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成績陰るアストンマーチンF1に一体何が起きている? 開幕当初は最速レッドブルに次ぐ速さも現状“5番手”

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成績陰るアストンマーチンF1に一体何が起きている? 開幕当初は最速レッドブルに次ぐ速さも現状“5番手”

 アストンマーチンはフェルナンド・アロンソの活躍により、2023年シーズンの開幕から6戦で5回の表彰台を獲得。昨年コンストラクターズランキング7位となったアストンマーチンの躍進は、今季の大きなサプライズだった。

 しかし、第8戦スペインGP以降の5戦でアストンマーチンが獲得した表彰台は第9戦カナダGPでの2位のみ。その他の最上位フィニッシュは5位が1回、7位が2回、9位が1回という結果になっており、勢いの陰りがリザルトに響いている。彼らに今、何が起きているのだろうか?

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 開幕からスペインGPまではメルセデスを先行していたアストンマーチンだが、現在はメルセデスから39ポイント差のコンストラクターズランキング3番手。4番手フェラーリとは17ポイント差だが、フェラーリのペース不足や戦略・ピットストップでのミスによってアストンマーチンが辛うじて先行している状態だ。

 ただ、昨シーズンに比べれば、アストンマーチンはまだ期待を上回っていると言える。

 驚異的な開幕のスタートダッシュがパドックとファンを驚かせ、そこから相対的な落ち込みはあったものの、2022年の段階で今季このチームが11戦連続でポイントを獲得できると言われれば、誰もがチームは成功を収めたと見なしたはずだ。

 第12戦ハンガリーGPの舞台ハンガロリンクは低速サーキットのため、アストンマーチンのAMR23の強力なダウンフォースとメカニカルグリップに適し、直線パフォーマンス不足は低減されると見られた。

 アストンマーチンはここで成績の落ち込みを食い止めるだろうとチーム内外から予想されていたが、蓋を開けてみるとアロンソが9位、ランス・ストロールが10位という結果だった。

 アロンソはここ数レースの苦戦を受けて、アストンマーチンは5番手チームだと現状を説明していた。

「シーズン序盤と比べてマシンがどうなっているのか、主要ライバルと比べてどれだけのアップデートを投入したのか、そして新しいタイヤを一番理解するのは難しい。状況はみんな同じだから、僕らはもっと良い仕事をする必要がある」

 とはいえ、チーム上層部はパニックに陥っている訳ではなく、イギリスGPから導入された新構造のタイヤが特にアストンマーチンとレッドブルを苦しめているという指摘も否定している。

 アストンマーチンでパフォーマンスディレクターを務めるトム・マッカローは、パフォーマンスに「大きな変化はない」と認めている。

 その代わり、彼らは”相対的な競争力“を原因として挙げており、アストンマーチンのパフォーマンス自体は落ちていないという。

 実際、彼らはレッドブルに接近できているかもしれないが、アップデートによってレッドブルとの差を詰めたチームが増えたのだ。

 チーム代表のマイク・クラックは次のように説明する。

「(ハンガリーGPの)フロントロウとの差を見ると、この差は広がっていない。実際、以前よりも小さくなっている」

「この差なら、数レース前なら予選3~4番手だった。今は8番手までしか上がれない。これが今の勢力図の拮抗具合を示している」

「最近はチームが拮抗しているため(ミスをすれば)2~3ポジション失ってしまう……100%の力を出し切れるかどうかでかなり左右されるのだ」

 ハンガリーGPの予選Q3は、ポールポジションを獲得したルイス・ハミルトン(メルセデス)から10番手までが0.577秒差に収まる接近したセッションとなり、その中でアロンソは0.426秒落ちの8番手だった。しかしアロンソはこのラップのコーナーふたつでタイムロスしており、3つのセクターを完璧にまとめ上げることができていれば5番手も望めたはずだった。

 クラック代表のコメントを裏付けるように、開幕戦バーレーンGPでポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペンがより理想的なラップタイムを刻めていた場合、自身のポールタイムより0.014秒速いタイムを記録できていたはずだ。ここでアロンソは自身の最速想定から0.064秒遅れタイムで5番手スタートとなっており、ふたりの理論上のラップタイム差は0.578秒と言える。

 ハンガリーGP予選Q3を見てみると、フェルスタッペンは2度目のタイム計測の際にセクター1とセクター3でタイムをロスしており、仮にラップを完璧にまとめ上げることができていれば、彼は0.236秒の差をハミルトンにつけてポールポジションを獲得していたはずだった。

 アロンソも完璧なラップを刻めていれば、フェルスタッペンとの理論上の差は0.56秒。従って、クラック代表が示唆する通り、アストンマーチンはレッドブルの後れを取った訳ではない。

 理論上のタイム差を抜きにしても、マクラーレンの大型アップデート成功とアルファロメオの突然のパフォーマンス向上によって、アストンマーチンはグリッド上位から蹴落とされた。

 さらにハンガリーGPでテストされたATA(代替タイヤ割り当て)によって、いかに各チームが接近していたかが浮き彫りになった。

 また、アロンソが決勝で巻き返すことができなかったのには複数の要因が考えられる。ここで挙げられるのは、ハンガロリンクのコース幅の狭さや、ほとんどのドライバーがレース中にハードタイヤを装着し、レース後半はタイヤセーブとクリーンエアー確保に回ったこと、ターン1を過ぎたところにふたつ目のDRSゾーンがありオーバーテイクされたマシンが反撃できなかったことなどが挙げられる。

 難しい週末が続くアストンマーチンだが、彼らは反撃に打って出るべく、アップデートの断続的な投入を予定している。

 スパ・フランコルシャンでのベルギーGPを前に、マッカローは次のように語っている。

「我々は今後ほとんどのレースでアップデートを予定している。他のチームもそうしてくるはずだ」とマッカローは言う。

「レッドブルとの差は縮まるかもしれない。ドライバーたちが週末を完璧にこなすことができれば、表彰台の数も増えるだろう」

 そしてクラック代表はこう締めくくる。

「開発競争はフルスロットルで行なわれている。これについていく必要がある。そして、その間に良い仕事をしたチームもいるということを意識する必要がある」

「マクラーレンはアップデートで非常に良い仕事をした。我々もまた彼らに追いつくよう努力する必要がある。これはF1の典型だ。謙虚かつ現実的である必要がある。失望したり、興奮しすぎたりしないようするべきだ」

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