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「終盤の激走、このラリーはとても過酷だ」Real Race to DAKAR vol.11

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「終盤の激走、このラリーはとても過酷だ」Real Race to DAKAR vol.11

1月15日(水) ステージ8 モーリタニア
アイジディン~ティジクジャ 477,95km

タフな後半戦の幕開け
ステージ2からバッテリー上がりのトラブルが続ていた増田まみ。前日のステージ7も砂丘が多く、一度エンジンを止めると誰かの助け無しでは再スタートできない状態の増田には無理ではないかと思われたが、この日はセルフスターターが機能し、大きく遅れることなくビバークに到着した。日没後にはSSVクラスの菅原・羽村組も無事に到着した。

日没後も砂漠での苦闘が続く
明けてステージ8は、さらに南下してティジクジャまでの約477km。砂丘、石の多い平原、キャメルグラスのデザートの繰り返し。ほとんどが道のないオフピストで、ナビゲーションもテクニカルな設定となった。午後7時になってもビバークに到着しているのは半数程度で、多くのライダー、チームが日没後も砂漠で苦戦することになった。日本からの参加者は、杉村晋吾、増田まみ、菅原・羽村組がスタートしたが、午後9時現在、いずれもビバークに到着していない。

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挑戦者に寛大なラリー
このラリーでは、ステージをリタイアしても、身体、マシンに問題がなければ競技を続行し、翌日または日程をスキップして再スタートすることが認められている。スイーパートラックは大幅に遅れたライダーにも対応し、実際、24時間以上遅れた選手にも付き添ってくれ、単に回収するだけではなく、増田まみのように自力で走行を続けたいと希望するライダーにもできるだけのことをしてくれている。かつて2004年のダカールラリーに出場し、アフリカステージの2日目にリタイアし、その後自力でダカールを目指した経験のある杉村はこう振り返る。「パリダカでリタイアした時は、ポン、と砂漠に置去りらされて、あとは自分で帰りなさいって感じでした。しかも、ラリーからは1000km以内には近づきません、という書類にサインさせられて。それに比べるとこのラリーはやさしいですね」。

聖地
フランス語的に読むとティジカとなるが、地元の人たちの発音は「ティジクジャ」に近い。かつてのダカールラリーでお馴染みの地名。明日は、ここでループのステージが行われ、もう一泊して、その翌朝、西へ進路を変える。モーリタニアでのステージはまだ続いている。

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モーリタニアは本当に「砂の国」という印象。このステージ7は、翌日がループの設定で遅くれたライダーを丸一日待つことができるため、思いっきり難易度を高くしたようだ

ステージ9、リタイア続出。過去にないハードかつタフなラリーが続く
王者は語る
昨年の覇者であり、エンデューロ世界選手権やISDEで活躍した後、ダカールをはじめとしたクロカントリーラリーに転向したアレッサンドロ・ボットゥーリは、前日のステージ8を振り返って「今まで経験したラリーの中でもっともキツいステージだった」と話した。ステージ優勝したリンドン・ポスキットのタイムが8時間30分近い。並みのライダーなら倍の16時間かかってもおかしくはない。

ステージ途中でのキャンセル
半数近くのライダーがこのステージを走り切ることができず、結局、CP3からフィニッシュまでの間はキャンセルとなった。増田まみは91キロ地点でギアボックスの不調でストップし、カミオンバレーに回収。ここまで全行程を走破してきた杉村晋吾は、燃料ポンプの配管に亀裂が入るというトラブルで走行不能となり、惜しくもカミオンバレーでの帰還となってしまった。資延哲規と大塚正樹はこの日はスタートしていない。SSVクラスの菅原義正・羽村勝美組は、以降がキャンセルとなったCP3からビバークに到着した。



1月16日(木) ステージ9 モーリタニア
ティジクジャ~ティジクジャ 469,10km

パリダカ時代にも番狂わせの舞台になってきたティジクジャのループ。砂丘の急斜面が多く、どのクラスにもさらにハードなステージになった。前日のステージからの到着が遅れたり、カンオンバレーの到着待ちなどで、このループのステージをスタートできないライダーも1/3以上にのぼっている。杉村晋吾も燃料ポンプの交換等、マシンのリフレッシュに専念。「このラリーでは、ステージを走り切れなくても翌日も走れますし順位もつきますが、自分のなかではあくまでもリタイアです。ここまできて悔しいですね。でもダカールまでできるだけ走って、その経験を次回の挑戦に役立てます。できるだけ気持ちを切り替えて明日も頑張ります」と話した。SSVの菅原・羽村組は、難関ティジクジャのループに果敢に挑戦すべくスタートした。19時現在、まだ砂丘と格闘中だ。

