F1ハンガリーGPでチームオーダーの問題を抱えていたチームは、マクラーレンだけではなかった。実は、後方ではアストンマーティンもレース終盤に、ポジション変更の指示に従わないドライバーに苦労していた。
マクラーレンからの再三にわたる懇願の結果、ランド・ノリスは常識に従い、チームメイトのオスカー・ピアストリに勝利の座を譲った。しかし、アストンマーティンでは、フェルナンド・アロンソが譲った10番手の座を、レース終盤に返すようにというチームの指示に、ランス・ストロールが最後まで従わなかった。
ノリスを先にピットインさせる戦略の根底に、責任を負い「状況を管理する」マクラーレン代表の意図/F1第13戦
最終スティントで10番手を走り続けているアロンソに、戦略の違いで新しいタイヤを履いたストロールが追いついてきた。アロンソの前を行く角田裕毅(RB)にチャレンジして、追加の1点を手に入れるチャンスがあると考えたアストンマーティンは、残り6周となった時点で、ペースが優れたストロールをアロンソの前に出して、追いかけさせることに決めた。
しかしこの計画には条件があった。もしストロールが角田を追い抜くことができなければ、彼はポジションをアロンソに返すというものだ。
そのプランについて、ストロールはあまり乗り気でない様子だった。レースエンジニアのアンドリュー・ビザードに対し、ストロールは「どっちにしてもフェルナンドを抜いたと思うけどね。でも分かった」と言った。
しかしストロールは角田を抜くことができなかったため、アストンマーティンは、ストロールにアロンソとのポジション交換の指示を出した。
「さて、(フィニッシュ)ラインを越える前に、ポジションを戻してもらう必要がある。フェルナンドは4秒後ろにいる。その後ろからのプレッシャーはない」とチームは述べたが、ストロールは無言だった。チームはさらに「ランス、後ろに下がって、フェルナンドを前に出した方がいい。彼は4秒後ろだ」と呼びかけたが、それでもストロールは沈黙したままだった。
チェッカーフラッグが迫り、ビザードはポジションスワップの機会を失ったことを認めなければならなかった。「オーケー、フラッグだ。これでフラッグだ」
ストロールは10位でフィニッシュして1ポイントを獲得、アロンソは11位でノーポイントだった。
奇妙なことに、どちらのドライバーもチームオーダーが無視されたことについてレース後にコメントしなかったが、それはおそらく揉め事が世間の目に触れないようにするためだろう。アロンソは戦略についての不満は示した。
「今日の戦略は適切なものではなかったと思う」とアロンソは語った。「もちろん、レースが終わった今、そう言うのは簡単だけど」
アロンソは、最初のピットストップが7周目という非常に早いタイミングで行われたこと、ミディアムタイヤでのセカンドスティントと、ハードタイヤでの最終スティントを長く走らなければならなかったことが、レースがうまくいかなかった根本的な原因だと指摘した。
「7周目にピットストップし、そこからミディアム1セット、ハード1セットで63周を走るというのは、少し楽観的すぎた」とアロンソは説明した。
「そのためにペースは良くなかった。戦略は役に立たなかったのだ」
アストンマーティンは、ストロールによる1ポイントのみでハンガリー決勝を終えた。13戦終了時点で、アストンマーティンは合計69点を獲得、コンストラクターズランキング5位に位置している。
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