現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【試乗レポート BMW i4】多様性時代の電気スポーツカー

ここから本文です

【試乗レポート BMW i4】多様性時代の電気スポーツカー

掲載 6
【試乗レポート BMW i4】多様性時代の電気スポーツカー

新車試乗レポート [2022.10.01 UP]


【試乗レポート BMW i4】多様性時代の電気スポーツカー
文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス
 BMWモデルのキャラクターを最もストレートに表現するのが、走りの情熱の象徴「M」モデルであり、世界のクルマ好きたちから熱い視線を集める存在のひとつである。

【BMW i4 M50】電気自動車の実力を実車でテスト!【グーEVテスト】


既存のラインナップに取り入れられた「BMW i」

BMW i4 M50
 今回の主役となる「M」は、ミッドサイズの4ドアクーペ「4シリーズグランクーペ」をベースとしたものなのだが、他のMモデルとは大きく異なる点がひとつある。それはリヤエンドに回り込めば、すぐに気が付くできるはずだ。リヤスカートに備わる迫力の大口径エキゾーストエンドが存在しないのだから……。なんと、この「M」は、EVなのだ。

 あなたはBMWの名の由来をご存じだろうか。「Bayerische Motoren Werke」の頭文字をとってものである。日本語にすると、「バイエルン州のエンジン工場」となり、同社がエンジンを得意としてきたメーカーが起源であることが分かるが、そのBMWは、プレミアムブランドとして、将来の電動化に向け、早くから大きく舵を切ってきた。これまでは、コンパクトハッチ「i3」やフラグシップSUV「iX」に代表されるEVブランド「BMW i」の専用モデルを主役としてきたが、第2フェーズへと進んだ現在は、既存のラインアップの中に、「BMW i」を取り入れるようになっている。つまり、エンジン車と共通デザインのEVが選べるように展開が進められ、現在までにミッドサイズSUVのX3のEV「iX3」やフラグシップサルーン7シリーズのEV「i7」などを投入。ただそれらのM系モデルは、スポーティ仕様の「Mスポーツ」までとされてきた。しかし、4グランクーペのEV「i4」は、BMW iモデル初となる超高性能なEVとなる「M」モデルを初設定。それが「i4 M50」だ。


BMW i4 M50
 ベースを共有するだけに、エンジン車のMモデル「M440i xDrive グランクーペ」とエクステリアは瓜二つ。上記したテールエンドの違いを除けば、EVらしいディテールもなく、瞬時にEVと見抜くのは難しい。何より、EVのお約束となるブルーのアクセントカラーなども取り払われ、フロントグリルには、「M4」などのMハイパフォーマンス同様に、Mバッチも輝く。インテリアは、先行して最新式のデジタルメーターパネルのカーブドディスプレイが搭載されているので、最新の4シリーズグランクーペとダッシュボードデザインは一部異なるが、マイチェンの3シリーズにカーブドディスプレイが採用されたことから、その違いもいずれ取り払われるだろう。唯一「i4」らしいのは、シフトレバーとスタートスイッチにブルーのアクセントが取り入れられていることくらいだ。


M4に迫る加速パフォーマンス

BMW i4 M50
 やはり気になるのは、性能面の話題だ。M50は、前後に電気モーターを積む4WDとなっており、前輪用が190kW(258ps)/365Nm、後輪用が230kW(313ps)/430Nmを発生。システム全体では、400kW(544ps)、795Nmとなる。因みにエンジン車のM440i xDriveが、285kW(387ps)/500Nm。M4コンペティションM xDriveクーペが、375kW(510ps)/650Nmと、パワーユニットの性能では、M4さえ凌ぐ。ただ車両重量に関しては、大容量のバッテリーを搭載するため、車重はM50が2240kgとM440iの400kg増、M4の450kg増と圧倒的に重いが、圧倒的なパワーを活かし、0-100km/加速は、M4の3.5秒に迫る3.9秒を叩き出している。

