■ふたつの「広域ネットワーク」延伸計画とは
神奈川県平塚市で、都市計画道路「湘南新道」の整備が進められています。
実はこの道路、広域道路ネットワークの一部になるかもしれません。完成すればどう便利になり、どこまで進んでいるのでしょうか。
「湘南新道」は、茅ヶ崎市内から圏央道の側道として西進し、寒川南ICを過ぎると「湘南銀河大橋」で相模川を渡り、平塚市に入ります。
平塚市の都市計画では、市の郊外をぐるっと回り込み、大磯町内へ抜けていくようなルートが構想されています。
実現すれば、破滅的な大渋滞が課題である国道1号のバイパスルートとして、混雑する平塚中心街を避けて東西に抜けられ、さらに圏央道へ直結して横浜方面へつながる4車線の道路ネットワークが誕生することとなります。
気になる進捗ですが、相模川を渡って平塚市内に入り、国道129号(八王子街道)に接続して終わっている状況です。その次の工区として、約1280m西へ延伸する「東真土・ 西真土工区」が進められています。
この工区は、2021年に工事着手。用地取得の完了から「概ね5年以内」で開通をめざすとしています。現在は用地が取得できた部分から、更地化と地盤改良、排水構造物の工事などが順次進められていく手はずとなっています。
さらにこの先、約1110m延伸して、平塚伊勢原線に直結するまでの工区が「事業化検討区間」となっています。狭い現道はすでに「抜け道」として渋滞が激しくなっており、4車線化で交通流がスムーズになることが期待されています。
ところで、この「湘南新道」は、もうひとつの広域道路ネットワークの一部に掲げられています。それは平塚から西進して秦野市へ抜け、東名の「秦野中井IC」へ直結する調査路線、「茅ヶ崎秦野連絡道路」というものです。
この調査路線では、東海道新幹線と交差し、電車の車窓からカラフルな家並が見える「日向岡」を抜けて西北西へ進路を変え、県道「秦野二宮線」や計画中の「秦野厚木道路」へ接続する構想になっています。
これが実現すれば、東名・新東名へのアクセスが不便だった平塚・大磯エリアにとって、渋滞激しい厚木・海老名方面を経由することなく、IC直結ルートが誕生することになります。藤沢方面からも、わざわざ厚木IC方面へ北に迂回するより、まっすぐ西進して秦野中井ICへ向かったほうが早くなる、という期待もあります。
2016年に策定された神奈川県の「改定・かながわのみちづくり計画」にも「10年後期待される効果及び将来に向けて検討が必要な道路」という構想にリストアップされています。
ここでは平塚市街からズバッと構想線が引かれているわけではなく、郊外の田園地帯の県道「平塚松田線」から秦野中井ICへ直接ショートカットする2km弱の部分が示されています。つまり4車線道路でバイパスを整備するわけではなく、出来る限り現道を使うネットワークを意識しているようです。
この構想については、平塚市と中井町が協議会を開き、県へ要望を続けている状況です。ほかにも秦野・平塚・伊勢原・大磯・二宮・中井による「3市3町広域行政推進協議会」でも要望活動が行われているといいます。
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