現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜

ここから本文です

FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜

掲載 4
FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜

ドライバーを魅了したホンダのFFスポーツ

記念すべき初代ホンダCRX(CR-X) Siの発表は、1984年。クルマ好きの話題をさらった、小さなクーペだ。

【画像】FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 同時期の欧製ホットハッチ CR-Zも 全123枚

同クラスのライバルより軽いボディに、1.5L 3気筒の燃料インジェクション・エンジンを搭載。文句なしのFFスポーツと呼べる性能を備えつつ、今の金額で2万1000ポンド(約407万円)相当という手軽さで、多くのドライバーを魅了した。燃費も良かった。

完成度の高さに調子づき、翌年には同じ1.5Lユニットをハッチバックのシビックにも搭載。これもSiと名付けられ、ホンダ製ホットハッチの原型が誕生している。

今回ご登場願ったのは、まさにその2台。アメリカ・カリフォルニア州にあるアメリカン・ホンダ・モーター社のコレクションホールへ、普段は展示されている北米仕様だ。

この「Si」グレードはプレリュードにも登用され、北米市場で長く愛用されている。現行のシビックにも、Siは用意されているほど。ATがメジャー化する中でMTを指定できる、数少ない量産車の1台になっている。

今でも、身近な価格帯にあるスポーティなホンダ車が好きだ、というアメリカ人は少なくない。ピックアップトラックやフルサイズSUVの国ではあるけれど。

ルネッサンス・エクスペリメンタル

1980年代に、大成功と呼べる支持を構築したシビック。アメリカン・ビッグ3、GMやフォード、クライスラーの例に習って、ホンダは1983年の3代目から、4年毎にモデルチェンジするというライフサイクルを導入した。

ボディ・バリエーションも拡大された。3ドアハッチバックや4ドアサルーンに加えて、5ドアのMPV、シャトルを導入。2ドアクーペのCR-Xもその1つだ。排気ガス規制の緩かった日本と欧州では、燃料インジェクション・エンジン仕様も発売された。

他方、規制の厳しいアメリカでは、当初は1.3Lのキャブレターのみ。そのCR-X HFは60psに留まったが、燃費が強みだった。

ウェッジシェイプの滑らかなボディを持ち、CR-Xは3代目シビック・シリーズの中でも特に空気抵抗が小さい。軽さも手伝い、現地のテスト結果で23.7km/Lという高効率を達成していた。

CR-X Siは、1984年末に北米市場へ上陸。僅かにデチューンされ、1.5L SOHCエンジンは92psを発揮した。

アルファベット3文字のモデル名は、シビック・ルネッサンス・エクスペリメンタルの略だとされている。英語を母国語としない、日本的な表現といえたが、スポーティでカッコいいイメージを醸し出していたことは間違いないだろう。

前輪駆動のスポーツ・クーペとしては、ランチア・フルビアと、その後継に当たるベータが存在したが、その程度。FFスポーツを実験(エクスペリメンタル)する意図が、ホンダにはあったのかもしれない。

全長は3675mm 新しい種類のMGミジェット

ホイールベースは、3代目シビックより短い2200mm。全長は3675mmしかなく、新カテゴリーを開拓した存在といってもいい。その頃のAUTOCARは、「新しい種類のMGミジェット」だと表現している。

ご存知の通り、日本仕様や欧州仕様にはリアシートが存在した。荷室の床面部分を立ち上げた簡素なベンチシートで、座れても子ども程度だったが。北米仕様では、前席のみの2シーターという設定だった。

ハッチバックのシビックより実用性は劣るが、前席側の空間は驚くほど広い。リアハッチの下には、意外なほど大容量の荷室が隠れている。

車重は830kgと軽量で、バンパーだけでなくフロントフェンダーとフロントパネルもプラスティック製。ホンダの技術者、川本信彦氏は、自動車雑誌のカー&ドライバーの取材で、「効率は性能に等しい」と1984年に発言している。軽さも、その1つといえた。

フロントサスペンションは、コンパクトなトーションバー式。フォルクスワーゲン・ビートルより洗練され、横方向に渡されたバーが、スプリングの役割を果たす。次世代ではコイルスプリングへ戻されるが、機敏なシャシーの一部を構成している。

リアサスペンションは、コイルスプリングが支えるビームアクスル。高度な設計とは呼べなくても、クーペの能力を充分に引き出せた。

以心伝心するようにクルリと回頭

他方、CR-X Siのステアリングレシオは、通常のモデルよりスロー。アンチロールバーと幅の広いタイヤが組まれることで、クイックすぎると判断された。

ロックトゥロックはほぼ4回転。オーバーハングはほぼないといえ、以心伝心するかのように、クルリと向きを変える。ボディロールも極小。それでいて、同時期のプジョー205やフォード・フィエスタと比較して、高速走行時の直進性にも優れる。

実際にステアリングホイールを握ってみれば、CR-X Siは往年のホットハッチのイメージそのまま。フロントタイヤのグリップ力は高く、リアタイヤはそれについていく感じ。操縦性はアンダーステアに近いものの、きっかけを与えない限りほぼニュートラルだ。

今回の試乗はアメリカン・ホンダ・モーター社の敷地内に限られ、乗り心地は確かめにくい。荒れた公道では、旋回中にリアタイヤが跳ねる可能性はある。少なくとも、速度抑制用のスピードバンプでは、構わず通過しても暴れることはなかった。

