2019年の王者奪還を目指し、好調なオフシーズンを過ごしたフェラーリ。しかし蓋を開けてみれば、開幕5戦連続でメルセデスがワンツーフィニッシュを達成し、ドライバーとコンストラクター、両ランキングで大量リードを築いている状態だ。しかもモナコでもフロントロウを独占される形になったばかりか、レッドブルのマックス・フェルスタッペンにも先行されることとなった。
フェラーリはマシンの改善によって、まだメルセデスを逆転できるという”信念”を持っているようだが、元F1ドライバーのマーク・ウェーバーは、現状を変えられないのであれば、2020年に向けて開発の焦点を移すという決断を下す時期が、すぐにやってくると考えている。
モナコGPに先立ち、ウェーバーは次の2戦(モナコGP・カナダGP)がフェラーリのタイトル争いにとって、重要なレースになると『スカイ・イタリア』に語った。
「残念ながら、彼ら(フェラーリ)にとっては困難な状況に見える。メルセデスは空力的にあらゆる種類のトラックで速く走れるような、美しい解決策を見つけたようだ」
「彼らはアルバート・パークでも速く、バーレーンでもそうだった。もちろん、あのレースはシャルル(ルクレール/フェラーリ)が勝つはずだったが、そうはならなかった。でも現時点では全体的に、メルセデスのマシンは非常に万能だ」
「もし今後3カ月間シーズンがこのような感じで続くなら、フェラーリはすでに来年のマシンに集中しなければならないだろう。もしフェラーリがカナダでも離されるようなら、彼らは大きな問題を抱えているということだ」
ウェーバーは、フェラーリは最速のマシンを持っていないのと同様に、レース戦略が良くなかったために、自らを苦しめていると指摘した。
「メルセデスは、非常に組織的だ。決勝日は特にそうだ」
「彼らはとても冷静だし、リラックスしている。もちろん、彼らは自分たちがこなしてきた準備を信じているし、プレッシャーがかかっていても非常に素晴らしい」
「残念ながらフェラーリは、戦略や何もかもが、少し混乱しているように見える。彼らは先を見据えて行動しているのではなく、後手に回っているようだ。彼らは起きたことに対して、非常に反射的だ」
「遅いクルマならそうなるのも簡単だが、私が思うに彼らは……例えばバクーでは、シャルルは違う戦略を採ることができたはずだ。バルセロナでは、ドライバーがふたりがお互いに戦っていて、メルセデスと戦えていなかった」
ウェーバーは、レッドブル時代に激しくタイトルを争っていた元チームメイトであるセバスチャン・ベッテルについて、マシンが遅いことに加え、チームメイトのルクレールが速いことで『二重の問題』を抱えていると話した。
「彼(ベッテル)にとってはチャレンジングな時期だ。当然だが彼も毎年少しずつ歳をとっていく。自分の仕事を再評価しなければいけない。彼は多くの経験を持っている。もしフェラーリが速く、チームメイトと勝利を分け合っているなら、問題はひとつで済む」
「でもそうでないときは、チームが勝てていないのでプレッシャーがかかるし、チームメイトもいるので、問題はふたつになる」
「僕は、彼がまた良い仕事をしてカムバックできるほど強いと考えている。シャルルはとてもリラックスしているし、このスポーツにとっての”ロックスター”のようなモノなんだ。それは、我々が必要としているものだ」
「しかしセバスチャンは、チームからの最後の一押しを必要としているんだ。それがエンジニアリングの面なのかどうかは、私には分からない。彼のためにもう何人かがベストな仕事をして、ジグソーパズルの最後のピースを完成させるチャンスはあると、私は思う」
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