8月31日、アメリカ・テキサス州オースティンに位置するサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でWEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』の公式予選が行われ、アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ組のフェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)がポールポジションを獲得した。
LMGT3クラスでは、イアン・ジェームズ/ダニエル・マンチネッリ/アレックス・リベラス組の27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(ハート・オブ・レーシングチーム)が最速タイムをマークしている。
7月に行われた第5戦のブラジル・サンパウロから、戦いの舞台は北米へ。テキサス州の愛称が『ローンスター・ステート(ひとつ星の州)』であることから名付けられたこのレースの決勝は、6時間で争われる。また、カレンダーからセブリングが消滅したことに伴い、今季唯一の北米開催イベントとなっている。
2024年のWECでは『予選』での各トップ10車両が『ハイパーポール』と呼ばれる最終予選に進出して上位グリッドを争うという、2段階式の公式予選フォーマットが採用されている。セッションはクラス別に行われ、第2戦からはLMGT3の予選/ハイパーポールを先に行い、その後にハイパーカーの2セッションを続けて行うという進行となっている。
■コルベットの小泉は惜しくもハイパーポール進出ならず
現地時刻15時、気温32度/路面温度52度、照りつける太陽の下、18台の車両によるLMGT3の12分間の予選セッションは始まった。
9車種/18台が争うこのクラスでは、ブロンズドライバーがアタックを担当する決まりだ。したがって82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)で小泉洋史、87号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)で木村武史というふたりの日本人ドライバーが出走している。
アウトラップに続く計測1周目から本命と見られるアタックを行うドライバーも見られるなか、82号車シボレーの小泉が2分08秒833で暫定首位に。59号車マクラーレン720S GT3 Evo(ユナイテッド・オートスポーツ)のジェームス・コッティンガムがこれを上回っていくが、計測2週目には81号車コルベットのトム・ファン・ロンパウ、27号車アストンマーティンのジェームスが相次いで最速タイムを塗り替えてトップに立つ。
さらに85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2(アイアン・デイムス)のサラ・ボビーがファン・ロンパウに続く3番手、4番手には55号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)のフランソワ・エリオーが進出してくる。
残り1分を切り、ボビーが2分06秒009とタイムを縮め、タイミングモニター最上段へ。10番手に位置していた82号車シボレーの小泉は、78号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)のアーノルド・ロバンが10番手に食い込んだことでノックアウト。ロバンはさらに95号車マクラーレンのジョシュ・ケイギルにノックアウトと、ハイパーポール進出をめぐる争いが続いた。
さらに最後の最後で88号車フォード・マスタングGT3(プロトン・コンペティション)でこのアメリカ戦から参戦しているベン・キーティングが6番手へと飛び込み、華麗にハイパーポール進出を決めた。
予選トップはボビーの85号車ランボルギーニ。以下27号車アストンマーティン、81号車シボレー、55号車フェラーリ、92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ピュアレクシング)、88号車フォード、クレメント・マテウがアタックしたDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン、54号車フェラーリ、59号車マクラーレン、31号車BMW M4 GT3(チームWRT)までがハイパーポール進出となった。
佐藤万璃音組の95号車マクラーレンは11番手、小泉は13番手、木村は17番手で予選を終えている。
15時20分、10台のLMGT3車両による10分間のハイパーポールのセッションが開始されると、計測1周目からアタックが行われ、85号車ランボルギーニのボビーが2分05秒759でトップに立ち、59号車マクラーレンのコッティンガムが続く展開に。さらにここにポイントリーダーの92号車ポルシェのアレクサンダー・マリキンが割って入り、2番手に立つ。
計測2周目、27号車アストンマーティンが引き続き好調ぶりを見せ、ボビーを0秒172上回る最速タイムを記録する。
残り1分を切り、ピットへと戻る陣営も出始めるなか、55号車フェラーリのエリオーは3番手へとタイムアップ。一方で92号車ポルシェのマキリンはコースオフを喫し、アタックを終了に。最終ラップでは、81号車シボレーのファン・ロンパウが5番手へと浮上を果たした。
