多くのライバルに並んだインテリア
執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】今後のキアに期待が持てる EV6 GTラインS 欧州での競合モデルと比べる 全152枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
キアEV6のフロントシートの間には、トランスミッション・トンネルが付いているクルマのように、センターコンソールが高い位置に伸びている。それでも、運転席まわりの空間には余裕がある。
光沢の強いピアノブラック仕上げのプラスティック製パネルが多用され、プレミアムな質感は今ひとつ。指紋や傷も付きやすいだろう。細かい部分だが、上級を目指す純EVとして気になることは確かだ。
キアというブランドは、これまでセグメント内のポジショニングが決して上の方ではなかった。だが2019年に発表されたコンセプトカーのような、巨大なインフォテインメント用モニターをEV6は採用し、多くのライバルに並んだ印象だ。
システムはユーザーフレンドリーで、ドライバーが見やすいようにモニターには角度が付けられている。機能面なども、適度に近未来的だと感じた。
スマートフォンとのワイレス連携機能は備わらない。この価格帯のモデルとしてはマイナスに受け取られそうだが、少なくともワイヤレスでの充電は可能。
仮想現実で投影されるヘッドアップ・ディスプレイと、カスタマイズ可能なメーター用モニターが付いているから、実際はそこまで連携機能の必要性は感じないかもしれない。エアコン用に、独立した操作パネルが付いている点も良い。
ステアリングホイールには複数のスイッチが備わり、主要な機能は手元で操作が可能。長時間、快適に過ごせるクルマだと思う。
郊外の道で本来の能力が発揮される
駆動用モーターの回転音は、加速中に車内へ響いてくる。一旦速度が乗ってしまえば、風切り音とタイヤのロードノイズが交代して聞こえてくるが、試乗車の履いていた20インチという大きなホイールを考えれば、悪くないレベル。試乗した日は風も強かった。
高速道路の速度域でも落ち着きは失わず、動力性能は余裕たっぷり。速度の遅いトラックなどの追い越しも、キビキビとこなせる。ボディはさほど大きく感じられない。車重は2090kgあるが、ポールスター2よりは軽い。
大きな凹凸や舗装の剥がれた穴などを通過すると、シートベースやステアリングホイールには見てもわかるような振動が伝わってくる。扁平率の低いタイヤは、英国の管理の悪い舗装をごまかしてくれることはないようだ。
郊外の開けた道に出ると、EV6の本来の能力が発揮されてくる。トップグレードのEV6 GTから250馬力ほどパワーは劣るものの、ツインモニターが生むスピードは、純EVに乗り慣れていても中毒性を感じるほど速い。特に電費効率の落ちるスポーツ・モードでは。
静止状態からの急加速でもうろたえることなく、鋭くリニアに加速していく。感覚的に危ないと思うか、法的に許されない速度域まで。
このボディサイズを持つクロスオーバーとしては、安定性してもいる。カーブが続く区間でも、挙動は予想可能で正確な操縦性は保たれる。アウディのように、ステアリングホイールには感触が殆ど伝わってこないが、レスポンスは良好と呼べる以上だった。
今後のモデルにも期待してしまう完成度
車高が高めのフォルムにも関わらず、コーナリング中のボディロールも少ない。やや乗り心地には洗練生を欠く、硬めのサスペンション設定のおかげだろう。従来的なホットハッチのように、EV6を操ることができる印象だ。
高速道路を家族でドライブする時は、エコ・モードがオススメ。ノーマルモードは、市街地などを通勤する時に良い。スポーツ・モードは、日曜日の早朝のストレス解消にぴったりだろう。
純EVとして、これほど運転したいと思えるクルマは正直少ないと感じる。セグメントとしてEV6は定義が難しいとはいえ、新しいキアの完成度は高い。
AUTOCARの英国編集部では、改めて純EVクロスオーバーの比較テストを行う予定。そこで優劣は付くはずだが、キアEV6は速さや航続距離、実用性だけでなく、個性や訴求力という点でも評価できるとはいえそうだ。
ジャガーIペイスより安く運転は楽しい。アイオニック5よりスポーティな魅力があり、標準装備も充実している。好みにもよるが、価格は若干高いものの、フォルクスワーゲンID.4 GTXより見た目のアピール力は高いと思う。
ヒュンダイとキアが展開する予定の、E-GMPアーキテクチャを採用したモデルは今後も続くという。アイオニック5の優れた部分をそのまま備える、キアEV6。これから登場するモデルにも、大いに期待してしまう仕上がりだといえる。
キアEV6 GTラインS AWD(英国仕様)のスペック
欧州価格:5万1945ポンド(805万円)
全長:4695mm
全幅:1890mm
全高:1550mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.2秒
航続距離:482km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2090kg
パワートレイン:ツインAC同期モーター
バッテリー:77.4kWh
最高出力:325ps(システム総合)
最大トルク:83.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:−
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みんなのコメント
韓国人が作ったものなど見たくも無いわ