 もちろん、単に超高性能なEVを目指したわけではない。Mらしい演出もしっかりと作り込まれている。その象徴が、「アイコニック・サウンド・エレクトリック」と名付けられた電子エキゾーストノートである。加減速を加速度の変化だけでなく、サウンドでも表現することで、人の感覚によるスポーツ性も磨き上げられている。そのサウンドは、エンジン音を模したものというよりも、電気モーターが生む躍動感を表現したメロディと言った方が分かりやすいかもしれない。ちょっとSFチックなサウンドなのだ。ドライブモードのセレクトによっても変化し、スポーツモードでは、迫力重視となり、快適性を重視したコンフォートでは、控えめに。面白いのは、エネルギー効率重視の「ECO PRO」では、オフとなること。EVらしさもしっかり感じられるように配慮されているのだ。

 重量級ボディとハイパワー電気モーターを備えたM50の走りだが、前後重量バランスもBMWらしく50:50に整えられ、モーターのピックアップの良さから、スムーズな走りを見せてくれる。もちろん、アクセルを強く踏み込めば、強烈な加速に襲われるが、電子サウンドの恩恵もあり、しっかりと体感が伴うように感じられたのは好印象だ。ハイパワーな重量級マシンであるため、ブレーキもしっかりと強化され、回生とフットブレーキのバランスも良好。ワインディングのようなシーンでも、EVの俊敏さを活かし、コントロール性の高い前後電気モーターによる細やかな駆動配分によりオンザレールの走りが楽しめる。


BMWらしいスポーティな電気自動車

BMW i4 M50
 スポーティな走りが楽しめるEVの味付けには、先行したEV「i3」の知見もきっと活かされているのだろう。エンジン屋のBMWらしいスポーツEVに仕上げるために、i4 M50では様々な挑戦が試みられたはずだ。それが、このタイミングでの初の電動Mモデルへの投入へと繋がった。その性能をフルに引き出せば、もちろん電費は悪化する。ただ普段は高効率なエコカーとして使い、クルマを楽しみたいシーンでは、Mの顔を引き出すなんて、欲張りな使い方ができるMは、現状はコイツだけ。まさに多様性の時代のスポーツカーだ。しかも、価格面でのアドバンテージがあり、車両価格自体はM440iの75万円高となるが、CEV補助金や環境性能割などの税金の免除により、その差を相殺することができる。航続距離も最大546km(WLTC)なので、ロングドライブに十分対応できる。

 欲を言えば、性能面では非の打ち所がない反面、走りにサイボーグ感が強いのも事実だ。エンジン車のようなエモーショナルさは薄く、その点は、M440iの方が上。ただいずれEVのMモデルをM4などの生粋のMモデルへの昇華させることを目指しているのは間違いなく、その点は今後の楽しみともいえる。これはMの電動車の第一歩なのだから。

