今季のF1はアメリカ大陸での3連戦に突入しているが、当初マクラーレンはアメリカGP、メキシコシティGP、サンパウロGPでは強みであるダウンフォースを活かせず、弱点とする低速コーナーで苦しむことで、パフォーマンスを発揮できないのではないかと懸念していた。しかしメキシコを後にした段階では、その心配は杞憂に終わっている。
アメリカGPでは、ランド・ノリスが2位表彰台を獲得。メキシコシティGPでもノリスが17番グリッドスタートながら5位まで追い上げて見せるなど、そのレースペースは表彰台を争うに十分なレベルであった。
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これについてマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、苦手と思われていた低速コーナーを有するサーキットでのレースペースについて、理解を深める必要があると述べた。
「(予選で)0.5秒も遅れるとは思わなかったし、逆に(決勝で)ここまで速いとは思っていなかった。だから分析すべき部分がある」
「この傾向をジグソーパズルのように解き明かしていかなければならない」
「メキシコ特有の要素に、低速区間がある。他のサーキットではできないような低い車高で走ることができるが、ある意味で我々の繊細さをカバーしてくれる」
「しかし実際に(予選で)起こったのは、ランドが高速域で苦しみ出したということだ。額面通りに解釈することはできないので、このパターンについて分析しなければならない」
「イタリアっぽい言い方をすると、我々の毛布は短い(カバーできる領域が狭い)。中低速にマシンを合わせると、高速域で問題が出てくる。妥協すべき点が多いのだ」
「来季に向けて取り組んでいるのは、この毛布をもう少し長くすることだ」
マクラーレンはメキシコのような低速区間のあるサーキットでも強力なレースペースを見せたが、ステラが指摘するように予選では苦労した。彼らが得意とするカタールでは、ノリスとオスカー・ピアストリがスプリント予選でフロントロウを独占し、オースティンでのアメリカGPでもノリスがフロントロウに入った。一方メキシコではピアストリがトップと0.5秒差の7番手で、ノリスがQ1敗退となった。
シンガポールGPからのアップデートで大幅に戦闘力を増したマクラーレンだが、こういった傾向はアップデートの意図せざる副作用かもしれない。ステラはこう語る。
「この仮説は厳密な調査が必要だ」
「興味深いことに、新しいマシンはレースペースが向上したようだが、予選においてはどちらかというとトリッキーになっている。そこは理解する必要がある」
「ランドでさえクリーンなラップをまとめるべき時にマシンは安定せず、彼も驚いていた。なぜこのマシンが予選での予測可能性という点で劣化したと思われる一方でレースで強くなったのか、その理由を理解することに取り組まないといけない」
ただ、マクラーレンは低速コーナーの多いサーキットでも表彰台を争えるパフォーマンスがあると証明されたのは確か。次戦の舞台であるブラジルのインテルラゴスにも低速区間が存在するが、ステラは以前より楽観的になれているようだ。
「この3連戦の前であれば、ブラジルは難しいと言っていただろう」
「ただオースティンとメキシコのレースを見て、うまく週末をまとめ上げれば表彰台を争えると少し楽観的になっている」
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