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ベッテル、F1の環境保護への取り組みは”後手後手”だと警鐘「優れた頭脳を、合成燃料の開発に使うべき」

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ベッテル、F1の環境保護への取り組みは”後手後手”だと警鐘「優れた頭脳を、合成燃料の開発に使うべき」

 4度のF1王者であるセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は、環境に配慮したエンジンや持続可能な燃料の導入といったF1の取り組みが、必要とされるほど積極的ではないと考えている。

 環境や持続可能性の問題に積極的に取り組んでいるベッテルは、変化の激しい世界の動きから、F1が取り残される可能性を危惧しているのだ。

■ベッテル、環境への取り組みをますます進める「人に見てもらうためにやっているわけじゃない!」

 motorsport.comをはじめとする一部のメディアのインタビューに応じたベッテルは、「F1の上層部は目を覚まして、今計画されていることよりもはるかに多くのことをしなければならないことに気づく必要がある」と話した。

 また、環境問題への取り組みとF1ドライバーとしての活動との間に矛盾があると思うか尋ねられたベッテルは、次のように答えている。

「確かに、F1は環境に優しくないので、それは妥当だと思う」

「でも僕たちは今、F1を環境に優しいものにするための革新的な技術や可能性を持った時代に生きていると思うし、それでF1のスペクタクルや興奮、スピード、挑戦、情熱が失われるわけではない」

「むしろF1には、エンジニアリング力が高く賢い人々がたくさんいるので、解決策を見出すことができるだろう」

「現在のレギュレーションは非常にエキサイティングで、エンジンは超効率的だけど、使い物にならない。例えば2年後に新しい車を買おうと思った時に、市販車で使えるようなエンジン・フォーマットにはならないはずだ」

「だから(F1と市販車に)何の関連性があるのかという議論も出てくるだろう。僕はレギュレーションの面で、このスポーツの将来のために人々が話していることがあると思う。それは、変化をより(市販車に)関連性のあるモノにシフトさせていくことができるのではないだろうか」

「それらはF1にとって良いことだと思うし、必要不可欠なことでもある」

「もしそれらがなければ、僕はそれほど楽観的ではいられない。F1は消滅していくと思う。それは当然のことだろう」

「僕たちは自分たちが間違いを犯したことを認識している段階であり、間違いを犯し続ける時間はないんだ」

 F1は現在、2025年または2026年に導入される次世代PUのレギュレーションについて、マニュファクチャラーと議論を重ねている。その際、F1は完全に持続可能な燃料を使用することを目指している。

 計画では、バイオ廃棄物から作られたバイオ燃料を使う事になっている。その一環として2022年からは、バイオエタノールを10%含む『E10燃料』がF1でも使われるが、ベッテルはこれは間違った方向性だと考えているようだ。

 ベッテルは、すでに市販化されている燃料を使うのではなく、F1が技術開発をリードすることで、合成燃料の導入を急ぐべきだと主張している。

「僕はあらゆる燃料のスペシャリストではないけど、バイオ燃料よりも合成燃料の方が好きだね」

「バイオ燃料の場合、当然ながらどこかから炭素を調達する必要があり、そこにはいくつかの問題や複雑さがあると思う」

「F1が将来的に再生可能な燃料や合成燃料の製法、あるいは合成燃料の利用法を追求するのは間違いなく正しいことだと思う」

「しかし今のところ、わずか10%しかバイオエタノールを使わないという内容になっている。これは技術的な観点から見ても革命とは言えない。すでに何年も前から、世界中のガソリンスタンドでその燃料が買えるんだ。目新しさはない」

 実際インディカーでは、バイオエタノール85%+無鉛ガソリン15%で構成される燃料を2012年から使用している。それを考えれば、F1の動きは遅すぎるくらいだという意見は的を得ているだろう。

「それはF1が技術的なリーダーでありたいという野心とは合致してしないと思う。積極的に道を切り開いていくのではなく、対応するような形になってしまうんだ」

「合成燃料についても、同じようなチャンスがある。しかし2022年でエンジンの開発が凍結されてしまうから、その点でも先導するというより、後手に回ってしまうのではないかと心配している」

「それまでに何かが変わるかもしれないという話もあるけど、少なくとも25年まで、おそらく2026年までは進展がないということになる」

「それによって、僕たちのスポーツに大きなプレッシャーがかかることになるだろう。なぜなら、僕はこの5年間に世界中で多くの変化が起こることを期待しているし、変化していないものに圧力をかけることになると思うからだ」

 ベッテルはF1にとってより良い道は、今後数十年にわたって道路上に残る10億台以上の内燃機関を搭載した自動車が排出する汚染を軽減するより持続可能な燃料を開発するために、F1が誇る最高の人材を使うことだと主張した。

「僕はF1が持っているリソース、つまりお金だけでなく、人々の頭脳や設備などを使うことができると感じている」

「忘れてはならないのは、僕たちがこの10年近くを費やして、超高効率のエンジンを開発したことだ。そしてそのエンジンから多くのパワーを絞り出した。しかしそれは一般の人々や次世代のクルマに基本的には関係がなく、莫大なコストがかかっていた」

「その間、各メーカーは10億(ドル)以上のお金をかけてエンジンを開発したのではないだろうか。そのお金の一部を、正しい目的のために使うことができる」

「だからこそ、僕はこう言いたいんだ。何が最善の解決策なのかは分からない。しかし今すぐにでも動き出さなくてはいけないと感じている。あと5年間議論をして、その間何もしないのではなくてね」

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