新車装着時のタイヤがすり減って、「そろそろ交換時期だなぁ」となった時、何を基準にタイヤ選択をしたらいいか?価格も大事だが、性能はもっと大切。今回、標準装備がランフラットタイヤのBMW320iツーリングをモデルに、ノーマル・エアタイヤのコンチネンタルのプレミアム・スポーティタイヤ「プレミアム・コンタクト6」を試してみた。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
ランフラットタイヤはパンクしても、80km/h程度は走行できるというが、もちろん絶対ではない。パンクの状況次第では、走行できなくなる場合もある。ただ、超高速域でパンクした場合、空気の抜け具合が一気に抜けないため、ステア操作が可能で安全に減速、停止が可能だとさている。
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そのため欧州のプレミアムモデルは積極的に採用している。プレミアムモデルは160km/h以上のスピードで連続走行するケースがあるからだ。しかし、量販モデルにはノーマルタイプが採用され、またプレミアムモデルもすべてがランフラットというわけではない。
ランフラットタイヤとノーマルタイヤではハンドリングや乗り心地に違いがでるという話も聞くので、今回は欧州の乗用車に装着率の高いコンチネンタルタイヤの「プレミアム・コンタクト6」というタイヤに交換してみた。
■コンチネンタルタイヤのラインアップ
欧州車の標準装着タイヤとしてはコンチネンタルタイヤの装着率が高い。コンチネンタルのブランドにはポルシェなどのハイパフォーマンスカー用「スーパースポーツ」から、エコ&スタンダードなグレードまでフルラインアップしている。今回装着するクルマはBMW320iツーリングでラグジュアリーグレード。なので、スポーツグレードの「スポーツ・コンタクト」シリーズではなく、ウェルバランスの「プレミアム・コンタクト6」をチョイスした。
乗り心地がよくなる、スポーツ性も損なわない、そしてウエット性能のレベルも高いというプレミアム・コンタクト6は、ロードインデックスがエクストラロードであることも見逃せない。タイヤの表記としては「XL(エクストラロード)」とか「RF(レインフォース)」といった表記になる。
これは欧州のタイヤ規格で、タイヤの空気圧と負荷能力を標準規格より高く設定したタイヤで、そのタイヤに負荷することが許される最大の質量を示す指数が書かれている。
装着するタイヤは標準サイズで「225/50 R 17 XL 98Y」で「タイヤ幅mm/扁平率 ラジアル、インチ数、エクストラロード、そして98Y」という意味で、98Yは負荷能力750kgで最高速度は300km/hまでOKなタイヤと捉えていい。同サイズ、同グレードで国産のタイヤと比較すると一目瞭然で、負荷能力だと650kgから710kgが多く速度レンジも240~270km/hが多い。
欧州車は乗員の数によってもタイヤの空気圧を変更するように指示があり、1名乗車と5名乗車では0.5kg/cm2違うことは珍しくない。一般的に国産車は2.0kg/cm2(200kPa)に設定したら、高速走行でも多人数乗車でも空気圧を変えることはない。が、欧州車では細かく指示されている。さらに前後でも数値が異なるのが一般的なのだ。
そして、今回のプレミアム・コンタクト6はフロント2.2kg/cm2でリヤ2.4kg/cm2という設定で装着した。エクストラロードのタイヤは標準タイヤより空圧設定が高めというのも特徴のひとつだ。
■プレミアム・コンタクト6
選択したプレミアム・コンタクト6の特徴をまとめてみると、スポーティさとコンフォート性を両立させる高次元でバランスしたタイヤという位置づけだ。ライバルとしてはダンロップ・ルマンやブリヂストン・レグノ、ヨコハマ・アドバンdb、ミシュラン・プライマシー4あたりのタイヤだ。
そして欧州ではユーザーがもっともタイヤに求める性能として、ウエット性能がある。このプレミアム・コンタクト6は、シリカ配合の比率を高め、キャップ部に採用するなどして、欧州のタイヤラベリング制度でウエットブレーキ性能は最高ランクの「A」を獲得している。
コンフォート性能では、ブロックの変形が起きにくいように最適化されたパターンデザインと、路面への接地面積が最大化する技術ワンダー・ウエア・ポリマーによって快適な乗り心地と静粛性を高めている。
そしてスポーツ性能では、よりスポーティなタイヤ「スポーツ・コンタクト6」に採用された技術、アドバンスンド・マクロブロック・デザインによって、左右非対称デザイン、アウト側が幅広いショルダー部を持つデザインとしている。さらにブロックの変更を抑制する非対称リブ・アングルのパターンを採用することで、高いグリップ性能を確保している。
■試乗インプレッション
交換前のタイヤは残り溝が少なく、間もなくスリップサインが出てくるほど摩耗していた。プレミアム・コンタクト6に交換し、店舗のピットを出て、縁石を乗り越えた瞬間から、「うわ!乗り心地が柔らかい」と感じる。そして走り出すと「ロードノイズ小さくて静かだ」というファーストインプレッションだった。
その後100kmほど馴染ませる意味で、慣らし運転をしたあと、ワインディングや高速を走ってみた。
高速道路では圧倒的に静かになり、車室内の静粛性が上がった。そして直進の安定性も変わりなく、ランフラットから変更したデメリットは顔を出さない。逆にこちらのほうが遥かによい、という印象だ。そしてワインディングでも同様に好印象。すり減ったランフラットとの比較という部分もあるが・・・。
ステア操舵の初期応答が鈍くなることもなく、これまでと大きく変化はない。BMWらしさのハンドリングは健在と言っていい。ややタイヤに負荷をかけるコーナリングをしても、全く問題なくBMWのリニアなフィールはしっかりとある。ただ少しだけ柔らかさを感じることもあるが、それは駐車場などで低速時に操舵したときに感じることなのだが、それは「タイヤを交換した」ということを意識しているために気づくこと、というレベルだと思う。
ランフラットの特徴には重量があり、ノーマルタイヤと比べれば重くなっている。つまり、バネ下重量は軽くなっているが、そこは残念ながら感じ取ることはできない。おそらく燃費にもいいハズだが、実際の数値に出るほど燃費も変化はなかった。走り方の違いのほうが燃費には影響が大きい。
スペアタイヤを搭載していない標準ランフラット装着車にノーマルタイヤを装着した場合、応急処置用としてパンク修理材を搭載しておきたい。また、車検はこの修理材を搭載してれば、問題なくクリアする。冬場はスタッドレスを履くユーザーであれば、こうした変更には特に抵抗感もなく、履き替えができるだろう。BMWマニアの間では、クルマの性能を100%引き出せないということも聞くが、メルセデス・ベンツではランフラットとノーマルが選択できる設定になっているなどから、あまりこだわる必要はないのかもしれない。
コンチネンタル 関連情報
コンチネンタル 公式サイト
取材協力:タイヤガーデン代沢
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