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ZFのコ・パイロットと次世代ソリューションを探索

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ZFのコ・パイロットと次世代ソリューションを探索

上海モーターショー2019

電動化の波は避けられないというのは、もはや常識となったが、電動化するにあたり、数多くのソリューションを提供するメガ・サプライヤーZFでは今、どんなソリューションやアプリケーションを用意しているのか、ZFのEVソリューションに関しDr.Ye氏に聞いてみた。

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ZFの強み

ーーDr.Ye(ドクター.イエー/叶国弘)
電動化の流れで、ZFとしてはさまざまなアプリケーションを用意し、また、カスタマー(自動車メーカー)とのすり合わせによって、要望に応えていく体制を持っています。

記者高橋:具体的には、今、どんなアプリケーションがありますか?

ーーDr.Ye
みなさんよくご存知だと思いますが、8速ATにモーターを組み込んだタイプの8HPがあります。モーターの大きさやバッテリーサイズはフレキシブルで、最大100kWの出力があり、カスタマーの要求に合わせて変更できます。また、ポルシェと共同開発している8DTがあります。これは8速のDCTで400Vの高電圧仕様になっています。モーターの配置はP2ポジションで、エンジンとミッションの間にモーターを置いたPHEVを提供しています。

記者:量産モデル向けでは何かありますか?

ーーDr.Ye
mSTARSというモジュラー式のアプリケーションがあります。これはリヤアクスルにモーターを搭載したもので、リヤアクスルを入れ替えるとEVになるというものです。A、B、セグメントサイズを中心に提案しているもので、もちろん出力はいろいろ設定できます。mSTARSは、モジュラー・セミ・トレーリング・アーム・リヤ・サスペンションの略で、EV、ハイブリッド車、燃料電池車、また4WDモジュールなどと組み合わせて使用することができます。

既存の生産ラインにおいて、リヤアクスルの工程で、このmSTARSを組み込む工程に変更することで、搭載が可能となり、150kWのモーターやリダクションギヤ、パワーエレクトロニクス(インバーター)、デフ、そして制御ソフトも組み込まれているので、ボルトオンでEV化ができるというアプリケーションだ。

記者:カスタマーの要求にあわせるとなると、いろんなタイプのモーターが必要となりますが、どれくらいの種類を持っているのでしょうか?また、自社製でしょうか?

ーーDr.Ye
モーターはすべてZFで製造しています。モーターの種類は何種類という言い方は難しく、カタログに載せてカスタマーに選んでもらうというやり方ではなく、カスタマーの要求に合わせていくテーラーメイド方式でやっています。

記者:パワーコントロールユニット(インバーター)などはいかがですか?

ーーDr.Ye
PCUは競争領域のひとつです。特にパワーモジュールと半導体といったものは開発競争が激化していくと思います。PCUの3層において、それぞれの専門領域での開発競争になっています。ZFではPCUの開発だけでなく、eモーターやトランスミッション、ソフトウエアなどもひとつのパッケージとしたもので提供できるのが強みだと考えています。もちろん、それぞれをパーツとして供給することも可能です。

ということなので、ZFではどんなポートフォリオがあるのかオート上海2019の会場に展示されていた商品を覗いてみた。

オート上海展示ブース

●CO PILOT (コ・パイロット)

ジャガーI-PACEをベースに展示したメインディッシュがこのコ・パイロットだ。前回のレポートでお伝えしたレベル2+のADAS(高度運転支援システム)を搭載したプロトタイプカーだ。自動で先行するクルマを追い越し、車線に戻ることやインターチェンジのようなカーブもクリアし、高速道路を自動で乗り換えることができる運転支援システム。これを自動車メーカーへ提供するアプリケーションとしてアピールしている。

●アクリルカー

透明のクルマの展示はZFのアプリケーション搭載をわかりやすく見せている。分野として、エアバッグ、シートベルトなどの乗員保護安全システム、バイワイヤーのステアリングシステム、ブレーキシステム。そしてシャシーでは前後アクスルなどのハードパーツ、AI系ではカメラやレーダー、ライダーなどが搭載されている。

see think act

もう少し具体的に見てみよう。ZFの次世代開発テーマには「see think act」のキーワードがあり、それぞれこのキーワードの範疇で展示されている。まず、Automated Drivingの分野では、ソリッドステートのライダー、フルレンジ、ミッドレンジ、ショートレンジのレーダー、望遠、中距離、魚眼の3眼カメラであるトライカムや100度の視野角で歩行者などの検知に威力がある単眼カメラS-Cam4などの「see」見る、検知する展示物だ。

そして2019年1月の北米CESで発表した「ZF ProAI RoboThink」をはじめとする、スーパーコンピューターの第1世代から、この第4世代までが展示されている。もちろん「Think」の分野のポートフォリオだ。

面白いところではSound AIがある。これは「聞く人工知能」だが、緊急車両のサイレンの音を聞き分け、車両を端に移動させるためのもので、自動運転を実現するには、こうした知能も必要となってくるわけだ。

そして「act」の分野では見て、検知して、考えたアルゴリズムから車両を動かしていく。そのためのアプリケーションがステアリングシステム、ブレーキシステム、トランスミッション、駆動システムといったポートフォリオを用意しているわけだ。

次世代のテクノロジー

そして、自動運転化を先に進めていくには、プレスカンファレンスでシャイダーCEOが話していた、「次世代モビリティではAutomated Driving、Electric Mobility、Integrated Safety、and Vehicle Motion Controlが重要だ」ということ。中でも車両のモーションコントロールにおいて必要とされる展示物では、統合制御されるブレーキシステムを筆頭に、電動のブレーキブースターを備えたバイワイヤーシステム、そしてステアリングもバイワイヤーが部品として展示されていた。

自動運転では前述のZF ProAI RoboThinkを筆頭に「think」するためのセンサー類、渋滞時用のアルゴリズムなどが要求されてくる。そして安全装備はエアバッグやシートベルトといったものになる。そして電動化では冒頭のインタビューにあるハイブリッドやmSTARSなどのアプリケーションで対応していくというものだ。

こうしてZFの重要人物にインタビューを重ねてみると、乗用車における自動運転を早急に進めている印象はなく、ハノーバー商用車ショーのインタビューで答えているように、商用車ではトラックターミナルや空港、農場などの限定的なエリアではすでに自動運転を実現に向けて、また、一部実現されている。

だが、乗用車に関しては、2020年に公道での自動運転を目指す日本政府とは違い、センサー類やAIなどの高コストとなるため、回収のできる商用車からはじめ、そこからの知見をベースに徐々にコストダウンをし、乗用車へ普及するというロードマップのように見える。

したがって、今回のメインディッシュも、あくまでもレベル2の高度運転支援システムをより洗練されたものへとすることにとどめたコ・パイロットであり、法律の問題も含めじっくり様子をみているという印象だ。

ただ、システムサプライヤーである以上、カスタマーからの要求には答える必要があり、そのためレベル4が実現できるソリューションやアプリケーションは怠りなく準備しているのは間違いない。実際2019年ドイツ・アーヘンとフリードリッヒスハーヘンでは、インフラ協調したレベル4のミニバス(15人乗り)の実証実験を行なうのだから。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

上海モーターショー
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