アウトレット、訳あり、ほぼ未使用など、表現はさまざまだが「限りなく新品に近いけれど別モノ」として扱われている商品が数多く存在する。もちろん、自動車販売の世界も例外ではない。
軽自動車などで見かける「登録済み未使用車」という表現だ。このクルマをメインに店頭にならべている専門店があるほどだ。
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それは輸入車においても例外ではない。登録済み未使用車も存在するが、その多くは「走行1000km以内の登録済車」としてディーラーおよび街中の中古車販売店の店頭に並べられていることが多い。
実際のところ、新車とは何が違うのか? 購入する際のメリット/デメリット、オススメできる/できないユーザー像とは? を検証してみた。
文/松村透
写真/メルセデスベンツ、BMW、アウディ、VW、ボルボ
【画像ギャラリー】探せば見つかる走行1000km以内登録済車! メルセデスベンツ、BMW、アウディ、VW、ボルボ
■走行1000km以内登録済車とは?
走行1000km以内登録済車は、ディーラーの関係者からは「済車(ズミシャ)」と呼ばれることもあるようだ
結論から先に述べると「新車ではない、新古車の状態」であり、個人やディーラーなどを問わず、書面上は「いちどは誰かが所有したクルマである」ことを意味する。
ちなみに、ディーラーの関係者からは「済車(ズミシャ)」と呼ばれることもあるようだ。
どれほどきれいな状態であってもそれは「新車同然」であり、断じて「まっさらな新車」ではない。事実、中古車として店頭に並べられるのだ。
この点を「新車に近い状態のクルマなら程度も良さそうだし、安く買えるならお得」と考えるか「どこまでいってもいちどは他の人(あるいは会社)の誰かが所有した中古車」と解釈するかで受け止め方がまったく異なってくる。
前者であれば購入時に選択肢のひとつに含めるべきだし、後者であれば多少無理をしてでも新車を選んだ方が精神衛生上、長く満足できるだろう。
走行1000km以内登録済車と一括りにしているが、さらに細分化すると2つに分けられる。購入時の選択肢のひとつになるかどうか、ここを理解してから見極めてみてもいいかもしれない。
●A.登録済み未使用車:
すでに新規登録されているけれど、実際には使用されていない状態の車両を意味する。
前述のように新車ではないが「新車同然」の状態を維持していることが多い。そのため新規登録してから1年~数ヶ月以内の個体が多く、オドメーターの数値もほとんどの場合は100km以内で収まっている。
長期保管車両だとボディが汚れていることもあるが、納車前までにきれいに洗車してくれるケースがほとんどなので心配する必要はないだろう。
●B.走行1000km以内登録済車:
新規登録から1~2年以内であることが多い。ディーラーの元試乗車であったり、インポーターが登録した広報車や各部署で使用するために用意されたクルマがお払い箱となり、正規ディーラーに流れてくるケースだ。
なお、一部のインポーターではカンパニーカーとして社員にあてがわれていたクルマがディーラーに流れてくるケースもあるようだ。
その他、まれにユーザーが納車前にキャンセルした車両や、何らかの理由で納車後短期間で返却(実際には買い取り)となった車両が含まれている場合もある。
「A.登録済み未使用車」と比較した際、多少の使用感(ボディの磨き傷や内装のスレ、シートのしわなど)があるのは否めない。
■登録済み未使用車および走行1000km以内登録済車が生まれる背景とは?