このラリーは決して甘くない
どちらかというとファン志向で、古き良き時代の「パリダカ」の記憶を温めるイベントという印象を持つ人が多いこのレース。筆者もまたそういう位置づけのラリーであるという認識でいたのだが、少し考え方を改めなければならないようだ。本格的な砂丘の走行が始まったモロッコのステージ3から、難易度の高い設定が続いている。ルートに選ばれる地形、距離、ナビゲーションも、決して軽くみていいものではない。そういえば、2輪の参加者はほとんどが450ccの現代的なラリーマシンで、ツインシリンダーに乗るライダーは2~3人た。以前は確かにアフリカツインやテネレがいたはずなのだが。確かにこのルート設定ではマシンの選択肢は450以外にないだろう。「Real Race to Dakar」を標榜するこのラリー。主催者は、本格的なコンペティションへと舵を切っているのかもしれない。

600kmのロングステージが消耗したライダーを試す、ステージ10
1月17日(金) ステージ10 モーリタニア
ティクジクジャ~アイディン 600,59km

このラリーもいよいよ終盤に差し掛かった。難関ティジクジャを後にして西へ向かい長いステージ。ビバークから約70kmのテクニカルなリエゾンのあと、500kmのスペシャルステージには砂丘、シングルトラック、キャメルグラスの平原と、アフリカンラりへのすべての要素が含まれている。2輪では、杉村晋吾がこのSSに入った。電気系、またギアボックスにも不調を抱える増田まみは、アシスタントルートで移動することにした。すべてが舗装路とはいえ、550kmの移動である。

キャラバンは続く
我々プレスチームもアシスタントルートでの移動。ティジクジャで苦戦した2輪、4輪の多くが、この日はアシスタントルートで次のビバークを目指してるので、まるでキャラバンの様相とにっなった。増田まみは、途中のガソリンスタンドで間違って軽油を入れられてしまい、リカバリーに数十分を要するというハプニングも。SSをスキップしているとはいえ、ダカールへの道のりは遠い。



アクシデントの余波
SSの前半で、レスキューを必要とするアクシデントが3件発生し、緊急搬送のために3機あるヘリコプターがすべてで出払う事態となった。オーガナイザーは、レスキュー体制の立て直しのため、2輪とSSVの給油ポイントが置かれたCP2からのスタートを止め、ヘリコプターが再び配置の着くまでの間、競技を中断することを決定した。そのためもあって、21時現在、まだ半数近いライダー、チームがビバークに戻っていない状態だが、杉村晋吾は無事に到着。サポートチームはSSVクラスの菅原・羽村組を待つ状態。明日は、モーリタニアステージの最終日。SSの後、セネガルに入国し、サン・ルイスのビバークを目指す。

杉村、増田に試練が続く。ステージはセネガルへ。ステージ11
1月18日(土) ステージ11 モーリタニア-セネガル
アイディニ~サンルイ 473,66km

600kmの長丁場となった前日のステージ10、菅原義正・羽村勝美組は深夜2時を過ぎてビバークに到着した。後輪のドライブシャフトにトラブルが発生。前輪だけ、2輪駆動の状態でなんとか砂丘を越えてきたのだ。明けてステージ11は、モーリタニアでの最後のSSであると同時に、本格的なスクラッチとしては最後のSSになる1日だ。

サン・ルイへ
SSはビバークの直後から始まり、ほぼループ形状の180km、比較的ハイスピードでトップグループは2時間強のタイムでフィニッシャチェックを受けた。日本人選手は、杉村晋吾、増田まみ、大塚正樹、そしてもちろんここまですべてのスケジュールをこなしている菅原・羽村組がスタートした。SSの後はヌアクショットを経て南下する300kmのリエゾンを走ってセネガル国境を通過。サン・ルイのビバークに至るスケジュールだ。



国境閉鎖5分前
増田まみはSSのフィニッシュ手前2kmの地点まで順調だったがそこでエンジンストップ。再始動できず、他の2輪選手にけん引されて何とかフィニッシュラインを越えたが、そこからはスイーパートラックでの移動となった。セネガル国境が閉鎖される5分前の20時55分に国境を越えてビバークに到着。マシンの修復を急いでいる。杉村晋吾は、SS中で再び燃料ポンプのトラブルでストップ。やはりスイーパートラックに回収されているという報告だが、国境は夜間閉鎖されている時間帯なので当日中のセネガル入りは絶望的で、修理の時間的余裕を勘案すると、最終日のラックローズを走れるかどうかも微妙なところになってしまった。SSVの菅原・羽村組は順調だ。

砂塵のモーリタニアから、国境線を越えたセネガルはまるで別世界の楽園だ。ビバークのホスピタリティもがらりと変って「上等」で、参加者たちはリラックスムードに包まれている。ラックローズまでもう少しだ。今日のモーリタニア最終ステージは、パオロ・ルッキが一番時計。総合ではアレッサンドロ・ボットゥーリが首位を堅持、4分差でパルアンダース・ウレバルセターが2位、3位にパオロ・ルッキ、リンドン・ポスキットが4位という上位の結果。ボットゥーリが連勝への足場を固めた格好だ。

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