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首都決戦は地元スペシャリストの饗宴。大先輩バッソを降したクルニョーラが初優勝/ERC第6戦

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首都決戦は地元スペシャリストの饗宴。大先輩バッソを降したクルニョーラが初優勝/ERC第6戦

 イタリアン・スペシャリストたちが集うターマック戦となった2023年ERCヨーロッパ・ラリー選手権第6戦『ラリー・デ・ローマ・キャピタル』が7月28~30日に開催され、欧州シリーズ“2冠”を誇る大先輩ジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアRSラリー2)らを退け、終始ラリーを支配したアンドレア・クルニョーラ(シトロエンC3ラリー2)がシリーズ初優勝を達成。今季5人目のウイナーに輝くと同時に、自身3度目のイタリア選手権タイトルも決めてみせた。

 一方、一時は右リヤ破損で窮地に陥った選手権首位のヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)も、コロッセオのSSSをして「キャリア随一の象徴的な場所。本当にロマンチック」とターマック戦を満喫し、ERC初タイトルへの足場を固める3位表彰台を手にしている。

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 かつてのERC“ダブルチャンピオン”でもあるアレクセイ・ルカヤナク(シュコダ・ファビアRSラリー2)がひさびさのシリーズ復帰を果たすなど、華やかなラインアップとなったおなじみローマでの首都決戦は、初日からやはり地元のターマック(舗装路)スペシャリストたちが上位を固め、予選ステージではアンドレア・メベリーニ(シュコダ・ファビアラリー2エボ)以下、シモーネ・カンペデッリ(シュコダ・ファビアラリー2エボ)や、国内選手権タイトル獲得が「最優先」で臨むクルニョーラがトップ3を占めた。

「それほど悪くはないよ。このイベントの前に素晴らしいテストを行い、クルマのフィーリングを良くするためにいくつかの変更を加えて、それがうまくいった。例年ほど暑くなく僕らにとっては春のような気候だから、暑さは問題ないはずさ」と、MRFタイヤ・ディーラーチームのワン・ツーを牽引したメベリーニ。

 そのまま現地19時過ぎに行われたコロッセオでの名物SSSでは、昨季覇者のダミアーノ・デトマソ(シュコダ・ファビアラリー2エボ)がクラッシュを喫し、一時競技中断の波乱もあるなか、ピレリタイヤを装備したシトロエンのクルニョーラが、ルカヤナクやバッソらERC2冠組を抑えて最速タイムを刻んでみせる。

「路面は埃が多くてグリップがまったくないから、ステージはかなり難しかった。競争は非常に激しく、ERCの選手たちはとても速いからね。僕らは集中力を維持し、どこまで到達できるかを見極めようとしているんだ」と、やはり慎重な言葉を発したクルニョーラ。

 しかし明けた土曜から102.68kmの本格ステージ群が幕を開けると、ここでも34歳のクルニョーラが3連続SSベストでラリーの主導権を握り、気温30度を超えるコンディションをものともせず、午後も2本のベストでバッソを20.2秒リードし、オーバーナイトサービスに帰還した。

「簡単ではなかったから、もちろん満足している」と、SS5ではステージ上の石を回避できずヒットする場面もあったクルニョーラ。

「誰もが経験したように、僕らにもいくつかのサプライズがあったが、僕は以前もこのポジションにいてラリーを2度リードしており、何が起こったかは誰もが知っている(アクシデントでリタイア)。誰もがプッシュしており、もちろん僕もプッシュしてきたが、もう一度集中力を維持し、イタリア選手権のことも考える必要がある」

 そんな予言めいた言葉どおり、この日は主要なライバルたちにも厄災が降りかかり、終日2番手でクルニョーラを追っていたフレンチマンのヨアン・ボナート(シトロエンC3 ラリー2)は、SS5の残り2km地点で右リヤタイヤにダメージを追い、バッソにポジションを明け渡すこととなった。

■今季2勝のマルティン・セスク(シュコダ)がロールオーバー

「最初の3台のリズムはとても良いし、速いね。このクルマで競技に出るのは2回目だし、約2カ月前の初ドライブ時の手応えが蘇って新鮮だ」と語ったバッソ。「今日のポジションには満足しているし、良い仕事ができた。明日は難しいだろうが、我々もプッシュし続けるよ」

 同じく快調なペースで4番手にいたパッドンも、SS6の高速左コーナーでワイドになり、道を外れた際の衝撃で右リヤのトーコントロールアームを損傷。SS7までに急きょ修理を余儀なくされ、総合でも6番手へと後退する。

「結局、応急処置ではアームの調整がうまくできなかったから、最後のドライブは興味深いものになった。ダメージを最小限に抑えようとしたが、今はポイントを最大化したいね」

 さらに今季2勝でパッドンの対抗馬としてタイトル戦線に浮上するMRFのマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)は、SS4スタートから1.7kmのところでハイスピードのままコントロールを失いロールオーバー。クルーに怪我はなかったものの、道路脇の縁石や標識に接触して薙ぎ倒したファビアはルーフを下にして停まり、この時点でラリーからのリタイアを余儀なくされた。

 最終日の日曜も3ステージをループする85.52kmの舞台が用意されると、さらにベストを重ねたクルニョーラはラリーの全13SS中8つのベストを奪う速さで快走。その一方でパワーステージ手前のSS12では、アルベルト・バティストーリを筆頭にフィリップ・マレシュ、シモーネ・テンペスティーニやメベリーニ、カンペデッリらがポイント獲得の機会を奪われることに。

 その不運なドライバーのなかにはバッソと2番手争いを繰り広げたボナートのシトロエンも含まれ、大ベテランは2位に返り咲くとともに、SS9のベストなどでポジションを回復したパッドンが続くポディウムとなった。

「毎年、ERC登録のドライバーと戦うのは楽しみだ。なぜなら、とくに今年はレベルが高く、どの瞬間も挑戦だったからね」と23.1秒差で勝利し、今季イタリア選手権の全勝記録も更新してタイトルを得たクルニョーラ。

「スタート前には、僕の焦点はイタリア選手権に勝つことだと言ったが、こうしてラリーに勝つことはとても特別なことだよ。とても幸せだし、チーム、シトロエン、ピレリに感謝している」

 早くも残り2戦、有効7戦で雌雄を決するチャンピオンシップも大詰めを迎えた2023年ERCは、続く8月18~20日にこちらも名物ターマック戦の『バルム・チェコ・ラリー・ズリン』が争われる。

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