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ボルボ XC90のPHEV「T8」の動き出しの自然さ、ペダル開度とのシンクロは電気モーターゆえのメリット

掲載 更新 7
ボルボ XC90のPHEV「T8」の動き出しの自然さ、ペダル開度とのシンクロは電気モーターゆえのメリット

2016年、新世代ボルボの第一弾として登場したXC90。そのときに設定されたPHEV(プラグインハイブリッド車)は、「T8ツインエンジン」と名付けられた。それから5年の歳月が流れ、「リチャージプラグインハイブリッドT8」と名を変えたXC90に再度試乗する機会を得た。

モードによって見せる顔を換える万能SUV
はじめてXC90に試乗したのが2016年のことになる。当時はエンジン(320ps)+電気モーター(87ps)のPHEVということで、2L直4にターボとスーパーチャージャーを備えた内燃機関と電動モーターが生み出すパワーが気になる部分だった。ただ実際に走った印象は、エンジンが出しゃばってこないよくできたハイブリッド車だな、というものだった。絶対的なパワーよりも走行時の穏やかなフィールと、EV走行時の自然さが目立っていた。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

最新のSPAプラットフォームを採用したシャシがもたらす乗り心地も、あくまでもジェントルなものだった。その気になれば、シートに押し付けられるような加速力や、悪路をものともしない走破性を見せるのだろうが、そういうシチュエーションは無かったし、あまりそういう気にさせるようなクルマでもないとも感じた。

もちろん1000万円超のプレミアムSUVという名にふさわしい洗練されたスタイリングや、ナチュラルであるとともにエレガントなインテリア、ゆったり7人が乗れる居住性の高さも印象に残った。ただ、全体的な印象としては内燃機関にこだわりを持っているように見えたボルボが、電動化に本格的に乗り出した(乗り出さざるを得なくなった)のか、と若干済寂しく感じたのも事実だった。

5年を隔ててのリチャージプラグインハイブリッドT8の試乗に入ろう。ボルボ独特のスタートノブを右に回してエンジンを始動・・・というよりもパワーユニットに通電させる。6つのドライブモードの中から、走り初めはハイブリッド(ディスプレイには日本語で「日常の運転」と書き添えられる)を選ぶ。アクセルペダルを軽く踏み込めば音もなく走り出す、と言えば当然だが、ここではアクセルペダル開度と走り出しの加減のシンクロが自然に感じられて好感が持てる。

内燃機関車によっては、アクセルコントロールはバイワイヤーとなっており、ペダル開度に対して動き出しが鈍く感じられるものもある。電子的なデバイスなので味付け次第という部分もあるのだろうが、動き出しの自然さは電気モーターを使っているゆえのメリットといえるだろう。その後の定速走行に入っても、ボンネットの中で、エンジンの燃焼を強く感じることはない。それは、エンジン内部のパーツ同士の摺動抵抗の少なさや、エンジンマウントの改良、エンジンルーム内の遮音性など総合的な対策から生まれているように思う。

続いてセンターコンソールのダイヤルスイッチでドライブモードをパワー(日本語では「スポーティな運転」と書き添えられる)に切り替える。同時にインパネのメーター表示の右側が、パワー表示モードからタコメーター表示に切り替わる。街乗り程度なので、ギンギンのスポーティな走行とはいかないが、最初に感じる違いというのは、手を添えたステアリングホールに感じる力強いエンジンの鼓動による振動だ。

これは演出なのか?と思えるほどに、ハイブリッド時とは違う表情を見せる。ある意味、ハイブリッドモードでの静粛性が台無し・・・とも言えなくはない。ただ、エンジンに慣れた人間にはこれはこれでありと感じる。もちろんアクセルペダルをちょっと強めに踏み込めば、見掛け倒しでないパワフルさを発揮する。

走り出しの時点では、EV走行をするための充電量が足りなかったが、パワーモードで走っている内にEV走行が可能になったので、ピュアモード(ECO運転と書き添えられる)に切り替える。パワーモードからピュアモードの違いではっきりわかるのは静粛性の高い走りだ。

エンジン好きには悔しい思いもあるのだが、EV状態になっているXC90は、バッテリー残量がある限りはストレスも少なく気持ちのいいものなのだ。大径タイヤ、剛性の高いSPAプラットフォームを土台としたストロークの長いサスペンションは、静粛性の高い電気モーター走行との相性がいいのだろう。

世界の自動車が大きく電動化に流れている現在、PHEVはEVへ向かう途中とも言える。もちろんボルボはその先頭を切っているメーカーのうちのひとつだ。一方で個人的には本当に内燃機関を無くしていいのか?という疑問は拭いきれない。

それは、充電に必要な電気をどこでどうやって作るのか? Tank to WheelではなくWell to WheelでEVは内燃機関よりエコロジーでありうるのか? 使用済みバッテリーはどうするのか?などの問題だ。そんな中でXC90に限らずボルボのリチャージプラグインハイブリッドなどは、現状での最適解であり、今後も作っていくべきクルマであるように思う。(文:Webモーターマガジン編集部:飯嶋洋治)

ボルボ XC90 リチャージプラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4950×1960×1760mm
●ホイールベース:2985mm
●車両重量:2370kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+スーパーチャージャー+2モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:233kW(318ps)/6000rpm
●最大トルク:400Nm/2200-5400rpm
●モーター最高出力:前34kW/後65kW
●モーター最大トルク:前160Nm/後240Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミム・70L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:275/40R21
●車両価格:1139万円(税込)

[ アルバム : ボルボXC90 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

7件
  • ボルボのデザインはクドくなくて好き
  • XC90はディーゼルハイブリッドが一番似合うと思うんですが、今からでも出してくれないものだろうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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