世界中のクルマ好きに支持されるポルシェ911
世界を代表するスポーツカーブランドであるポルシェ。その歴史を長らく支えてきたのは、RRレイアウトに水平対向6気筒エンジンを搭載する911でした。しかし過去には911からの脱却を目指し、さまざまなFRスポーツカーを造ってきたという歴史もあります。それはポルシェの挑戦と苦悩の歴史でもありました。
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ポルシェ=911からの脱却を目指して
1948年に誕生したポルシェ初の量産車である356、そしてその後継モデルとして登場し、今日まで生産され続いている911。どちらもRRレイアウトに水平対向エンジンを搭載しており、その基本的なパッケージは約70年が経過した現在のモデルでも不変です。RRレイアウトとなったのは356を市販化にするにあたり(プロトタイプではミッドシップ)、室内空間をより広く確保するために取られた策でした。このRRレイアウトという選択がいい意味でも、悪い意味でも356と911のアイデンティティとなり、今日まで続いていくこととなります。
しかし、RRレイアウトは911の独自性を強めることとなり、ポルシェ=911というイメージを長く引きずることとなります。その結果911に頼る経営体制となってしまいました。ポルシェはこの状態を脱却するため、さまざまなFRスポーツたちを世に送り出していったのです。
ポルシェ初のフロントエンジン搭載車「924」
911の弟分として1970年から販売されていたミッドシップポルシェの914。その914のマーケティング上の後継モデルとして、FRになって1976年に登場したのが924です。ポルシェとしては初めてフロントにエンジンを搭載したモデルとなり、水冷エンジンもポルシェ初採用でした。
搭載されるエンジンはアウディ100に搭載されたエンジンをベースに、ポルシェが改良を施した2.0L直列4気筒SOHCで、最高出力125psを発生。トランスミッションはエンジンの後ろではなく、デフ直前に配置するトランスアクスルレイアウトを採用しています。911の弟分であるエントリーモデルながら、初採用のメカニズムや手間のかかるトランスアクスルレイアウトなど、しっかりと性能にこだわって作られたスポーツカーだったのです。
その後ポルシェらしく年々バージョンアップしていき、ターボモデルや排気量を2.5Lに拡大した924Sも登場しました。
924よりも高性能なエンジンを搭載した「944」
1982年に924と911の中間に位置するモデルとして登場したFRポルシェが944です。こちらも924と同じく直列4気筒エンジンと、トランスアクスルレイアウトを採用したFR。エンジンは2.5Lが最初から搭載されていました。
944もポルシェらしく年々進化を遂げ、ターボモデルも途中で追加されたほか、1987年に登場した944Sは911でも導入されていなかったDOHCヘッドを採用します。2.5Lの自然吸気エンジンながら当時としては高性能な最高出力190psを発生。さらに進化した944 S2では排気量が3Lにまで拡大され、最高出力211psを誇りました。
可変バルタイ採用でさらに高出力化に成功した「968」
944の後継として1992年に登場した968。944から比べてこのモデル最大の進化ポイントはエンジンです。ブロックなど基本的な部分は944最終モデルの944 S2と同じですが、可変バルブタイミング機構ヴァリオカムを採用し、最高出力は240psを発生。ちなみにヴァリオカムは、ポルシェとして初めて市販車に採用したメカニズムでした。また、当時としては世界的に珍しかった6速トランスミッションも採用。FRポルシェの最終進化系にふさわしい仕上がりでした。
よりレーシーなクラブスポーツ(CS)やターボモデルも登場しましたが、1995年ごろに生産を終了するという、短命なモデルとなってしまいました。
GTカーらしさが際立つ「928」
それまでの4気筒FRポルシェたちとは異なるコンセプトで、1978年に登場したのが928です。それまでポルシェはスポーツカーを作ってきましたが、GTの色を濃くした最初のモデルがこの928と言えるでしょう。4.5Lの水冷V8エンジンを搭載したFRで、911よりも上位に位置付けられていました。
旋回時にアウト側の後輪を2度トーインにして、コーナリングの安定性を高めるヴァイザッハリヤアクスルは、のちの4WDシステムなどのはしりとも言えるメカニズムで、フラグシップクーペにふさわしい先進的な技術を採用したモデルでした。
当初4.5Lだったエンジンは最終的に5.4Lまで拡大。SOHCも途中からDOHCヘッドへと変更しています。そんな進化を続けてきたモデルではありましたが、長らくフルモデルチェンジせずに販売を続けたというのも事実です。後継モデルが開発されることなく、1995年ごろに生産終了となっています。
FRモデルはポルシェがチャレンジを続けた歴史
FRポルシェの歴史を振り返ると、水冷エンジンやDOHC、ヴァリオカムにヴァイザッハリヤアクスルなど、911には導入していなかった数々のメカニズムがFRポルシェで初採用となっているのが分かります。それは911からの脱却を目指していた部分もあるかもしれませんが、「売れればいい」だけではなく、本気でポルシェがスポーツカーを開発していたという姿勢の表れと言えるでしょう。
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みんなのコメント
ポルシェは911と言う人が多いけど私は944が1番好きです。
なんだかんだでポルシェには911しか無かったから。
レースには莫大なカネが掛かり、経営状態は良くない
911のバリエーションを増やしても、タルガトッブとRSぐらい。
だからFRのクルマを開発し、安定した経営基盤を作ろうとした。
「これからは売れるクルマを作るのだ」
当時の経営陣の発言。
それが成功するのはカイエンがバカ売れしてからだけどね