訳ありであることは確かだが、その存在理由をきちんと確かめてから選択肢としてアリorナシかを判断してもいい
多くの場合、各正規ディーラーはもちろんのこと、各インポーターにも年間販売計画がある。その計画どおりにクルマが売れるのであれば問題はないのだが、なかなか予定どおりにいかないのが世の常だ。
しかし、年間販売計画の数字(いわゆるノルマだ)をクリアしなければならず、しかも船便等で海外から生産されたクルマが次々と日本に送られてくる。そして、車両保管場所のスペースにも限界がある。
こうして余剰となったクルマがインポーターやディーラーを介して新規登録され、認定中古車センターなどの店頭に「登録済み未使用車として並べられるのだ。
走行1000km以内登録済車の多くがディーラーの元試乗車であることは先に述べたとおりだ。新規登録から半年を過ぎたあたりから試乗車としての役割を終えて、「走行1000km以内の登録済車」として主に認定中古車センターの店頭に並べられる。
出自が元試乗車であれば、短期間のうちに多くの人が乗り降りするので使用感があるのは当然だ。このあたりは店頭やカーセンサー.netやgooなどに掲載される際「元試乗車」「元デモカー」などと記載されていることが多いので、事前に確認できるケースが多いのでチェックしておきたいポイントだ。
とはいえ「実際はどうなの? 」という疑惑の念を払拭できないユーザーがいても不思議ではない。
なにしろ新車同然のクルマが、新車よりも数十万円~時には100万円以上も割安で購入できるのだから「何かウラがあるんじゃないの? 」と考えたく気持ちも理解できる。
■登録済み未使用車および走行1000km以内登録済車メリット/デメリットとは?
スライディングルーフ(サンルーフ)など、生産時に装着できないオプションにどこまでこだわるか? これも判断材料のひとつだろう
すでに予備知識のある方であれば「今さら・・・」だと思うが、「今ひとつよく分からない方」向けに登録済み未使用車および走行1000km以内登録済車のメリット/デメリットをまとめてみた。
●A.登録済み未使用車のメリット/デメリット
○メリット
・新車に限りなく近い状態のクルマが安く購入できる(新車比90%前後)
・新規登録してから1年~数ヶ月以内の個体が多い
・購入時の諸費用が抑えられる
・4月1日以降に契約した場合、購入年の自動車税が免除される
・人気のグレード、ボディーカラー、オプションを装備したクルマが多い
・付帯されているメーカー保証を継続できる
・気に入った仕様のクルマがあればまさに「掘り出しモノ」
○デメリット
・自分の好きな仕様が選べない(グレード、ボディーカラー、オプション)
・登録した日から初回車検までのカウントダウンがはじまっている
・登録した日からメーカー保証期間満了日までのカウントダウンがはじまっている
・没個性(売れ筋を押さえた車両が中心で似たような仕様のクルマが多い)
・実質的に2オーナー目となる
・すべて一品モノであり、即断即決が求められる
登録済み未使用車に比べて、走行1000km以内登録済車の使用感は避けられないポイントだ
●B.走行1000km以内登録済車メリット/デメリット
○メリット
・新車に割合近い状態のクルマが安価で購入できる(新車比80~90%前後)
・新規登録から1~2年以内であることが多い
・購入時の諸費用が抑えられる(値引きに応じてくれる可能性もあり)
・4月1日以降に契約した場合、購入年の自動車税が免除される
・人気、あるいは上級グレード、ボディーカラー、高額なオプションを装備したクルマも少なくない
・付帯されているメーカー保証を継続できる
・気に入った仕様のクルマがあればまさに「掘り出しモノ」
ベージュやホワイトなど、明るい色のシートや内装の場合、汚れが目立ちやすい
○デメリット
・自分の好きな仕様が選べない(グレード、ボディーカラー、オプション)
・初回車検まで2年前後であることが多い
・メーカー保証期間満了日までの期限が短い(新規登録から1年以上経過していることが多いため)
・実質的に2オーナー目となる
・一品モノであり、即断即決が求められる
・元試乗車やディーラーの社有車であったケースが多く、使用感は拭えない
■走行1000km以内登録済輸入中古車がオススメなユーザーとそうでないユーザーの違いは?
