ワイドスタンスを強調するデザイン
欧州で人気のピックアップトラックであるフォード・レンジャーがフルモデルチェンジし、4代目となった。新しいパワートレイン、デザイン変更、そしてキャビンの刷新により、大きく生まれ変わっている。
<span>【画像】新型フォード・レンジャー【現行モデルやブロンコと写真で比較】 全110枚</span>
英国では、現行モデルのレンジャーは2011年から販売されているが、依然として高い人気を誇っている。2020年には1万3097台が販売され、英国の小型商用車の中で第5位にランクイン。トップ10入りを果たした唯一のピックアップトラックとなった。
新型レンジャーは2022年後半に受注が開始される予定で、価格も同時期に発表される。
今回のモデルチェンジにより、米国市場向けのF-150や新型ブロンコを彷彿とさせるデザインとなっている。車幅が50mm広くなり、エンブレム付きの大型ラジエーターグリルを「Cクランプ」のような形状のデイタイム・ランニングライトまで伸ばすことで、ワイドスタンスを強調している。
新デザインのテールゲートには車名が刻印されているほか、サイドはホイールアーチが強調され、リアバンパー左右には荷台へのアクセスを向上させるステップが採用された。前後ライトには初めてLEDが採用されている。
電動パワートレインの導入も
エンジンは、現行の2.0Lディーゼルの冷却性能を向上させただけで、基本的には同じものを搭載している。シングルターボが2種類、ツインターボが1種類あるが、出力はまだ公表されていない。
また、新たに3.0LのV6ディーゼルも追加され、その詳細はまだ明らかにされていないが、現行最強モデルの213psと50kg-mのトルクに勝る性能を謳うことは間違いない。一部の市場では、ターボチャージャー付きの2.3L 4気筒ガソリンエンジンも販売される予定だ。
電動パワートレインの導入も決定しているが、仕様や発売時期などは不明。フォードは2024年までに欧州の商用車ラインナップをゼロ・エミッション化する計画であることから、レンジャーにはプラグイン・ハイブリッドが採用される可能性が高い。2.3Lのエコブーストエンジンがベースになるという報道もある。
トランスミッションには5速および6速MTを採用。軽量化と低回転での牽引力向上を図った10速ATもある。さらに、電子パーキングブレーキを備えた「eシフター」を採用することで、将来的に運転支援システムや半自動運転機能の実装を可能にしている。
レンジャーでは初めて、手動で4輪駆動モードを選択するベーシックなシステムと、高度な電子制御式の4輪駆動システムが設定されている。
車内には大型タッチスクリーン搭載
ボディタイプやグレードとしては、高性能仕様のレンジャー・ラプターや、人気のワイルドトラックなどが引き続き用意されている。内装には上質なソフトタッチ素材を使用し、10.0インチまたは12.0インチの縦長タッチスクリーンには、最新版のインフォテインメント・システム「Sync4」が搭載されている。
フルデジタルのメーターディスプレイでは、表示される情報をカスタマイズすることができ、6つのドライビングモードに合わせてグラフィックを変更できる。また、ドライブライン、ステアリング角、ピッチ角、ロール角などのデータを表示するオフロード専用のビューも用意されている。
荷台と荷台周辺を照らす照明を装備し、リアには400Wのオンボードインバーターを搭載して、作業性を向上させた。テールゲートに内蔵されたクランプにより、切断用の材料を保持するための移動式作業台としても利用できる。
また、荷台の端にはプラスチック製のキャップが設けられ、ボディの傷を防ぐとともに、キャノピーや荷台カバーの取り付けを容易にするアンカーポイントが隠されている。
この他にも、フォードは約600種類の公式アクセサリーを発売する予定だ。
オン・オフでの走行性能を向上
フォード・レンジャーの車両特性開発を担当したロブ・ヒューゴ氏に話を聞いた。
――新型レンジャーでは車幅を広げましたね。これはパフォーマンスにどのような影響を与えるのでしょうか?
「まず、トレッド幅を広げ、ホイールベースを50mm延長しました。前輪を車体前方に寄せることでアプローチアングルを改善し、アクスル・アーティキュレーションを高めて、オンロードではより乗用車らしい挙動を、オフロードではより高い走破性を実現しています」
「また、リアダンパーを外側に移動させたことで、オンロードでの走りがコントロールしやすくなりました。これにより、お客様にはより安定した快適な乗り心地を提供することができます」
――4輪駆動システムに手動式と電子制御式の両方を用意しているのはなぜですか?
「パートタイムの4×4システムは、熱心なオフロード愛好家のためのものです。しかし、現在では、自動の4輪駆動を提供しています。これは、牽引する場合でも、草地や砂利、氷や雪の上でも、お客様の要求に応じて、前後アクスル間でスマートかつインテリジェントにトルクを配分するものです。お客様が求めていることを認識して実現したものです」
――タッチスクリーンとドライビングモードは、オフロードではどのように機能しますか?
「リア・ディファレンシャルロックやヒルディセント・コントロールを探す必要はありません。コンソールにある1つのタッチボタンを押すだけで、必要なものがすべてスクリーン上に表示されます。あるモードではデフロックが作動し、あるモードでは解除されるので、ドライブモードを選択するための物理ボタンを用意しています」
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