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野尻智紀がポール・トゥ・ウインで今季2勝目。1周目に2台が宙を舞う多重クラッシュが発生【SF第7戦決勝レポート】

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野尻智紀がポール・トゥ・ウインで今季2勝目。1周目に2台が宙を舞う多重クラッシュが発生【SF第7戦決勝レポート】

 2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦決勝レース(37周)がモビリティリゾートもてぎで行われた。スタート直後に多重クラッシュが発生し、赤旗中断をはさむ荒れた展開となったこのレースで、ポールシッターの野尻智紀(TEAM MUGEN)が2位に7.4秒の差をつけてポール・トゥ・ウインをき決め、今季2勝目をマーク。ポイントランキングでもトップとの差を大きく縮めることに成功した。

 2位は終盤のタイヤ交換で怒涛の追い上げを見せた平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、3位にはチームとしては初表彰台となる大湯都史樹(TGM Grand Prix)が続いた。

【正式結果】2023スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ 決勝レース

 決勝レースがスタートする直前の段階で、気温は33度、路面温度は46度を記録。ポールポジションの野尻は順当にスタートを切ってトップで1コーナーを通過。自己ベストグリッドだったフロントロウの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は痛恨のエンジンストールで最後尾まで後退してしまった。

 代わって2番手に上がったのは3番手スタートのリアム・ローソン(TEAM MUGEN)で、TEAM MUGENの2台は並んで2コーナーへと侵入していくが、アウト側に位置していたローソンが縁石にタイヤを落としてしまい、挙動を乱してスピン。回りながらコース側へと寄ってきたことで、後続が大混乱に陥ることになった。

 平川、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)の2台は辛くもローソンのマシンをよけることができたが、その後方にいた関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はよけきれずにクラッシュ。2台はローソンのマシンに乗り上げるように接触し、空中で回転しながらタイヤバリアにヒットした。また、このアクシデントを回避するように芝生に飛び出していた松下信治(B-Max Racing Team)が関口と牧野のマシンと絡む形で接触。結果、2コーナー先で3台のマシンがストップしてしまった。

 レースは即座に赤旗中断。関口と牧野のマシンと接触したローソンのマシンはリヤウイングを大きく破損したが走行は可能だったようで、そのままピットイン。その他の18台はホームストレートに並んで停車した。この赤旗中断中、クラッシュのすぐ後ろにいた大嶋和也(docomo business ROOKIE)と阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)はタイヤを交換、また混乱の中でノーズにダメージを負った小高一斗(KONDO RACING)はノーズ交換を行っている。

 15時50分、セーフティカー(先導)でレースは再開。ピットに戻っていたローソンはTEAM MUGENのスタッフの迅速な作業でリヤ周りの修復が叶い、ピットスタート。隊列の最後尾に着いた。そのローソンはレース再開後、赤旗中のピット作業に対してドライブスルーペナルティが科され、ポイント圏外へと後退してレースを終えることとなる。

 セーフティカー(SC)先導で2周回を終え、4周目にリスタートが切られた。上位のオーダーは、野尻、大湯、平川、可夢偉、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)というトップ6。TCS NAKAJIMA RACINGの2台は多重アクシデントの中をうまく回避し大きくポジションアップした形だ。その後方では、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が1コーナーで小高を攻略して9番手に浮上。10番手に後退した小高はそのまま福住仁嶺(ThreeBond Racing)にも迫られ、5周目の1コーナーでイン側から仕掛けられるも、何とかしのぎ切ってポジションを守っている。

 佐藤の後方では、山下健太(KONDO RACING)、阪口、坪井による7番手争いが白熱。特に阪口と坪井のチームメイト対決はテール・トゥ・ノーズの状態が続いていたが、8周目に坪井のマシンにトラブルが発生し突如スロー走行。ピットに戻ってこられたものの、マシンの修復は難しくここでリタイアとなった。

 タイヤ交換が可能となる10周を終えたところで、いち早くピットに向かったのは3番手を走行していた大湯。その後ろでは、佐藤、阪口、福住、太田も同じく10周を終えたところでピットインしている。ここで、タイヤ交換を終えてピットを離れようとした佐藤と隣り合ったピットに入ってきた太田が接触。太田はフロントノーズを破損し、佐藤もタイヤにダメージを負ってしまう。このアクシデントに対しては佐藤にアンセーフリリースのペナルティが科されることになった。

 翌周には、暫定3番手を走行中の可夢偉がピットイン。久々の上位入賞、表彰台獲得が見えていた可夢偉だったが、右リヤタイヤの交換に時間がかかり大幅なタイムロスとなってしまった。同じく11周終了時点で小高、大嶋、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM'S)もタイヤ交換を済ませ、これで半分以上のマシンがタイヤ交換の義務を消化。野尻、平川、山本、山下、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM'S)、国本雄資(Kids com Team KCMG)の暫定トップ6の後ろに、“裏1番手”の大湯が着けてレース中盤に入った。

 ここからは、大湯に対してピットロード通過とタイヤ交換作業分のマージンを稼ぐべく、野尻は消耗したタイヤでプッシュ。16周を終えたところで両者の差は30秒弱あったが、野尻はじわじわと大湯との差を広げ、32周を終えるところでは31秒以上に拡大。25周を終了してピットへ向かった野尻は7.2秒の作業時間でピットアウトすると、大湯の前でコース復帰に成功した。

 野尻の後ろにつけていた平川は、翌26周を終えたところでピットイン。しかし、9.4秒とやや作業に時間がかかり、大湯の逆転を許して暫定4番手に。さらに後ろからは、少し前にタイヤ交換を終えウォームアップも済ませた山本がファステストラップを更新する猛烈な勢いで接近してくる。2台は27周目の90度コーナーで接触。イン側に位置していた山本は左フロントの足回りにダメージを負い、そのまま翌周の1コーナー先でストップしリタイアとなった。

 平川の方にはダメージはなかった模様で、29周目には山本がマークしていたファステストラップを更新。一気に大湯に近づくと、32周目のS字コーナーで鮮やかなオーバーテイクで2番手に浮上した。

 最後までタイヤ交換を引っ張っていたのは宮田。29周を終えてピットに向かうと平川の後ろ、4番手でコースに復帰した。まだタイヤが温まっていないアウトラップは背後の阪口に詰め寄られ、いったんはポジションを明け渡したものの、すぐに4番手を取り戻すと、タイヤのマージンをフルに使って前を猛追。平川にとらえられ3番手に下がっていた大湯とは7秒以上のギャップが広がっていたが、1周2秒速いペースでその差を縮め、みるみる追いついていった。

 宮田がピットに向かったことで再びトップに返り咲いた野尻は、終盤まで速いペースを保って周回。2位の平川はさらに速いペースで差を削ってきたが、10秒以上の差を逆転することはできず、野尻がトップチェッカー。ポールトゥウィンで今シーズンの2勝目をマークした。2位の平川は7番手スタートから大きくポジションアップ。3位には、0.4秒差で宮田の猛追を振り切った大湯が入り、ケガからのスーパーフォーミュラ復帰戦で見事表彰台の一角を手に入れた。

 宮田は4位入賞。ローソンがノーポイントに終わったことで8ポイント差でランキングトップをキープした。野尻はランキング3位で順位こそ変わらず。ただ、宮田に対しては10ポイント差、ローソンに対しても2ポイント差に縮めている。

 次戦となる2023年シーズン最終大会、第8戦&第9戦は10月28~29日に鈴鹿サーキットで開催される。

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