■今シーズンは絶対王者のメルセデスAMGと互角の戦い
2021年のF1グランプリで、ホンダ(レッドブル・ホンダ)がメルセデス・ベンツ(メルセデスAMG)と並ぶ強さを見せています。
ちなみにこれまで11戦を終えて、対戦成績はレッドブル・ホンダの6勝に対してメルセデス・ベンツは4勝。レッドブル・ホンダのエースドライバーであるマックス・フェルスタッペン選手は6勝のうちの5勝を挙げており、メルセデス・ベンツのルイス・ハミルトン(4勝)を凌いでいます(ハンガリーGP終了時点)。
これは近年のF1グランプリでは異例の事態です。なにしろメルセデス・ベンツは、2014年から昨年まで7年連続でチャンピオンに輝いてきた常勝チーム。ひとつのチームが7連覇を遂げたのは、長いF1史でも初めてのことです。
なぜメルセデス・ベンツがこれほど強かったかといえば、2014年に導入された新しいエンジン規則で彼らが圧倒的な技術力を発揮したからに他なりません。
現在も継続して運用されている新規則は、1.6リッターV型6気筒ターボエンジンに2種類のハイブリッドシステムを組み合わせたもので、エンジンとハイブリッドシステムが複雑に連携してパワーを生み出すことから、現在では単にエンジンと呼ぶのではなく、エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせた“パワーユニット”という呼び方が一般化しているほどです。
メルセデス・ベンツは早くからこの新規則に向けた基礎研究を開始。初年度となった2014年には19戦16勝という驚異的な勝率でチャンピオンに輝きました。
それまで他チームにエンジンだけを供給する立場だったメルセデス・ベンツが、シャシ開発やチーム運営を含めたフルワークス体制での参戦に切り替えたのは2010年のこと。そんな彼らが初めて栄冠を手にしたのがこの2014年で、これ以降、無敗伝説を守り続けているのですから、メルセデス・ベンツがいかにF1パワーユニットづくりに長けているかがわかろうかというものです。
一方のホンダは、2008年にフルワークス体制での参戦を休止。じつは、このときホンダが手放した施設をいまメルセデス・ベンツが使っているのですから、なんとも皮肉な巡り合わせですが、2015年にF1参戦を再開したホンダは、メルセデスとは反対に、パワーユニットだけをチームに提供する“パワーユニット・サプライヤー”となる道を選びました。この判断には、フルワークス参戦の難しさを2008年までに痛いほど味わったことが深く関係しています。
しかも、2015年にエンジン供給先として選んだチームは、名門マクラーレン。ホンダは以前、1998年から1992年にもマクラーレンにエンジンを供給。この時代のマクラーレンはアイルトン・セナ選手やアラン・プロスト選手などの名手が所属していたこともあり、マクラーレン・ホンダは4年連続でタイトルを勝ち取る大成功を収めました。こうした成功体験も、マクラーレンをパートナーに選んだ理由だったようです。
ところが、2015年のマクラーレン・ホンダは惨敗。チームの成績を競うコンストラクターズ選手権では9位という屈辱的な結果に終わりました。これは1966年にF1グランプリへの参戦を開始したマクラーレンにとって、史上最低の成績でした。
マクラーレン・ホンダが惨敗した理由は、ホンダの準備不足がおもな原因でした。
ホンダは2012年頃にF1復帰の検討を開始。2014年に参戦に関する発表をおこないましたが、このときはパワーユニットの試作機さえ完成していない状態だったといいます。それで2015年3月の開幕戦からF1グランプリに挑むのは、無謀な挑戦との侮蔑を拭えません。これが、マクラーレン・ホンダが苦戦を強いられた最大の原因とされています。
その後、マクラーレン・ホンダの成績は少しずつ上向きになりましたが、関係者が当初、抱いていた期待を満たすことはついになく、2017年に両者は関係を解消。ホンダは2018年からレッドブル系のトロロッソ(現在のアルファタウリ)へのパワーユニット供給を開始すると、翌2019年からはこれに加えて本家のレッドブル(正式名称はレッドブル・レーシング)にもパワーユニットの供給を開始し、現在に至っています。
■今季投入した新開発パワーユニットのパフォーマンスがスゴい
そんなホンダが、カーボンニュートラル時代への対応を理由に、2021年限りでF1から撤退すると発表したのは2020年10月のこと。つまり、今年はホンダがF1に参戦する最終年度なのですが、ここでメルセデス・ベンツを相手に互角以上の戦いを演じていることが国内外で大きな注目を集めています。
ちなみに過去3年間のメルセデス・ベンツとレッドブル・ホンダの対戦成績は、2019年がメルセデス・ベンツ15勝でレッドブル・ホンダが3勝、2020年がメルセデス・ベンツ13勝でレッドブル・ホンダが2勝なので、今季のレッドブル・ホンダの成績が突出して良いことがわかります。
なぜ、レッドブル・ホンダはこれほど好調なのでしょうか?
理由のひとつは、今季ホンダが投入した新開発のパワーユニットが群を抜くパフォーマンスを発揮していることにあります。
ホンダは当初、2022年に新開発のパワーユニットを投入する予定だったそうです。ところが、2021年限りのF1撤退が決まったことで、計画を1年前倒しにして新パワーユニットを完成させたのです。
新しいパワーユニットについて、開発責任者の浅木泰昭さんは次のように語っています。
「(新パワーユニットは)カムシャフトの位置を相当、下げました。地面に近いほうに降ろしたのです。これによって(パワーユニットの)重心も下がるし、カムシャフトの上の空間も広がるので、空気の流し方も改善できます。
そうしたなかでも、いちばんやりたかったのは燃焼室の改良ですね。これによって馬力を増やしたかった。そのためにバルブの挟み角を変更して燃焼室形状を変えました。さらにシリンダーごとの間隔も詰めて小型化を実現しています。そういうことを含めて私たちは“新骨格エンジン”と呼んでいますが、まったく新しいエンジンと考えていただいて間違いありません」
最終年度に完全な新パワーユニットを投入したのは、ホンダ自身が有終の美を飾りたかったことに加えて、ここまでホンダのことを信頼して共に戦ってきたレッドブルとアルファタウリへの感謝の気持ちがあったからかもしれません。
※ ※ ※
レッドブルとアルファタウリは、今後ホンダから知的所有権を譲り受け、2021年型ホンダF1パワーユニットと同じものを今度は自分たちで製造し、2022年以降のF1グランプリに投入することになります。
ただし、自動車メーカーでないレッドブルにパワーユニットの開発は難しいため、彼らはライバルであるメルセデス・ベンツ、フェラーリ、ルノーの3社に対して「2022年以降も2021年と同じ仕様のパワーユニットで戦う」ことを提案し、その了承を得ています。つまり、ホンダはレッドブルとアルファタウリのためにも、新パワーユニットを残してF1参戦を終了したかったと考えられるのです。
もちろん、今季のレッドブル・ホンダが躍進しているのは、レッドブルがメルセデス・ベンツを上回る性能のシャシを開発したからでもありますが、これについてはまた別の機会に説明することにしましょう。
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みんなのコメント
メルセデスにひっくりかえされたよ。
それをあっさりやめるんだからね
まぁ、この技術を活かせる市販車がないのだから
仕方ないけどね