ユーザーにとって、向き不向きが分かれるクルマだけにじっくりと見極めたい
メリット/デメリットの次はオススメしたいユーザーとオススメできないユーザーを箇条書きでまとめてみた。
○オススメしたいユーザー
・新車並み、またはそれに近い状態のクルマを安く買いたい
・新古車のメリット/デメリットを理解している
・ボディーカラーやグレード、オプションなどのこだわりがない
・即納車が欲しい
・多少の汚れや傷があっても気にしない
・リセールバリューは気にしない
・乗り潰すつもりで購入
・メーカーの保証期間が新車時より短いが(数ヶ月~数年以内なので)気にしない
ボディーカラーやグレード、オプションなどにこだわりたいユーザーには不向きといえそうだ
○オススメできないユーザー
・何らかの理由で即決できない
・新古車の不安要素が払拭できない心配性
・ボディーカラーやグレード、オプションなどにこだわりたい
・大幅な値引きを希望している場合
・新車へのこだわりが捨てきれない
・神経質(潔癖性)な方
・リセールバリューが気になる
・フルにメーカーの保証期間の恩恵を享受したい
本当は即決したいが、家族と相談しないと・・・というケースもあるだろう。本気度を伝えればディーラーとの交渉次第で1日~数日程度なら「商談中」にしてくれるケースもある。
ただ、ここで注意しなければならないのは「商談中」を鵜呑みにしないことだ。たいていの場合は他に購入希望者が現れてもディーラー側で断ってくれるが、何らかの手違いや売る側の都合で他のユーザーが契約してしまうケースもあるので注意したい。
魅力的な物件であればあるほどライバルが多い。本当に購入の意思があるのであれば、セールスにその気持ちを伝え、一定期間はがっちり確保してもらえるよう頼むべきだ。
■新車と走行1000km以内登録済輸入中古車の価格差の実例
では、新車と走行1000km以内登録済輸入中古車では価格差はどれくらいのあるのだろうか? 実際に売られているクルマと新車販売価格を併記してくらべてみよう(新車販売価格は基本的にオプションを含めない金額)。
メルセデスベンツは、車種によってはほぼ未使用の物件も見つかった
●メルセデスベンツ
◎2021年式メルセデスベンツA180スタイルAMGライン
・車両本体価格:438万円、走行距離0.1万km、車検2024年6月
・主な装備:レーダーセーフティパッケージ、ナビパッケージ、AMGライン
・新車販売価格:457.7万円(*op含む)
◎2019年式メルセデスベンツC220dローレウスエディションディーゼルターボ
・車両本体価格:498万円、走行距離21km、車検2023年5月
・主な装備:レーダーセーフティパッケージ、スポーツパッケージ
・新車販売価格:575万円
◎2021年式メルセデスベンツE450 4マチックエクスクルーシブ(ISG搭載モデル)
・車両本体価格:1078万円、走行距離32km、車検2024年4月
・主な装備:エクスクルーシブパッケージ
・新車販売価格:1144万円
BMWは走行1000km~の物件が多いようだ
●BMW
◎2021年式BMW1シリーズM135i xドライブ
・車両本体価格:478万円、走行距離0.1万km、車検2024年2月
・主な装備:デビューパッケージ
・新車販売価格:641万円
◎2020年式BMW2シリーズアクティブツアラー218iラグジュアリー
・車両本体価格:299万円、走行距離0.1万km、車検2022年12月
・主な装備:レザーシート
・新車販売価格:449万円
◎2021年式BMW3シリーズM340i xドライブ
・車両本体価格:748万円、走行距離0.1万km、車検2024年2月
・主な装備:レザーシート
・新車販売価格:990万円
アウディも走行1000km~の物件が多いようだ
●アウディ
◎2020年式アウディA1スポーツバック citycarver limited edition
・車両本体価格:398万円、走行距離0.1万km、車検2023年8月
・主な装備:ファブリックプラス/レザレット、ブラックアピアランスパッケージ
・新車販売価格:483万円
