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第6次EVブーム到来 EVブームは過去に何度も 歴史を振り返る

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第6次EVブーム到来 EVブームは過去に何度も 歴史を振り返る

EVブーム 過去に何度も

近年、欧州でのEVシフトの動きをきっかけに、トヨタが350万台のEV販売計画を発表し、ホンダが2040年に100%の電動化を目指すなど、多くのメーカーがEVへ注力する姿勢を見せている。これは、まさに「EVブーム」と呼んでよい状況だろう。

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しかし、そんなEVブームは、今回が初めて起きたものではない。自動車の発明から現在までの長い歴史の中で、何度もEVブームは発生しており、そして、そのたびに沈静化してきたのだ。

そこで、これまでどのようなEVブームが生まれて消えていったのかを振り返ってみたい。

蒸気自動車/EV/ガソリンエンジン車の三つ巴

最初のEVブームとなったのは1800年代末期から1900年代初頭のこと。

ベンツとダイムラーによるガソリン自動車の発明は1886年であるが、ここで重要なのは、ベンツとダイムラーは自動車を発明したのではなく、「ガソリンエンジン」を搭載する自動車を発明したところにある。

つまり、自動車そのものは、それ以前から世の中を走っていたのだ。

最初に走ったのは蒸気機関で動く蒸気自動車で、1769年にベルギー人のニコラス・ジュセフ・キュニョーが発明したとされている。ベンツとダイムラーのガソリン車よりも120年も前のことだ。

そして、1837年に英国人のロバート・ダビッドソンがモーター駆動する電動機関車を開発。1880年代になると、フランスやイギリス、アメリカで、本格的なEVが次々に作られるようになる。

1894年にはフランスで世界初の自動車レース「パリ・ルーアン」が開催されるが、このレースにエントリーしたのは、蒸気自動車にガソリンエンジン車にEVといった多彩なパワートレインを搭載した自動車たち。

そして優勝を飾ったのは蒸気自動車であったのだ。

また、1899年にはベルギー人のジェナッツィが作ったEV「ジャメコンタント号」が、自動車として初の100km/h超を達成している。

自動車の普及が始まったばかりの1800年代末期から1900年初頭は、まだ「自動車にベストな動力はガソリンエンジン」とは決まっておらず、蒸気自動車とガソリンエンジン車、EV が性能を競いあっていたのだ。

この時代が、まさに最初のEVブームである。

一説によると1900年ごろのアメリカで生産された自動車の約40%がEVであったともいう。

ただし、この最初のEVブームは、ガソリンエンジンの進化で沈静化に向かう。

1908年にはT型フォードが登場し、ガソリンエンジンへの流れは決定的なものとなってしまったのだ。

ガソリン不足と大気汚染を背景に

2度目のEVブームは、第二次世界大戦後の日本に発生した。戦後の混乱期にガソリンの供給が滞っていた。

そこで生まれたのが「たま電気自動車」だ。

戦後となって立川飛行機を解雇されたエンジニアなどが中心になって生まれた自動車メーカーであり、後に、プリンス自動車となり、そして日産自動車へ吸収されている。

ただし戦後のEVブームは、ガソリン供給の安定化とともに沈静化。

たま電気自動車はEVからガソリンエンジン車を生産するようになり、名称もたま自動車、プリンス自動車とかわっていった。

そして高度経済成長期を迎えた日本において、また別の問題が突き付けられた。

それは激増したガソリンエンジン車が引きおこした排気ガスによる公害問題だ。

1970年にアメリカで非常に厳しい排気ガス規制「マスキー法」が成立したように、日本でも1960年代から排気ガスによる大気汚染が社会問題化していたのだ。

そこで再び注目を集めたのがEVだ。

ダイハツなどは1960年代から積極的にEVの開発を進めて、1969年に「フェローEV」、1971年に「ハイゼットバンEV」を発売した。

また、国も問題を重視して、通産省の旗振りのもとで「大型工業技術研究開発制度における電気自動車プロジェクト(通称「大プロ」)」が1971年より6年間実施された。

ちょうど、日本には2度のオイルショックに襲われていたこともあり、このプロジェクトには、ダイハツだけでなく、トヨタ、日産、三菱、マツダ、電池メーカー、電機メーカーなど、多くの企業が参加。

第3のEVブームと呼ばれるほど、EVに熱い視線が注がれたのだ、

しかし、そんなEVブームも、完成したEVの性能不足やガソリン供給の安定化などにより、1980年代に入ると失速してしまう。

アメリカのZEV規制で再び脚光

1970年代から強化されていった排気ガス規制問題は、三元触媒などの技術の進化と普及により、一旦はおさまったかに見えた。

しかし、1990年になると再び大気汚染問題がクローズアップされる。

それが1990年にアメリカのカリフォルニア州が導入した「ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制」だ。

これはカリフォルニア州でクルマを販売する自動車メーカーは1998年以降、一定数をZEVにしなければならないというもの。

ZEVとは、排気ガスを排出しないクルマであり、その当時としてはEVを示していた。

つまり、自動車メーカーにEV生産を強制的に迫る規制であったのだ。

ここに第4のEVブームが到来した。

GMは「EV1」を量産。トヨタはRAV4をEVに改良し、日産はプレーリージョイをEVに、ホンダはEVプラスを開発することになる。

しかし、結果的には、 1990年代のEVブームは不発に終わった。

規制が紆余曲折してハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドもZEVに含まれるようになったのも理由だろう。

また、EVの性能が一般に受け入れられるほど高まっていなかったことも一因だったはずだ。

EV量産スタート 第5のブーム

そして、前回となるEVブームは、日本に本格的な量産EVが導入された約10年前となる。

2009年に三菱からアイミーブ、日産からリーフが発売された。

また、2010年には、テスラの最初の量産モデル「ロードスター」が日本で発売を開始。トヨタがテスラと業務提携したのも大きな話題となった。

さらに日本においては、EV普及を目指したベンチャーが数多く誕生。日本中に急激にEV用の充電スポットが拡大していったのだ。

この2010年前後のEVブームの背景には、リチウムイオン電池の進化があった。

リチウムイオン電池は1990年代に初めて製品化され、2000年代にかけて進化していった新製品だ。

高性能なリチウムイオン電池が用意できたことで、EVの性能が劇的に向上したのだ。

しかし、残念ながら日本におけるEVの普及は、期待ほど大きくなることなかった。

補助金が用意されたとはいえ、やはりEVの価格は高く、充電の手間はわずらわしいと感じられたのだろう。

また、積極的にEVの量産をスタートさせたのは、結局のところ日産と三菱、そしてテスラだけであり、他の日本や欧米の大手自動車メーカーは静観していたのもEVブームの衰退につながったといえるだろう。

そして今、欧州発の第6のEVブームが到来している。

10年前と違って、日本メーカーだけでなく、欧州やアメリカのメーカーも積極的に量産EVを投入している。

また、日本とカリフォルニアだけでなく、欧州や中国でもEVの市場導入が強力に推し進められている。

今度のEVシフトが最後のEVブームになるのか。それとも沈静化してしまうのか。

その答えが出るのは数年後になのか、それとも10年後なのか。市場動向に注視したい。

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