2238万円のラグジュアリー・サルーン
text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
長い歴史を誇るAUTOCAR。海外での試乗を済ませているモデルを、改めて英国の道で試乗する際、重点的に評価したいポイントがある。英国の道路事情では、どのような印象を与えるか、だ。
通常、路面が全般的に滑らかなドイツで試乗したモデルの場合、英国ならではといえる路面の傾斜やコーナー、起伏を走らせると、目立った違いが顕になる。アスファルトの欠けや隆起など、舗装状態も悪い場合が多い。
それでは2019年の初め、モナコで試乗した最新のベントレー・フライングスパーを、英国で走らせた印象はどうだろう。16万8300ポンド(2238万円)のラグジュアリー・サルーンだ。
上質さを極めた3チャンバー式のエアサスペンションに、長いホイールベースを持つ。車重もかなりあるが、ラグジュアリー・モデルの場合は有利に働くことも多い。
数年を掛けた、綿密な開発を経ている。ドイツやモナコだけでなく、英国の道でも素晴らしい走りを期待するに充分だ。
全長はおよそ5.3mもあり、全幅はミラーを含めると2.2mを超える。確かにロンドン郊外の狭い道では、大きなボディは少々居心地が悪そうに思える。
しかし、どんな路面やコーナーへフライングスパーを進めても、他のモデルを凌駕する静寂性と快適性、落ち着いた世界に浸ることができる。唯一の例外があるなら、最新のロールス・ロイス・ファントムくらい。一度、AUTOCARで比較テストをしてみたい。
乗り心地は神秘的な魔法の絨毯
フライングスパーに用意されたドライブモード・セレクターを、ベントレー・モードにする。聡明なエンジニアが味付けした設定だ。まさに、神秘的な魔法の絨毯に乗っているかのような体験ができる。
次々に通過する路面の乱れを、ほぼ完璧といえるボディ制御で穏やかになだめる。この体験を補完するように、車内は静かで、インテリアの設えは素晴らしい。
フライングスパーが備えるのは、極楽のような快適性だけではない。ベントレーの特徴は、常に優れた走行性能も持ち合わせているところ。多面性を備えたモデルなのだ。
アクセルペダルを踏み倒せば、最高速度は333km/hに到達する。走る環境が許せば。四輪駆動のトラクションも素晴らしく、0-100km/h加速は3.7秒。フェラーリとのドラッグレースもいとわない。
サーキットでの全開走行も、想定の範囲内。ホイールサイズは標準で21インチだが、オプションで22インチも選択可能。タイヤのブランドはピレリ。市街地でのマイルドなマナーだけでなく、最大1Gのコーナリングスピードに耐えるグリップ力も兼ね備える。
先にも触れたが、エアサスペンションは3チャンバー式。最も硬い乗り心地を選ぶと、用いるチャンバーは1本になるが、最も柔軟な乗り心地を選べば、3本が機能する。
四輪操舵システムが生む扱いやすさ
スポーツ・モードを選択すると、ボディロールやスクワット、ノーズダイブをほとんど打ち消してくれる。フライングスパーでサーキットを攻めるドライバーは、限られるだろうけれど。
標準の調整式エアサスには4モードが用意され、設定によって不満のない足回りの変化をもたらす。さらに今回の試乗車には、オプションとなる電圧48V制御のアクティブ・ロール・コントロール・システムも搭載。姿勢制御は一段と引き上げられていた。
恐らく、英国ならシルバーストーン・サーキットを走る以外、スポーツモードは硬すぎると感じるだろう。コンフォートならその名の通りの、快適さを味わえる。ただし路面状態が特に悪い場面では、目の肥えたリアシートのオーナーは、弾むような動きを感じ取るかもしれない。
やはり選ぶならベントレー・モード。フライングスパー本来の落ち着きを取り戻す。初めからこれにしておけば、間違いない。
パワーステアリングは電動式。油圧式に拘りを持つ従来的なドライバーの中には、疑問を感じる人もいるだろう。
この可変レシオをもつシステムは、四輪を操舵する。ロックトゥロックは2.5回転以下とクイックで、最小回転直径は11mとタイト。ドライバーへのストレスを軽減してくれるうえに、フィーリングはとても自然。
直進付近では素晴らしい精度を持ちつつ、タイトコーナーでの操作も容易。ステアリングホイールには、しっかりとした感触が伝わってくる。厳密に操舵感の自然さを突き詰めていくのは、やめておこう。
フライングスパーに最適化された骨格
どんな評価をもってしても、全長5.3mのクルマは小さくない。それでも四輪操舵の助けもあり、ラグジュアリーカーを日常的に運転するドライバーにとって、扱いやすいと呼べる範囲には何とか収まる。オーナーでも、運転手でも。
週末の混雑したスーパーマーケットの駐車場は、少し場違いかもしれない。強く望めば、駐車はできるけれど。
既知の事実だが、従来のベントレー製クーペやサルーンは、フォルクスワーゲン・グループのプラットフォームを用いてきた。このフライングスパーも、ポルシェ・パナメーラと構造部分を共有する。
今までと違うのは、ポルシェが新型パナメーラの設計を開始した時点で、フライングスパーの存在も考慮されていたこと。ホイールサイズやブレーキのクリアランス、サスペンションのストローク量、エンジンの搭載位置など、重要な要素はベントレーとして最適化できている。
プロジェクトリーダーのピーター・ゲストが話すとおり、アルミニウム・ストラクチャーと単純には呼べないほど複雑な設計を得ている。長く強固なボディの内側には、アルミニウムだけでなく、複合素材や様々な種類のスチールが適材適所で用いられている。
ボディパネル自体は、スーパーフォーミング成形された、アルミニウム。相当に豪奢な内装の設えと、充実した装備を備えつつ、大きな車体の重量は2437kgに抑えてある。
この続きは後編にて。
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