◎2020年式アウディA3スポーツバック 30TFSI
・車両本体価格:298万円、走行距離0.1万km、車検2023年8月
・主な装備:アシスタンスパッケージ、バーチャルコックピット
・新車販売価格:310万円
◎2020年式アウディA4 35 TFSI advanced
・車両本体価格:438万円、走行距離0.1万km、車検2023年5月
・主な装備:レザーシート、マトリクスLED
・新車販売価格:523万円
VWはモデルによってはほぼ未使用の物件が見つけられる
●フォルクスワーゲン
◎2021年式VWポロTSIコンフォートライン
・車両本体価格:259万円、走行距離12km、車検2024年6月
・主な装備:純正ナビ、LEDヘッドライト
・新車販売価格:263.9万円
◎2020年式VWゴルフTDIコンフォートラインマイスターエディション
・車両本体価格:297万円、走行距離0.1万km、車検2023年7月
・主な装備:純正ナビ、LEDヘッドライト
・新車販売価格:353.9万円
◎2020年式VWパサートTDIエレガンスライン
・車両本体価格:350万円、走行距離20km、車検2023年12月
・主な装備:純正ナビ、LEDヘッドライト
・新車販売価格:464.9万円
ボルボもボディーカラーやオプションにこだわらなければほぼ未使用車が見つけられそうだ
●ボルボ
◎2021年式ボルボXC40AWD Rデザイン
・車両本体価格:508万円、走行距離12km、車検2024年3月
・主な装備:harman/kardonプレミアムサウンド、パークアシスト
・新車販売価格:539万円
◎2021年式ボルボXC60AWD モメンタム
・車両本体価格:578万円、走行距離11km、車検2024年3月
・主な装備:クライメートパッケージ、パワーシートプラスパッケージ、本革シート
・新車販売価格:639万円
◎2021年式ボルボXC90AWD テイラードウールエディション
・車両本体価格:778万円、走行距離18km、車検2024年5月
・主な装備:ガラスサンルーフ、本革シート
・新車販売価格:896万円
■結論:走行1000km以内登録済輸入中古車はお得なのか?
「予算を抑えつつ、程度の良い輸入車に乗りたい」というユーザーにはまたとない選択肢といえる
結論としては「心配性」「潔癖性」「こだわりが強い」の方は不向きかもしれない。その反面、「とにかく安価で抑えたい」「多少の使用感があっても気にしない」「それほどこだわりはない」方にとってはお得な買い物といえる。
すべてのユーザーにとってお得だとは断言できないが「予算を抑えつつ、程度の良い輸入車に乗りたい」という場合はまたとない選択肢といえる。
また、輸入車デビューを考えているけれどさすがに新車はハードルが高いし、かといって中古車は不安・・・というニーズにも合致しそうだ。
しかし、すべてが1品モノなので、即断即決をしないとライバルに奪われてしまう可能性がある。
中古車と同様に、いつ、どのタイミングで自分の希望に近い仕様のクルマが見つかるかは分からない。そこで新車のセールスではなく、認定中古車センターのセールスに希望の仕様が見つかったら連絡して欲しいと伝えるのも手だ。
ディーラーからすれば新車を購入して欲しいのが本音なので、大幅な値引きを提示して「新車の方がお得ですよ!」とアピールしてくることもある。一応、これには耳を傾けてもいいかもしれない。
いまや、現車を見ずに中古車を購入するケースもあたりまえになりつつある。北海道で売られているクルマを東京のユーザーが購入し、納車時が初対面というケースも珍しくない。
ましてや「新古車」ともなれば程度良好である場合が多く、ライバルは日本全国にいると考えていい。この種のクルマをゲットするには情報収集能力と決断力が求められるのだ。
カーセンサー.netやgooなどで網を張り「これは!」と思う物件が見つかったら即、販売先のディーラーに連絡を入れる。家族など、説得する必要がある場合は事前に承諾を得て、即断即決するくらいの気構えが必要かもしれない。
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