日本の新車市場においてMT車が占める割合はわずか1%台。しかし、たとえ1%台であろうともMT車も着実に進化を果たしている。クルマを運転する楽しさを味わいたいのなら、今さらだけどMT車を選んでみてはいかがだろうか?
文/FK、写真/スズキ、スバル、トヨタ、日産
マニュアル車がオヤジ化を食い止める!? 再評価したいオジさんにもやさしいMT車4選
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■オジ(=高齢者)ドライバーこそ乗るべきクルマはMT車でしょ?
いまや絶滅の危機に瀕していると言っても過言ではないMT車。しかし、ここではあえて“MT車こそオジドライバーにぴったりな乗り物”と提唱したい。
なぜなら、クルマを運転する楽しさにおいてはMTのほうが実感できることはもとより、クラッチをつながないと発進できないことからペダルの踏み間違いによる暴走が発生する危険度が極めて低いなどのメリットがあるから。
その一方でクラッチ操作が面倒、坂道発進にテクニックを要する、渋滞時の度重なる発進操作が煩わしいといったデメリットもある。
しかし、ひと昔前に比べればMT車も進化していて運転しやすくなっていることもまた事実なワケで。そこで、ここではオジドライバーだからこそ乗ってほしいマニュアル車をピックアップ。
運転がラクチンなAT車に慣れてしまっているかもしれないが、将来を見据えていまこそマニュアル車にスイッチするのもアリな選択かも!?
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■MT車向けのアイサイト搭載で運転技能の衰えもがっつりカバー! スバル・BRZ
2023年9月の一部改良でMT車向けのアイサイト採用とともに新設定されたSTI Sport は、フロントサスペンションにSTIチューニングの日立Astemo製SFRDフロントダンパーを採用することで快適な乗り心地と俊敏でスポーティな走りを両立
2023年9月の一部改良で上質さとさらなるスポーティさを付加した「STI Sport」グレードを新たに設定するとともに、スバル初となるMT車向けのアイサイトが採用されたBRZ。
アイサイトといえば広い視野角のステレオカメラで周囲を認識し、自動車・歩行者・二輪車までも対象としたプリクラッシュブレーキをはじめ、定速クルーズコントロール、車線逸脱警報、ふらつき警報、先行車発進お知らせ機能、追従機能付クルーズコントロールなどを実現したスバル独自の運転支援システムかつ先進安全技術。
そんなアイサイトの高い衝突回避、衝突被害軽減、運転負荷軽減の各性能に対して、MT車の特性に合わせた制御を施して幅広いシーンで安定した動作を実現することで、運転する楽しさと安心を高い次元で両立したのが現行のBRZとなる。
先進安全装備がイマイチなのでMT車に乗りたくても乗れないという人にとって、ここは最大級にうれしい点。
さらに、節度感のあるスポーティなシフトフィールを実現したことに加え、2速から3速、3速から2速、4速から5速、5速から4速といった斜め方向のシフト操作をよりクイックかつなめらかに行えることも、歳を重ねてからMT車が不安という人へのお薦めポイントだ。
より鋭いアクセルレスポンスでコントロール性をいっそう高めてくれるMT車専用SPORTモードも備えており、よりダイレクトでリニアなエンジンの吹け上がりや加減速のコントロール性向上といった優れたパフォーマンスを体感したい人でも物足りなさを感じさせない。
シートフレームやバネの刷新によって身体の沈み込みや反発力を最適化して高いホールド性とフィット感を実現したフロントシート、ボディの高剛性化や構造用接着剤の採用などによる路面やエンジンから伝わる微振動の抑制、各所に採用した遮音材によって実現した静かで上質な乗り心地もBRZの見逃せないポイントといえるだろう。
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■シフト操作時のエンジン回転数を最適制御! オジドライバーの強い味方! トヨタ・カローラスポーツiMT
TNGAプラットフォームの採用により、低重心でワイドなスポーティシルエットを実現したカローラスポーツ。トレッドを拡大してタイヤを外側に出すなどの工夫により、踏ん張り感のある佇まいを見せる
2022年10月の一部改良でMT車は廃止されてしまったカローラスポーツだが、2018年8月に投入された6速MT車には“クルマ本来の楽しさ”を提供するべく、トヨタとしては初導入となるインテリジェントマニュアルトランスミッション(iMT)が採用されていた。
カローラスポーツの1.2リッターターボ車(FF)に導入され、現ラインナップにおいてはGRヤリスやGRカローラに採用されているiMTはコンピュータがドライバーのクラッチ操作やシフト操作に合わせて、最適なエンジン回転数になるよう制御を行う優れもの。
後述するZ34型フェアレディZのシンクロレブコントロール付6速マニュアルトランスミッションと同等の機能を有するが、MT車に不慣れな人にとっては苦手意識がある発進時はスムーズさを常時サポートし、ドライブモードセレクトにてSPORTモード選択時も走行中のなめらかな変速をアシストするとともに変速ショックを軽減。
