11月21~23日、スペイン・バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットのカートコースで『FIM MiniGP World Final』が開催されて、日本人ライダーは富樫虎太郎(とがしこたろう)と国立和玖(くにたてわく)が参戦。予選では両者ともにQ3まで進み、3回行われたレースでの総合結果で、富樫がランキング2位、国立がランキング12位と健闘した。
FIM MiniGPは世界各国でシリーズがあり、160ccと190ccの2クラスが存在する。日本では160ccクラスのみで、2023年のジャパンシリーズチャンピオンの富樫とランキング2位の国立が日本代表としてバレンシアで開催されるWorld Finalにエントリーした。
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FIM MiniGP World Finalの160ccクラスには17の国と地域から上位2名、計34名が集結。19日(日)と20日(月)には受付、撮影、下見やブリーフィングなどが行われ、21日(火)から走行がスタート。走るのはカートコースで短いが、コースレイアウトは本コースと同じだ。
3グループに分かれてセッションが進み、国立がグループB、富樫がグループCで走った。4回行われるフリー走行の最初となるFP1では富樫が総合トップタイムを記録するなど好調の出だし。22日(水)のFP4までの総合では、富樫が総合6番手で上位10名の予選Q3に直接進出、国立は総合13番手でQ2スタートとなったが、Q2で2番手となりQ3に進出した。
そして、Q3で富樫が8番手グリッド、国立が10番手グリッドを獲得。トップタイムが44秒166で、富樫が44秒476、国立が44秒523と僅差となった。
23日(木)にはレース1(14周)、レース2(14周)、そしてポイント2倍のスーパーファイナルレース(19周)の3回でチャンピオンを決める戦いが行われた。レース1では富樫がトップ2台に離されたが、3番手争いの先頭で表彰台を獲得。国立は前方のライダーが転倒して前とのギャップが開いたがペースを落とさず7位でフィニッシュした。
レース2では序盤にオーバーテイクした富樫が2位。国立は転倒を喫してしまいノーポイントとなってしまった。スーパーファイナルレースでは優勝を狙っていた富樫だったが、スタートミスもあり、序盤に前方に出られずトップが独走。2位となり、3連続表彰台でランキング2位となったが悔し涙を流した。国立は12位でゴールして、ランキングも12位となった。
この結果を受けて、富樫は「みんなが結構速くて、そこに何とかついていける感じで表彰台に上がれたので、チャンピオンこそはなかったですけど、良いバトルができたのかなと思います。終わったら1回でも1位が獲れなかったのが一番悔しかったです」と振り返った。
「日本とは勢いが違って、バトルをしていて、いつもよりも楽しかったです。一番感じられたのは初めてのコースでの理解力やコースに慣れる早さ、そこから技術を突き詰めていく早さを上げないといけないことです。世界戦になると毎回いろんなコースに行くので、初めてのコースに行ってすぐに慣れないといけないことが今回のスペインで勉強になりました。日本で多くの人が応援してくれていて、1位は獲れませんでしたが総合2位で終われてひとまず良かったです。応援ありがとうございました」
国立は「悔しかったです。今の実力がまだ足りていないことがわかったので、自分的にはこれからの課題もいろいろありますし、オフシーズンで足りなかったとこを考えながらトレーニングしていけたらなと思います」とコメント。
「世界戦は突っ込みが強かったし、インを刺してもかぶせてきたり、難しい展開でなかなか自分の思ったレースにはなりませんでした。自分のタイムは悪くないですが、抜く力とレースの組み立て方が自分に足りていないと思いました」
また、アドバイザーとして同行している尾野弘樹は、国立と富樫のレースウイークについて以下のように振り返った。
「国立選手は日本でやってきたことの勢いやアジャスト力は、ここに来ても良く進められたと思います。ただ速いライバルに対してのアジャストの変化量はまだ少なくて、それがレース結果にも響いてきたのかなと思っています。勢いがあり、ベストタイムも44秒0でトップ4ぐらいには入っているので、一発の速さは負けていないと思いますが、決勝までの組み立てなどの修正幅が今後の彼の課題に見えました」
「富樫選手は、日本で準備してきたことが、しっかり出し切ることができて良かったと思います。当然本人もチームとしても総合優勝を狙っていたので、それが獲れなかったのは非常に悔しいですが、彼が初日からやってきた変化量の大きさ、勝負強さ、冷静さなどを諸々含めると、今年1年間日本で準備してきたレベルは2位という結果をおいて、しっかり実力が見られたので、日本のMiniGPのレベルの高さは確認できました」
「その反面、彼でも結果を見ると2位で終わってしまったので、最低彼、それ以上の準備を2024年にしてこないと、ここで勝つのは厳しいなと今回初めて来させてもらって肌で感じられたので、来年以降のMiniGPジャパンの活動でフィードバックしながら、また良いライダーを育てていきたいと思いました」
このレースの終了直後から、2024年のFIM MiniGPジャパンシリーズの年間エントリーの応募が開始された。来年はどんなライダーが日本で勝ち抜き、World Finalへの切符を手にするのだろうか。
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