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29歳、フェラーリを買う──Vol.16 フェラーリのオーディオ交換<前編>

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29歳、フェラーリを買う──Vol.16 フェラーリのオーディオ交換<前編>

ボクは、カスタマイズにそれほど興味はない。フェラーリ・オーナーの多くはマフラーを交換したり、エアロパーツを装着したり、思い思いの“マイ・フェラーリ”を作り込み、楽しんでいるようだけれど、ボクはオリジナルのデザインをそのままで楽しみたいゆえ(とはいえ、もともといくつかの社外パーツは装着されていたが)、とくに手を入れていない。

しかし、どうしてもカスタマイズしたい部分があった。それはオーディオだ。「フェラーリの素晴らしいエンジン・サウンドがあるのに、オーディオなんて必要なの!?」と、言われるかもしれない。

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が、ボクは車内で音楽を楽しみたいし、ラジオニュースを聞くときもある。だから、オーディオは必須だ。

それに、日本の法定速度内でフェラーリ・サウンドを楽しむといっても限界がある。高回転域のサウンドを楽しみたいのであれば、相当なスピードを出さないと難しいはずだ。もちろん、低速時でも独特な重低音を轟かせるゆえ、それで満足する人も多いかもしれないが。

ボクの場合、フェラーリを購入したからといって運転スタイルに変わりはない。そういえば、Yahoo! ニュースのコメント欄に「青葉区の駅前通りでときおりお見かけするが、まあ慎重な運転だこと! 駅前通りを、フェラーリが後ろにファミリーカー群を従えて渋滞走行しているのはなかなかの光景ですね」(原文ママ)と、書き込まれていたが、もしかすると運転していたのはボクかもしれない。

とはいえ、小さな子どもをよく見かける駅前であり、そして、ただでさえ目立つフェラーリである。安全に、そして目立たないよう走るべく、法定速度を遵守している。気づけば、うしろに何台かクルマが連なってしまったときは確かにあった。

そんなとき、車内は実に平和である。エンジン・サウンドも、フェラーリらしさは若干あるものの、盛大なものではない。目を閉じて乗れば、フェラーリとは気づかない人も多いかもしれない。

ゆえに、公道(とくに一般道)を走る場合、フェラーリ・サウンドなんぞ、そうそう楽しめないので、ボクは音楽やラジオを聞くのである。

音楽やラジオ楽しむために、なぜ、オーディオをカスタマイズするのか? それは機能性や音質に難があるからだ。

ボクの購入した360モデナのオーディオデッキは、当初、新車装着時のままだった(ソニー製)。ただし、故障していたため、たまたまディーラーにあったソニー製の別商品に交換した。

しかし、これも決して新しいものではなく、かなり古いタイプだった。ゆえに、Bluetoothは非搭載である。スマートフォン内の音楽を楽しみたいボクにとっては大変不便な状況だ。今、FMトランスミッターで対応しているが、音質の悪さに辟易している。

そもそも、スピーカーなども貧弱で、CDを再生しても、音質は決して褒められたものではない。

そこで、ボクは1.音質の向上 2.Bluetooth機器の使用、を主眼に、オーディオをカスタマイズすることに決めた。

早速、いくつかのカーオーディオ・システムを検討したものの、どうもしっくりこない。というより、“オーディオマニア”ではないので、どれを選べばいいのかわからないのだ。

そこで、最新フェラーリの純正オーディオを調べると、なんと「JBL」のスピーカーが装着されているという。イタリアのクルマにアメリカのオーディオとは意外だったが、そういえば先日試乗・撮影した「GTC4ルッソ」のオーディオ・システムもJBLだった。しかも、V12気筒エンジンの素晴らしいサウンドに匹敵するほどの、迫力ある音楽を聴けたのが印象的だった。

というわけで、あれやこれや悩んでもしょうがないので、ボクはJBLのオーディオ・システムに換装することに決めた。

交換といっても、ボクはオーディオ・ビギナーだ。したがって、JBLのどんな商品を選べばいいのか、まったくわからない。そこで、フェラーリのオーディオ交換を得意とする「ボンドプラス」(埼玉県さいたま市)に向かった。