どのような状況にあってもシフト操作時に正確無比なエンジン回転数に合わせてくれる便利な機能というワケだ。
歳とともに衰えるコントロール能力をしっかりフォローしてくれる素晴らしいテクノロジーといえるのだ。
また、欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるべく新規開発されたiMTは従来型に比べて質量を7kg低減するとともに全長も24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトなサイズにすることで車両の燃費性能向上に貢献と世界トップレベルの伝達効率も実現。
そんないいこと尽くめのiMTにもかかわらず、カローラスポーツにおいてはすでに廃止されてしまったという現実に、日本におけるMT車のニーズの低さを感じずにはいられない。
中古車価格も200万円台のもが多く、若干お高めだが、最後のMT車としてなら超お薦めの1台だ。
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■テクニックに自信がなくてもプロ顔負けのシフトダウン操作を楽しめる!! 日産・Z34型フェアレディZは
2022年の夏に販売が開始された新型フェアレディZは、歴代モデルへのオマージュを感じさせるデザインをまといながら405psの最高出力と48.4kgf・mを発生する新開発の3.0リッターV6ツインターボエンジンを搭載する、日産のDNAを象徴するモデルとして高い人気を誇っている。
この新型にもMT車はラインナップされているが、最廉価グレードでも車両本体価格が539万8800円で一般庶民にとってはおいそれと購入できるような代物ではない。
だったら、先代モデルのMT車を中古車で手に入れるという選択肢もあるのではないだろうか?
というのも、2008年12月に発売された先代モデルのMT車には“技術の日産”を象徴するような世界初の機能が搭載されているからだ。
その名はシンクロレブコントロール付6速マニュアルトランスミッション。
これは、シフトダウン時にエンジン回転数を一瞬だけ高めてギヤと同期させ、スムーズなクラッチミートを実現することで走行安定性やスムーズなコーナリングをもたらすというもの。
ドライバーのクラッチペダル操作をクラッチペダルに設けたスイッチで検出し、シフト操作をシフトポジションセンサで検出。これらふたつの情報と車速信号から変速先のシフト位置での回転数に同期するようエンジン回転数を制御してくれるのだ。
例えば、減速の際のシフトダウン時にヒール&トゥのような複雑な操作が不要になり、誰でもプロドライバーの気分に浸れるだけでなく、無意識にシフト操作することが可能でステアリングやブレーキングに集中し、なめらかで安定した走りが可能になるのだ。
普通に運転しているだけでプロドライバーなみのシフト操作をクルマが勝手にしてくれるのだから、運転技能の衰えが気になる歳になってもMT車の持つ楽しさを存分に味わえることは間違いない!
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■エンストしてもパニックに陥らない!! セカンドカーに最適なスズキ・5代目ワゴンR
エネチャージ、新アイドリングストップシステム、エコクールなど軽自動車初となる先進的な低燃費化技術を全車に採用したワゴンR
1993年9月に“乗る人を最優先し、快適で使い勝手の良さを追求したクルマ”をコンセプトとして誕生して以来、個性的で存在感あふれるスタイリング、乗り降りと運転のしやすさ、室内空間の広さなどの優れた特徴によって、年齢・性別を問わず多くのユーザーから支持され続けているワゴンR。
その5代目はデビュー時こそATのみの設定であったが、デビューからわずか約3カ月後の2012年12月に5速MT車がラインナップに追加された。
走行中にブレーキを踏んで停車&シフト位置をニュートラルに戻してクラッチを離すと自動でエンジンを停止するアイドリングストップシステムや、アイドリングストップ中にエアコンが停止し送風状態になった時に蓄冷材を通した冷風を送ることで室内の温度上昇を抑制するエコクールといった装備が採用されたワゴンRの5速MT車。
さらに、このモデルではエンストした際にシフト位置をニュートラルに戻してクラッチを踏み込むだけでエンジンが再始動する新たな機能であるエンジンリスタート機能も搭載された。
例えば、交差点内の右折発進時にエンストしてパニックに陥ってしまうことはMT車を運転したことがある人なら一度は経験したことがあるだろうが、そんな時でも迅速にエンジンを再始動できるエンジンリスタート機能は何とも便利であった。
MT車に乗りたいけれどエンストが気になるという人にはうれしい機能だ。
ちなみに、5代目ワゴンRの5速MT車のタマ数は現在の中古車市場で決して少なくなく、価格も10万円台から100万円前後とお手頃なだけに、セカンドカーとして購入するのも悪くないかも!?
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