない。こうなるとボディが大きすぎる不満を感じない限り、居住空間や荷室の広いRAV4を選ぶだろう。
またトヨタはかつてRAV4のほかにヴァンガードなども販売しており、SUVへの乗り替え需要も多い。
その点でCR-Vは、2006年に発売された3代目で人気が下がり、2011年登場の4代目は一層売れなかった。そこで国内販売を終了した経緯があるから、CR-Vへの乗り替え需要も乏しい。これも伸び悩みに繋がった。
■最近のホンダはスモールカーのイメージが強い
ブランドイメージの問題もある。今のホンダではN-BOXが圧倒的な売れ筋だ。2020年に国内で売られたホンダ車の内、N-BOXが32%を占めた。軽自動車全体なら53%に達する。
そして「N-BOX+N-WGN+フィット+フリード」の台数を合計すると、2020年に国内で売られたホンダ車の71%に達するのだ。CR-V、ヴェゼル、ステップワゴンなどは、すべて残りの29%に含まれてしまう。
ここまでホンダの売れ筋が小さなクルマに偏ると、ブランドイメージも影響を受ける。300万円以上のSUVを買おうと考えた時、ホンダのCR-Vはイメージされにくい。「ホンダならN-BOXかフィットでしょう」と考えてしまう。
そして販売店でも前述の4車種が好調に売れるから、手間を費やしてCR-Vを売り込もうとは考えない。その結果、ホンダではN-BOXが国内販売の1位を守り、CR-VはRAV4の売れゆきの11%と低迷する。
■トヨタ同士の戦いでRAV4も安泰ではない!
以上のような経緯でRAV4とCR-Vには大きな販売格差が生じたが、RAV4も安穏とはしていられない。最近の売れゆきを見ると、前年と比べて下降が目立つからだ。2020年5月からトヨタも全店で全車を売る体制に変わり、人気車が好調に売れて不人気車は徹底的に落ち込む傾向となった。
販売上位のアルファードと下位のヴェルファイアでは、2020年1月には10倍以上の格差が生まれた。同じトヨタの姉妹車同士なのに、売れゆきには、RAV4対CR-Vと同等の差が付いた。
そして2021年1月の登録台数では、設計が新しいとはいえハリアーが9177台で、RAV4は4162台だ。今後の国内販売は、トヨタ同士の戦いも含めて、激しいバトルの時代に入る。それを象徴するのがRAV4とCR-Vだ。
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みんなのコメント
ハンドルヒーターとリアシートヒーターも、この前のマイナーチェンジでやっと実装されたぐらいだし…。
ナビは、海外版と違って後付けの安物だし、ヘッドアップディスプレイももちろんついていない。
そのくせ値段だけは高いんだから、これ買う人ってホンダ車しか買えない呪いがかかってる人だけでしょ…。