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【フロントグリルを許せる走り】最新BMW 4シリーズ M440i xドライブへ試乗 前編

掲載 更新 24
【フロントグリルを許せる走り】最新BMW 4シリーズ M440i xドライブへ試乗 前編

ルックス以上の話題性を持つ4シリーズ

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】BMW 4シリーズ A5とCのクーペ 全100枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


これまでの7年間、BMW 4シリーズは好調だった。華々しく発表されたのは2013年。延べ80万台以上が生産され、英国には15万台近くが入ってきている。実は北米に次ぐ、2番目の主要市場になっている。

その成功は、2ドアクーペだけでなく、カブリオレや4ドアのグランクーペでも同様。ガソリンとディーゼルの4気筒と6気筒エンジンが、幅広いニーズを支えてきた。

2代目となる4シリーズでも、BMWとしてエンジンのラインナップは重要だ。今回試乗したのは、トップグレードとなるM440i xドライブ。最高出力374psを発揮する、新しい3.0L直列6気筒ガソリンターボ・ユニットを搭載する。

しかし販売につながりそうな話題は、それだけではない。そう、フロントグリル。

確かに4シリーズのデザインには、賛否両論、色々な意見がある。スタイリングが好きか嫌いかは別として、第2世代の4シリーズにはルックス以上の話題性があると、初めに触れておきたい。

BMWは、G22型と呼ばれる4シリーズ・クーペを、従来以上に独自性の高いモデルとして開発したと説明する。3シリーズの派生版、以上のモデルとして。

その独立した位置付けが、例のフロントグリルを始めとする大胆なスタイリングや高い品質にも表れているのだろう。ボディサイズも、随分違う。

プラットフォームは3シリーズと共有のCLAR

全長は初代4シリーズから128mm長くなり、4768mm。全幅は27mm広くなり1852mm。全高は6mm成長して1383mmになった。ひと回り大きくなったことで、従来以上に存在感が増し、スポーティなフォルムを実現している。

ホイールベースは41mm伸び、2851mm。スポーティな走行フィーリングを得る目的で、先代の4シリーズよりトレッドも広げられた。フロントは28mm増しの1575mm、リアが18mm増しの1611mmだ。

2代目でも、4シリーズのモデル展開は2ドアクーペから始まる。ちなみに先代では、英国では4シリーズの販売の33%を占めていたのが、2ドアクーペだった。2021年にはカブリオレと、英国の4シリーズで50%を満たしていたグランクーペが、順次投入される。

新しい4シリーズがベースとするのは、3シリーズと同じCLARプラットフォーム。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドを含む、技術面も共有している。

走りを重視するBMW 4シリーズとして、重要となるのが重心高。初代4シリーズより、21mm低い。ボンネットやフロントフェンダー、ドア、フロント・サスペンション回りにアルミニウムを用いるなど、複数の素材を組み合わせたことも影響している。

ボディ剛性は、現行の3シリーズより高い。フロント・バルクヘッド部分へ新設計のパネルを採用し、フロント・サスペンションのストラットタワー回りも専用設計。エンジンルーム前方には、Aの形状をした補強ブレースが追加された。

引き上げられたインテリアの知覚品質

インテリアは、3シリーズで見慣れた光景。ダッシュボードは水平方向に層が重ねられたデザインで、メーターパネルには12.3インチ、インフォテインメント・システムには10.3インチのモニターを採用する。

M440i xドライブの場合、インフォテインメント・システムはタッチモニターでの操作のほか、便利なロータリー・コントローラーも残っている。オプションで、音声認識機能とジェスチャー・コントロールでも操作が可能だ。

インテリアの知覚品質は、先代よりはるかに高い。用いられている素材や仕上げも上質。

ドライビング・ポジションは、3シリーズとは驚くほど違う。フロントガラスが大きく寝かされ、フロントシートの取り付け位置も低い。操作スイッチが沢山付いたステアリングホイールの位置も、かなりの調整幅がある。

車内空間でBMW 4シリーズを選ぶ人はいないと思うが、先代より明らかに広くなっていることも特長。ただし、リアシートは座面がかなり低いものの、頭上空間は限定的。BMWによれば、それでも余裕は増しているという。荷室容量は5L小さくなり440Lだ。

現時点では、2代目4シリーズ・クーペには、6種類のグレードがアナウンスされている。英国では、エンジンは4種類から選べる。

ベースグレードとなるのが、2.0L 4気筒ターボ・ガソリンで、186psが420iに、261psが430iに搭載される。どちらも後輪駆動が標準になる。

ディーゼルエンジンは、2.0L 4気筒ターボで、192psの設定で420d xドライブに積まれる。こちらは電圧48Vのマイルド・ハイブリッド仕様で、四輪駆動となる。

素晴らしい3.0L直6ターボと8速AT

さらに2021年には、3.0L直列6気筒ディーゼルターボが追加予定。290psと340psの設定で、430d xドライブとM440d xドライブとして英国に導入される見込み。

今回試乗したM440i xドライブは、モデルの中で最もパワフル。従来の440i比で43ps増しの、374psを獲得している。

M440i xドライブに搭載されるエンジンは、3.0L直列6気筒ターボ。M340i xドライブのほか、ほかのBMW製モデルにも積まれているユニットだ。トルクコンバーター式の8速ATと、電子制御のリアデフを含む、四輪駆動システムもM340i xドライブと共有する。

このM440iのエンジンで、際立つ個性が回転のスムーズさと、吹け上がりの良さ。加えて、低回転域でのピックアップの鋭さと、中回転域での柔軟性も目をみはるほどイイ。

背中がシートに押し付けられるような、次期M4と同等の加速は得られない。しかし、50.9kg-mの最大トルクを1900rpmから発生し、とても扱いやすい。フルスロットルの鋭い中間加速と、ハーフスロットルのリラックスした走りを、両立させている。

さらにトランスミッションも素晴らしい。低回転域でのAT任せの変速でも、マニュアル・モードで6800rpmまで引っ張りシフトパドルを弾いても、常にスムーズで素早い。

ドライビング・モードは、エコ・プロ、コンフォート、スポーツの3段階が基本設定。ほかに運転条件で3段階の内容が任意で組み合わされる、アダプティブ・モードが選べる。シフトパドルの操作でスポーツ・モードに変わる、スプリント・モードも追加された。

この続きは後編にて。

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