「フェラーリ・オーナーで、オーディオ交換を希望するケースは少ないですね」と、ボンドプラスでマネージャーを務める關口祐希さんはいう。オーナーの多くは外装パーツや、エンジン、マフラーをカスタマイズするという。

どうやら、ボクのようにフェラーリ車内で音楽を楽しみたいという人は稀のようだ。ただし、ふるいフェラーリでも、2DINナビゲーション装着を希望するユーザーはそれなりにいるという。その場合、インパネ部分を大幅に加工するため、最低でも50万円ほど要するという。

ボクは、オリジナルのデザインを活かしたいし、そもそもカーナビゲーションを使うような未知なる道にフェラーリでは行かないので、2DINナビゲーション設置は見送った。なお、必要であればオリジナルのスマートフォン・フォルダーも、ボンドプラスでは作れるという、価格も5万円以下(クルマによる)というから興味深い。

「聴く音楽によってベストなオーディオ・システムは異なります」と、關口さん。たとえば、ロックを中心に聞くユーザーであればロックフォードフォズゲートなどもおすすめという。

ボク自身、幅広い音楽を聞くので、その旨を關口さんに伝えると「それでしたらJBLはおすすめですよ」とのこと。なんでも、JBLは低音、高音ともにバランスよく楽しめ、幅広い音楽に適しているという。

ちなみに、カーオーディオにこだわるのはどんな人か? 關口さんに訊くと「ホームオーディオにこだわっている人は、カーオーディオにもこだわる傾向が強いです。また、車内でオーケストラを楽しみたい人もカーオーディオにこだわります」と、述べる。

こだわる人は、はたしてどれくらいの費用を掛けて交換するのか? 「600万円ほど掛けて、オーディオをカスタマイズした人もいます」と、關口さん。ちなみに、納得いく音にならず、再度、別の商品に交換したカスタマーもいたそうだ。

なるほど、オーディオ交換というのは実に奥が深く、そして難しいのだ。

とはいえ、ボクの予算的に、ン百万円も掛けてオーディオ交換をするのは難しい。はたして、憧れのJBLに交換することはできるのか?

關口さんに訊くと「可能です」とのこと。オーディオのカスタマイズは予算に応じ、柔軟に対応出来るという。

早速、JBL商品のパンフレットを見ると、さまざまな商品がある。どれを選べばいいのかわからない。「音質をどこまで求めるか? あとは、クルマに装着出来るかどうかで選ぶ商品も変わってきますよ」とのこと。

というわけで、早速、ボクの360モデナに装着可能な商品を見つけるべく、実際にドアの内張を剥がし、スピーカー部分をチェックした。なお、ボクの360モデナのスピーカーは、新車時のままだ。

「パワーウインドウ・レギュレーターを直しているようですね。テープで補修している部分があります」と、關口さん。内張を剥がすのは初めてだったため、「ドアを交換していますね」などと、重大な修復内容が発見されたらどうしよう……と、不安だったがひとまずホッとした。

色々チェックした結果、JBLの商品は装着可能だった。なお、ボクが欲しているBluetooth機能は、なんと、一部JBLのパワー・アンプに搭載しているゆえ、ヘッドユニット(オーディオ・デッキ)を交換しなくとも、使えるという。ただし、そのパワー・アンプにするかどうかはまだ未定なので、念のためヘッドユニットも並行して探している(JBL製のヘッドユニットはないため)。

「ふるいクルマの場合、故障して使えないヘッドユニットでも、当時の“味”や“雰囲気”を残したくて、そのままにしている人は多いです」とのこと。そんなとき、Bluetooth内蔵のパワー・アンプは便利という。「純正品に大きな価値がありますので」と、關口さん。

その話を聞き、「しまった!」と、大いに後悔した。なぜなら、なにも考えずに、壊れていた純正ヘッドユニットを処分してしまったのだ。しかも下取り時、(純正のままであれば)査定額がプラスされるケースもあるという。故障品とはいえ、安易に破棄してはいけないということを、ひしひしと実感したのであった。

次週、実際に装着するオーディオ・システムの詳細、また交換模様をリポートする!

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