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FIA、電動GTレギュレーション「ESV」を発表。市販EVをベースに“草の根レース”での普及を目指す

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FIA、電動GTレギュレーション「ESV」を発表。市販EVをベースに“草の根レース”での普及を目指す

 FIAは、市販車に近い電動GTマシン用テクニカルレギュレーションとして“Electric Sport Vehicle(ESV)”を発表。このレギュレーションを基にしたカテゴリーには、FIAが標準仕様で最低出力300kW(408PS)のGTカーとクーペ型スポーツセダンと定める車両が参戦可能だ。

 ESVは、長年継続されてきた無改造車カテゴリー“グループN”の精神に則って考案されたモノで、国内、地域レベルのレースやタイムアタックのヒルクライム・スプリントなど既存の競技に電気自動車を組み入れることが可能になる。

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 またこのESVの新設によって、各メーカーがEV用のワンメイク・シリーズを立ち上げることも想定されている。

 FIAはESVのレギュレーションが世界モータースポーツ評議会(WMSC)で承認されたことを受けて、6月23日(金)に声明を発表。その中で、「将来に向けて持続可能なモータースポーツを発展させる」ために、高電圧安全性における競争力を活用したいと述べている。

 グループNに倣い、ESVのレギュレーションでは認められる改造範囲が限られ、FIAはメーカーがすぐにレースへ投入できるような車両を用意することを想定している。

 FIAの想定では、発売から2年間で最低300台の生産台数を達成した車両のみがホモロゲーションを取得可能。ESVに該当する従来車両は、アウディ『RS e-tron GT』やポルシェ『タイカン』、BMW『i4』、マセラティ『グラントゥーリズモ・フォルゴーレ』などが挙げられる。

 FIAのサーキットスポーツ担当ディレクターであるマレク・ナワレツキは次のように語っている。

「世界のモータースポーツを統括するFIAの責任は、加盟クラブだけでなく、地元オーガナイザーやプロモーターがFIAの知見や専門知識を利用できるようにすることでもある」

「したがって、様々なカテゴリーやフォーマット、そして様々な競技レベルに適用可能なテクニカルレギュレーションを設けることは、FIAの知見利用を実現するための重要な鍵となる」

「FIA ESVは、ディーラーで購入したクルマに必要な安全装備を全て装着すれば、基本的には競技に使用可能となる。これは様々なカテゴリーやフォーマットに適したグループNの精神を復活させるモノだ」

 また、FIAのGT委員会のルッツ・ライフ・リンデン委員長は、新レギュレーションが「市場の需要に応えている」として、次のように続けた。

「このテクニカルレギュレーションを設けることで、各メーカーのカスタマーレース部門は、GT3がそうである通り、かなりの収入源となるはずの競技用EVを提供できるようになる」

「独自のワンメイク・シリーズを創設する道も開けるだろう」

 ESVでは、2輪駆動と4輪駆動の両方が認められている。全高は最大1460mmで、SUVやクロスオーバーは対象外となる。

 また大径ホイールタイヤを装着させるためにホイールアーチを大きくしたり、冷却ダクトを追加したりすることは認められているものの、オリジナルのシルエットを維持する必要がある。

 リヤハッチやドアなど一部のボディワークのパネルには軽量素材の使用が許されている。ただ、 世界耐久選手権(WEC)のハイブリッドマシンやフォーミュラEで開発されたFIAの「セーフティ・ライト・システム」を搭載しなければならない。これはコース上でアクシデントが発生した際に、マーシャルがマシンに触れても安全であることを示すモノだ。

 ESVレギュレーションに沿って開発された車両は、重量や出力、空力を含む多くのパラメーターに基づくFIAの「パフォーマンス・ファクター・システム」によってクラス分けされることとなる。

 なお、FIAのGT委員会が主導するESVの声明の中には、ラリーに関する言及はない。またESVレギュレーションは2021年に発表された「FIA電動GT選手権」のレギュレーションとは大きく異なるモノ。この「FIA電動GT選手権」は、GT3車両と同等のパフォーマンスを持つマシンを開発するために考案された。

 電動GT選手権は当初、2023年に試験レースを開催すること予定だったものの、メーカーの賛同を得られず、現在は後回しの状態となっている。

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みんなのコメント

2件
  • 欧州の事だから、どうせまた自分たちが勝てなくなると簡単にレギュレーションやルール変更に
    走るんだろう。欧州車メーカーは純粋に技術で勝負出来ないからな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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