この記事をまとめると
■中国政府がNEVの減免措置を2027年末まで延長することを発表
EV普及で起こる「急速充電」渋滞! それでも「バッテリーパック交換式」が採用されないワケ
■車両価格が30万元(約600万円)を超えるNEVは減免措置対象外
■中国車の普及に主眼を置いた減免措置であることがわかる
中国製のNEVを普及させることが目的だと考えられる
中国政府は2023年6月21日、NEV(新エネルギー車/BEV[バッテリー電気自動車]、FCEV[燃料電池車]、PHEV[プラグインハイブリッド車])購入時の車両購置税(自動車取得税)の減免措置を2027年末まで延長することを発表した。2027年まで段階的に減税枠を縮小し、2024年から2025年は台当たりで最大3万元(約60万円)、そして2026年から2027年までは台当たり最大1万5000元(約30万円)にするとしている。
当初2022年中に終了予定としていた、自動車取得税の免除措置が1年間延長されており、さらに免除から減免になるものの、NEVの購入支援を進めることとなった。車両価格が30万元(約600万円)を超えるNEVに対しては減免措置対象外となるようだ。これは中国国内で販売されているNEVの大多数が30万元以下の車両となっていることを受けてのこととしている。
あえて上限設定を設けることで、欧州など海外ブランド車を減免対象からはずし、国産車(中国車)の普及に主眼を置いた減免措置であることが伝わってくる。
中国市場における新車販売台数におけるNEVの割合は30%弱ぐらいとされている。日本市場に比べればはるかに普及しているように見えるが、それでも政府がまだまだ購入補助政策が必要と判断しているのだから、本格普及へのきっかけすら、いつになるのかわからない日本市場では中国以上に手厚い購入補助政策を打つ必要があるように見える。
しかし、防衛費倍増、子育て支援策強化などすでに岸田政権は長期的視野に立って大盤振る舞いを行おうとしている。これでは諸外国のような手厚い購入補助政策は期待できないような雰囲気が充満している。得意の国民への努力義務で無理やりBEVを買わせようとするつもりなのではと冗談半分に考えてみたが、まんざら冗談ではないかもしれない(アメリカみたいに税額控除というやり方もあるが……)。
日本のアプローチに違和感
相変わらずテレビニュースでは、「BEVは災害時には非常電源としても便利です」といったトピックを紹介しているが、政府の購入補助金制度があったとしても、割高感の残るBEVを非常電源代わりに買おうと思う人はなかなかいないだろう。これは行政が公用車を買う時には大切な理由となるかもしれないが、個人ユーザーに対し、この理由で積極的にBEVを買わせようとするのは少々アプローチが間違っているように見える。
タイではまず富裕層からBEVに乗ってもらおうという側面で普及促進策を進めている。アメリカでもカリフォルニアあたりで見ていれば、富裕層が日常生活の足代わりにおもちゃとして買って乗っているように見える。富裕層がオシャレにBEVに乗っている姿をまず見せて、イメージ作りから入っているようにも見える。
また海外で見ているといままでのICE(内燃機関)車とはまったく別物という視点で作る側も売る側も、そして使う側も共通認識として見ているように感じる。いままではまったく異なる乗り物を所有することで、生活がどう変わるかなどワクワクした気持ちを消費者に持たせることがBEV普及にはまず大切であると筆者は考えている。
繰り返すが、日本よりも大きくて強い政治体制の中国であっても、購入補助政策を設けて、国策としてBEVの普及を進めても全体の3割ほどしか売れていないのが実状。
努力義務メインで日本においてBEVが飛躍的に普及したとしたら……、日本という国を世界から見れば不思議な国というイメージがより強まっていくことになるだろう。
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みんなのコメント
合致した人、乗って良かったと思う人は乗ればいい。そういう人に行き渡ったあとは…?
合わない環境の人にまで押し売りしたり地上げで無理矢理環境変えたりは本末転倒だ。