ルノーのコンパクトハッチ「メガーヌ」のハイパフォーマンスバージョン「ルノー・スポール トロフィー」に設定されているMTモデルの魅力とは?
見かけだけのスポーツモデルではない
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「羊の皮をかぶった狼」。21世紀の今、そんな古めかしいフレーズが似合うクルマといえば、ルノー「メガーヌ ルノースポール トロフィー」じゃないでしょうか。
メガーヌ R.S.といえば、クルマ好きの間では「オッ!」と、一目置かれる存在だけれど、カーガイ要素皆無な人からは、「Megane。エッ!? メガネ……?」という古典的なボケがいまだに聞ける、あまり見かけない5ドアハッチの1台に過ぎない。
とはいえ、路上にうずくまるメガーヌ R.S.トロフィーからは、只者ならぬアウラが発散される。アグレッシブな形状のフロントバンパー左右にはチェッカーフラッグを模したランプ類が埋め込まれ、広げられたフロントフェンダー後部にはエンジンルームの熱を排出するアウトレットが設けられる。
リアにはディフューザーと一体化されたセンターエグゾーストパイプが顔を出し、四隅に配された凝ったデザインの19インチ“トロフィー”ホイールも、わかりやすい差別化パーツだ。
もし通りすがりの人に奇異な目で見られることを気にしないなら、膝をついて車体底部を観察してください。「レーシングマシンかッ!」とツッコミを入れたくなるほど、フロア裏は空力パーツでフラットに覆われる。見かけだけのスポーツモデルではないのだ。
ただでさえスポーティなメガーヌ R.S.に、さらにハードなサスペンションを与えたのが、昨2019年2月に100台限定で販売されたメガーヌ R.S.カップ。足まわりにくわえ、1.8リッターターボにも手を入れて300psの最高出力を得たのが、同年10月に販売開始されたメガーヌ R.S.トロフィーである。“スポーツ要素マシマシ”のR.S.トロフィー、今回は堂々のカタログモデルとなった。嬉しいことに、本国では設定されながら日本への導入が見送られてきた、コンベンショナルな3ペダル式6段MT車もラインナップされる。489万円。もちろんEDCこと6スピードのデュアル・クラッチ・トランスミッションも用意され、こちらは499万円だ。
市販車としてギリギリ……
テスト車は注目の6速MTモデル。ドアを開けて、メガーヌ R.S.トロフィー専用のレカロ社製シートに座る。贅沢に人工皮革「アルカンターラ」を使ったバケットタイプのそれは、背もたれが無愛想に薄い。1脚23.5kgの軽量さがジマンなのだ。
いかにもレーシィな仕様であるものの、それでもサイドのハイトレバーを使って座面の高さを変えられる。「なんやかや言っても市販モデルだネ」と、安心できるのはしかしそこまでで、やや足応えのあるクラッチペダルを踏み、ナパレザーとアルカンターラを使ったステアリング・ホイールを握って走り出したとたん、再び只者でないことを実感する。
アシ、硬いですね。上下に動こうとする上屋を強制的に引き戻すような、チューンドサスペンションの“生な”硬さ。R.S.トロフィーは、ニュルブルクリンク量産FF車最速モデルのいわば直系なのだ。スパルタンな乗り心地にニュルの景色を重ねられるエンスージアストにはいいかもしれないが、隣に乗せられる人はかなわない。市販車としてギリギリ……というのは言い過ぎでしょうか。
ちなみに、スプリングを前後それぞれ23%と35%、ダンパーを25%、そしてアンチロールバーのレートを7%高めた「シャシーカップ」と呼ぶスペックは、先のメガーヌ R.S.カップと変わらない。左右個別に制御するブレーキで差動制限を実現する「R.S.デフ」に変え、フロントにメカニカルなトルセン式LSDを備えるのも同様だ。