これにより、LMGT3のポールポジションは27号車アストンマーティンの手に渡った。2番手に85号車ランボルギーニ、3番手に55号車フェラーリがつけており、92号車ポルシェは4番手となった。Dステーションの777号車アストンマーティンは8番手でハイパーポールを終えた。
■ハイパーカーはランキングリーダーが脱落の波乱
15時40分に始まった12分間のハイパーカーの予選セッションも、引き続き気温33度/路面温度53度という暑さのなか行われることに。平川亮組の8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタGAZOO Racing)はセバスチャン・ブエミ、7号車トヨタは小林可夢偉がアタックを担当した。
18台のハイパーカーがコース上にひしめくなか、アウトラップのあと、1~2周のウォームアップラップに続いてアタックが開始されると、まずは15号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)のドリス・ファントールが1分51秒479というタイムを記録し、これがターゲットとなる。94号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)のポール・ディ・レスタはワイドになる場面もあったが、3番手に飛び込む。これを、ウォームアップラップを2周とした8号車トヨタのブエミが上回っていった。
12号車ポルシェ963(ハーツ・チーム・JOTA)のノルマン・ナトが2番手に飛び込むなか、タイムを押し上げてきたのはフェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)の2台だった。51号車のジョビナッツィが1分50秒734で暫定首位、コンマ5秒遅れでアントニオ・フォコが続く。さらにここに地元となる2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)のアレックス・リンが割り込み、2番手に割り込んでいく。
7号車トヨタの可夢偉は一時5番手に浮上するが、すぐに15号車BMWのファントールがこれを上回っていった。セッション終盤にはロバート・クビサの駆る83号車フェラーリ(AFコルセ)が3番手に浮上。35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のシャルル・ミレッシも上位に進出してくる。
チェッカー目前には、38号車ポルシェ(JOTA)のジェンソン・バトンがスピン。しかしセッションは続行され、ここで50号車フェラーリのフォコが1分51秒059とタイムを縮めて2番手をもぎとった。
予選トップは51号車フェラーリ。以下、50号車フェラーリ、2号車キャデラック、83号車フェラーリ、35号車アルピーヌ、5号車ポルシェ(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)、15号車BMW、7号車トヨタ、20号車BMW、12号車ポルシェまでがハイパーポール進出を決めた。
ランキングリーダーの6号車ポルシェはケビン・エストーレがアタックし14番手タイムと、ハイパーポール進出ならず。8号車トヨタは12番手で、こちらもここで公式予選を終えることとなった。
10分間で争われるハイパーカーのハイパーポールは、16時から。7号車トヨタの可夢偉を先頭に10台のマシンがコースインしていく。20号車BMWのロビン・フラインス、2号車キャデラックのリンは、1分ほどピットでウエイティングしてから、コースへ向かった。
計測2周目から一部マシンがアタックモードに入り、まずは7号車トヨタの可夢偉が1分50秒951というターゲットタイムをマーク。これに83号車フェラーリのクビサが肉薄し2番手に。しかし、35号車アルピーヌのミレッシが可夢偉を上回って暫定トップに立った。
さらに2番手をめぐっては、15号車BMW、20号車BMW、2号車キャデラックが相次いでタイムを更新する激しい争いが展開。
計測3周目に入ると、いよいよフェラーリ勢が上位へ。まずは51号車のジョビナッツィが1分50秒390という圧倒的なタイムで首位に立つと、50号車のフォコも3番手へと順位を上げた。
さらには、83号車フェラーリのクビサがチェッカーが振られるなかで自己ベストを縮めてくる。黄色いフェラーリは、ジョビナッツィのタイムから0秒277落ちとなる2番手に滑り込んだ。
2号車キャデラックのリンも、クビサに迫る3番手へと浮上。5号車ポルシェのマット・キャンベルも最終ラップで6番手へとポジションを上げた。
これでポールポジション争いは決着。ジョビナッツィがアタックした51号車、クビサの83号車の順で、フェラーリ499P勢のワン・ツーとなった。
3番手は地元キャデラック、以下35号車アルピーヌ、50号車フェラーリ、5号車ポルシェ、20号車BMW、15号車BMWと続き、可夢偉の7号車トヨタは9番手でハイパーポールを終えた。ポールのジョビナッツィから9番手の可夢偉までは0秒561差という僅差のセッションとなっている。
WEC第6戦決勝は、9月1日の現地時間13時(日本時間2日3時)に6時間レースのスタートが切られる予定だ。
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