BMW i4の新車情報を見る

こんな記事も読まれています

アルファロメオからセアトにVWまで! 凄腕デザイナー「ワルター・デ・シルヴァ」独自の手法と名車5台
アルファロメオからセアトにVWまで! 凄腕デザイナー「ワルター・デ・シルヴァ」独自の手法と名車5台
WEB CARTOP
新型電動ミニバン『L380』は航続824km、LEVCが中国発売…グローバル展開も計画
新型電動ミニバン『L380』は航続824km、LEVCが中国発売…グローバル展開も計画
レスポンス
トヨタが新型「アクア」発表! 新たな「小さな高級車“ラフィネ”」も追加された「大人気コンパクトカー」の優位点とは
トヨタが新型「アクア」発表! 新たな「小さな高級車“ラフィネ”」も追加された「大人気コンパクトカー」の優位点とは
くるまのニュース
2024年中の発表もあるか!? ホンダのおしゃれクーペ「プレリュード」誕生間近? 新型は「往年の名車ゆずり」の圧倒的な存在感が魅力的
2024年中の発表もあるか!? ホンダのおしゃれクーペ「プレリュード」誕生間近? 新型は「往年の名車ゆずり」の圧倒的な存在感が魅力的
VAGUE
アストンマーティン、アロンソの個人的な依頼から誕生した限定車『Valiant』を発表。グッドウッドでデモ走行へ
アストンマーティン、アロンソの個人的な依頼から誕生した限定車『Valiant』を発表。グッドウッドでデモ走行へ
AUTOSPORT web
ホンダ、『モンキー125』のカラーリングを変更。レッドほか3色展開で7月25日から発売
ホンダ、『モンキー125』のカラーリングを変更。レッドほか3色展開で7月25日から発売
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、2026年”登場”のレッドブル自社製パワーユニットに自信「ファクトリーには成功するために必要なモノが全て揃っている」
フェルスタッペン、2026年”登場”のレッドブル自社製パワーユニットに自信「ファクトリーには成功するために必要なモノが全て揃っている」
motorsport.com 日本版
なぜいま若者に「マツダ・ロードスター」が人気なのか? クルマの愉しさも最新の安全性も妥協しないのが今風の選び方。
なぜいま若者に「マツダ・ロードスター」が人気なのか? クルマの愉しさも最新の安全性も妥協しないのが今風の選び方。
くるくら
永遠のライバルがついにタッグを!?『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』
永遠のライバルがついにタッグを!?『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』
バイクのニュース
ホンダの新世代EV「e:N」、第2弾モデル『e:NS2』は航続545km…中国発売
ホンダの新世代EV「e:N」、第2弾モデル『e:NS2』は航続545km…中国発売
レスポンス
【スクープ】ヘッドライトはよりスリムなデザインに! フォルクスワーゲン「T-Roc」次期型は電動モデルを強化へ
【スクープ】ヘッドライトはよりスリムなデザインに! フォルクスワーゲン「T-Roc」次期型は電動モデルを強化へ
LE VOLANT CARSMEET WEB
ホンダ「新型ダックス」発表! 超レトロな「伝説的モデル」は45万円!? 新たな「OP装備」も採用した「新型モデル」 8月発売に反響あり!
ホンダ「新型ダックス」発表! 超レトロな「伝説的モデル」は45万円!? 新たな「OP装備」も採用した「新型モデル」 8月発売に反響あり!
くるまのニュース
TokyoCamp の「チタン焚き火台オプションパーツセット」抽選販売の受付を7/1~7に実施!
TokyoCamp の「チタン焚き火台オプションパーツセット」抽選販売の受付を7/1~7に実施!
バイクブロス
国交省、型式認証不正の31車種で基準適合を確認 マツダとヤマハ発は出荷停止解除 残りはトヨタとカワサキモータース
国交省、型式認証不正の31車種で基準適合を確認 マツダとヤマハ発は出荷停止解除 残りはトヨタとカワサキモータース
日刊自動車新聞
【ホンダ フリード 新型】事前受注2万4000台…すでに納期9か月待ちのグレードも
【ホンダ フリード 新型】事前受注2万4000台…すでに納期9か月待ちのグレードも
レスポンス
スーパーフォーミュラ・ライツに挑む中村仁はなぜ白ヘルメット!? 本人に聞く理由と白に込めた思い
スーパーフォーミュラ・ライツに挑む中村仁はなぜ白ヘルメット!? 本人に聞く理由と白に込めた思い
AUTOSPORT web
アウディ、2026年F1新規参戦に向けたPU開発は予定通り「既にテストベンチでレース距離をシミュレートしている」
アウディ、2026年F1新規参戦に向けたPU開発は予定通り「既にテストベンチでレース距離をシミュレートしている」
motorsport.com 日本版
アウディの高性能モデル 新型「RS3」8月に欧州で登場! ニュルのタイムアタックで「コンパクトカー最速」の称号を再びゲット
アウディの高性能モデル 新型「RS3」8月に欧州で登場! ニュルのタイムアタックで「コンパクトカー最速」の称号を再びゲット
VAGUE

みんなのコメント

6件
  • まずはグリルを元に戻そうや
  • BMWはどんどん受け入れられない顔になっているような気がする。
    もう次はベンツですね!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

698.01132.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

443.0895.0万円

中古車を検索
i4の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

698.01132.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

443.0895.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村