一方、1.8リッター直列4気筒ガソリンターボは、ノーマルR.S.とおなじ6000rpmで21ps増しの300psの最高出力を発生。最大トルクは390Nmから400Nm/3200rpm(EDCモデルは420Nm)に太らされた。増大したアウトプットに合わせ、新たに冷却効率を上げたシリンダーヘッドが開発されている。過給機には、F1由来のセラミックタービンを採用。軸受にボールベアリングを配した、軽く、硬く、滑らかなターボチャージャーである。ターボエンジンらしからぬ、鋭いレスポンスを誇る。
試しに6速MTを繰って6000rpm超までエンジンをまわすと、ロウで約64km/h、セカンドですでに100km/hを超えそう。ハイスペックなツインカムターボに合わせ、やや高めのギアが切られる。そこまでフルスケールを使わずとも、回転計の針が3500rpmを過ぎるあたりから、前方へ向かって強力に吸引されるかのごとき急激な速度上昇を見せる。そのまま離陸しそうな加速感。まさに天駆けるターボメガーヌである。静止状態からの100km/h加速は、ノーマルR.S.の5.85から5.75秒に短縮しているという。
4コントロールシステムのマジック
高速道路でのメガーヌも痛快だが、山岳路に入るとまた違った顔を見せる。R.S.ドライブと名付けられた走行モードを「スポーツ」にしてフレンチハッチを駆ると、とにかく曲がる。よく曲がる。トルセンLSDの霊験あらたかで、「アンダーステアになるか!?」と、覚悟して飛び込んだタイトカーブでも、ステアリングを切れば切っただけ、スロットルを開ければ開けただけ、強引とも思える勢いで曲がっていく。
スポーティなフレンチハッチというと、ときにタックインでリアを踊らせて軽やかにカーブをこなしていく走りを思い浮かべるが、ニュル最速のFFマシンは、そんな“レベルの低い”楽しみは提供しない。カーブの手前で戯れに挙動を乱そうとスロットル操作してみても、サンゴーの薄いラヴァーは路面に貼りついたかのように接地し続ける。そして小心ドライバーの挑戦をあざ笑うかのように、うすら恐ろしい旋回速度を保ったままオン・ザ・レールに“曲がり”を終えてしまう。
狐につままれたような旋回性能は、後輪もステアする4輪操舵システム「4コントロール」によるマジックだ。通常は約60km/h、レースモードでは100km/hまで後輪を前輪と逆に向ける逆位相を取って旋回性を上げ、さらに速度が上がるとおなじ方向を向く同位相に切り替えて安定性を確保する。
実は、ルノースポールのパイロットがニュルブルクリンク北コースでタイムアタックしたとき、重量軽減のため4コントロールシステムは下ろされていた。メカオタクには残念な事実であるものの、それだけ“素”のアシまわりが優れているともいえる。メガーヌのサスペンションは、フロントがマクファーソンストラットを強化改良したダブルアクシスストラット、リアはトーションビーム式。グラム単位の軽量化を求められない公道でシャシーカップに4コントロールは、まさに鬼に金棒。アメリにバケット。強烈な加速に続き、旋回性でもドライバーに目眩を与えるR.S.トロフィーである。
たとえばサーキットでタイムアタックするような場合、ステアリング操作に集中できるツインクラッチの方が速いかもしれない。けれども日常では、クルマに乗せられている感が強くなりすぎる気がする。せっかくのホッテストモデルである。この日のR.S.トロフィーがマニュアルボックスでヨカッタ。運転者自らギアを選ぶことで、多少なりとも走りに参加させてもらえる。重めのクラッチとかっちりしたシフトフィールが、スペシャルモデルに乗っている時間を濃密にしてくれる。AT車より20kgダイエットできるのもいい。
国内では運転できる人がすっかり減ってしまったMT車の、趣味に徹する潔さも見逃せない。無印のメガーヌ R.S.(EDC)なら、なんとかハッチバックの実用性をアピールしてパートナーを説得することもできようが、トロフィーではムリだ。走り出すやいなや、羊の皮ははがれて飛んでいってしまうから。
文・青木ヨシユキ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
こっちの方が遥かに大人だな