この続きは、ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(2)にて。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(2) 現代人へ理想的なデトックス 熱くなれる92ps!
ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(2) 現代人へ理想的なデトックス 熱くなれる92ps!
AUTOCAR JAPAN
「トヨタMR2」登場で計画変更! パンサー・ソロ 2(1) 独創的なカタチ 複合素材のタブシャシー
「トヨタMR2」登場で計画変更! パンサー・ソロ 2(1) 独創的なカタチ 複合素材のタブシャシー
AUTOCAR JAPAN
どんなイベントでも大注目? パンサー・ソロ 2(2) チャンスを逃した驚くほどの動的能力
どんなイベントでも大注目? パンサー・ソロ 2(2) チャンスを逃した驚くほどの動的能力
AUTOCAR JAPAN
【ハイテク機能を搭載した帰国子女】ホンダCR-V e:FCEV試乗記
【ハイテク機能を搭載した帰国子女】ホンダCR-V e:FCEV試乗記
AUTOCAR JAPAN
マクラーレン・アルトゥーラ 詳細データテスト 改良されたエンジンとシャシー 冷静からやや情熱的に
マクラーレン・アルトゥーラ 詳細データテスト 改良されたエンジンとシャシー 冷静からやや情熱的に
AUTOCAR JAPAN
アウディ e-トロンGTの最強仕様 RS パフォーマンスへ試乗 0-100km/h 2.5秒! 925psでも差別化は難しい
アウディ e-トロンGTの最強仕様 RS パフォーマンスへ試乗 0-100km/h 2.5秒! 925psでも差別化は難しい
AUTOCAR JAPAN
ロータスのハイパー電動SUV「エレトレR」が体現する近未来のクルマ造り
ロータスのハイパー電動SUV「エレトレR」が体現する近未来のクルマ造り
@DIME
ゴツい見た目に圧倒! スポーツバイク顔負けの高性能でどこへでもラクに行ける 大型「大パワーアドベンチャー」3選
ゴツい見た目に圧倒! スポーツバイク顔負けの高性能でどこへでもラクに行ける 大型「大パワーアドベンチャー」3選
VAGUE
むしろ「モンデオ」の後継車? フォード・カプリ AWDへ試乗 目標はファミリースポーツカー
むしろ「モンデオ」の後継車? フォード・カプリ AWDへ試乗 目標はファミリースポーツカー
AUTOCAR JAPAN
ちょっとマイナーな「珍車」ばかり! VWの博物館がすごかった 秘密のコレクション 18選
ちょっとマイナーな「珍車」ばかり! VWの博物館がすごかった 秘密のコレクション 18選
AUTOCAR JAPAN
新車「800万円超え」の軽自動車! でも乗ればホレる完成度 スズキ製エンジンでなぜ?
新車「800万円超え」の軽自動車! でも乗ればホレる完成度 スズキ製エンジンでなぜ?
乗りものニュース
日産キャシュカイ:市場へ巨大な影響 トヨタ・カローラ:ファミリーカーの伝説 ヴォグゾール・コンボ:積載量マックス 誇らしきUK製モデル(2)
日産キャシュカイ:市場へ巨大な影響 トヨタ・カローラ:ファミリーカーの伝説 ヴォグゾール・コンボ:積載量マックス 誇らしきUK製モデル(2)
AUTOCAR JAPAN
611psでサーキットへ最適化! メルセデスAMG GT 63「プロ」へ試乗 圧巻のパフォーマンス
611psでサーキットへ最適化! メルセデスAMG GT 63「プロ」へ試乗 圧巻のパフォーマンス
AUTOCAR JAPAN
トヨタの新時代「4ドアスポーツカー」誕生!? 306馬力×フェラーリ似とも言われた「スポーツSUV」発売から1年! 斬新クラウンの反響は?
トヨタの新時代「4ドアスポーツカー」誕生!? 306馬力×フェラーリ似とも言われた「スポーツSUV」発売から1年! 斬新クラウンの反響は?
くるまのニュース
日産の「901活動」から生まれた! 7代目 B13型「日産・サニー」とは
日産の「901活動」から生まれた! 7代目 B13型「日産・サニー」とは
バイクのニュース
海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれなアイテムから悪趣味なものまで 34選 前編
海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれなアイテムから悪趣味なものまで 34選 前編
AUTOCAR JAPAN
SUVに飽きた!? ならばピックアップはどうだ! 日本じゃ買えないモデルも多い 国産「ピックアップトラック」の魅力とは
SUVに飽きた!? ならばピックアップはどうだ! 日本じゃ買えないモデルも多い 国産「ピックアップトラック」の魅力とは
VAGUE
【スポーツカーの宝庫!】S2000、ビート、CR-ZにS-MX!一代限りで終わってしまった名車たち:ホンダ編
【スポーツカーの宝庫!】S2000、ビート、CR-ZにS-MX!一代限りで終わってしまった名車たち:ホンダ編
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

4件
  • pmx********
    1.5L 3気筒のエンジンが存在していたとは初めて知った、さすがにプロの取材力は凄いな
  • dar********
    シビック•バラードシリーズにDOHC4バルブのエンジンが追加されたが、それはCVCCエンジンではなかった。1970年代の排気ガス規制が厳しくなった時代には大注目をあびたCVCCエンジンだったが80年代に入ると排気ガス規制も一段落して各メーカーは再び馬力競争をするようになり、CVCCは人知れず消えて行った。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村