ヒット車にはもちろん「売れているだけの理由」があるはず。当企画では、ヒットを飛ばしているモデルをとりあげ、そのクルマの魅力の部分も含め、なぜ売れているのかを検証していくバイヤーズガイド! そのクルマの“魅力のツボ”がわかってくる!(本稿は「ベストカー」2013年7月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺陽一郎、竹平素信、国沢光宏、片岡英明、鈴木直也
オーナーの生の声も掲載! 初代ホンダN-ONE&N-BOX 初代スズキスペーシア&5代目ワゴンR 5代目ダイハツムーヴが売れた理由
【画像ギャラリー】オーナーの生の声も掲載! 初代ホンダN-ONE&N-BOX 初代スズキスペーシア&5代目ワゴンR 5代目ダイハツムーヴが「売れた理由」(5枚)
■根強い人気のワゴンRに、ホンダのNシリーズも好調!
スズキ 5代目ワゴンR……全長×全幅×全高:3395×全幅1475×全高1640mm/エンジン:0.66L直3(52ps/6.4kgm)/JC08モード燃費:28.8km/L(FX 2WD/CVT)
1990年代の終盤から、軽自動車の売れ筋は全高が1600mmを超える背の高い車種。4名乗車時の居住性が優れ、荷室も広くて実用的。背の低い車種は一部の低価格車を除き販売が低迷。
人気が根強いのはワゴンR。1993年の初代以来販売は好調。現行は昨年登場で燃費性能を大幅向上させた。シートアレンジが多彩で後席も快適な仕上げ。
ライバルはムーヴ。昨年末に改良を受け、低速域の衝突回避支援機能を設けた。新参N-ONEは個性的な外観で内装は上質。乗り心地も優れ、クルマ好きにも人気。
以上の3車は全高が1600~1700mmの間に収まるが、1700mmを超える背の高いスライドドア付きの軽自動車も充実。
2011年末に登場したN-BOXは、軽乗用車では最大級の室内空間が特徴。後席を畳めば大容量の荷室になる。ライバル車のスペーシアは今年登場で、後席にスライド機能を設けてた。
ボックスティッシュの収納場所など、子育て世代向けの機能が充実。各車とも驚くような新機能があり、これが売れる秘訣。(TEXT/渡辺陽一郎)
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■ホンダ 初代N-ONE(115万~165万円)
ホンダ 初代N-ONE……全長×全幅×全高:3395×1475×1610mm/エンジン:0.66L直3(58ps/6.6kgm)/JC08モード燃費:27.0km/L(G Lパッケージ)
日本の国民車となる軽自動車は低燃費+広くて使い勝手がいい室内、というのがユーザーが第一に求める要素だと思う。よってハイトワゴンがバカ売れ状態。しかし、そのなかにあって、N-BOXよりグンと背の低いN-ONEが大健闘している。
なぜか。とにかくデザインがしゃれている。インテリアもしかりだ。軽が氾濫する街中でも、こいつだけはパッと目がいく。見ただけで購入したくなるぞ。
しかも、乗ってみれば広くて快適な室内に大満足。燃費に不満もないし、走りもスムーズだ。最安価のターボが設定されているのも魅力だな。(TEXT/竹平素信)
●オーナーズVoice(東京・Rさん)
・デザインが可愛くて愛嬌のあるところ
・NAでも必要充分なエンジン性能
●人気グレード
・1位…G・Lパッケージ(29%)
・2位…PRemium・Lパッケージング(20%)
・3位…G(16%)
●人気オプション
・1位…ナビパッケージ(2万5000円)
・2位…ディスプレイオーディオ(6万円)
・3位…ブラックインテリア(2万5000円)
●販売台数(1~4月)…4万6926台
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■ホンダ 初代N-BOX(126万~180万円)
……全長×全幅×全高:3395×全幅1475×全高1780mm/エンジン:0.66L直3(58ps/6.6kgm)/JC08モード燃費:24.2km/L(G Lパッケージ 2WD)
タントやスペーシアと比べたとしよう。まず「これだ!」とココロに響くのは、安全性向上に絶大なる効果を持つ横滑り防止装置VSAを標準装備していること。
ファミリー層にとって「安全」は素敵な武器になる。
さらにセールス担当から「普通車に乗っている人も軽自動車に乗っている人も命の大切さは同じです」などと背中を押されれば、ひとたまりもない。それでいて価格を見るとライバルより割安だったりするのだから驚く。
もちろん広い室内スペースや、質感の高いインテリアも決め手の一つ。意外にも燃費や車重はその次の選択基準らしい。(TEXT/国沢光宏)
●オーナーズVoice(東京・Sさん)
・後部座席が圧倒的に広くて快適
・軽なのに高速でも力不足を全然感じない
●人気グレード
・1位…標準G・Lパッケージ(37%)
・2位…カスタムG・Lパッケージ(31%)
・3位…カスタムT/C(14%)
●人気オプション
・1位…HID(6万円)
・2位…ナビパッケージ(2万5000円)
・3位…右側パワースライドドア(5万円)
●販売台数(1~4月)…8万5983台
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■スズキ 5代目ワゴンR(110万9850~161万3850円)
ワゴンRの場合、軽の販売ランキングでトップか最低でも2位にいないと「売れてる」という評価はもらえない。
そういう意味じゃ、ムーヴとN-BOXの後塵を拝している現状は非常事態。しかも、4月のデータではトップから5000台近くも離されている。
業界人の多くが「今度のワゴンRは力作」と認めるとおり、燃費効率を高めた新型のハードウェアはきわめて評価が高い。
してみると、この不振(といっていいよね?)の原因、ぼくはあまりにもキープコンセプトすぎたスタイリングに理由があるんじゃないかと思うなぁ?(TEXT/鈴木直也)
●オーナーズVoice(愛知・高橋さん)
・見晴らしがよく、運転しやすいです
・軽とは思えない室内の広さ。後席も快適
●人気グレード
・1位…FX(35%)
・2位…FXリミテッド(35%)
・3位…スティングレーX(20%)
●人気オプション
・1位…CDプレーヤー(2万1000円)
・2位…ディスチャージヘッドランプ(5万2500円)
・3位…ESP(スティングレー)(6万3000円)
●販売台数(1~4月)…7万3759台
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■スズキ 初代スペーシア(122万8500~160万8600円)
スズキ 初代スペーシア……全長×全幅×全高:3395×全幅1475×全高1640mm/エンジン:0.66L直3(52ps/6.4kgm)/JC08モード燃費:28.8km/L(FX 2WD/CVT)
最大の魅力は群を抜いて広いキャビンスペース。前席はもちろん、後席も広々とした足元空間と頭上空間を実現している。大人4人が気持ちよくドライブを楽しめ、チャイルドシートも装着しやすい。
多彩なシートアレンジもセールスポイント。後席は左右独立でスライドでき、畳むと広大な荷室が生まれる。
また、収納が豊富に用意され、小物を整理しやすい。ロールサンシェードなど、快適装備も充実している。軽量ボディのため走りは軽快。
アイドリングストップなどのグリーンテクノロジーを積極的に採用し、燃費がいいのも売れる理由となっている。(TEXT/片岡英明)
●オーナーズVoice(神奈川・Oさん)
・後席足元の広さは充分すぎるほど
・乗り心地も満足できるレベルです
●人気グレード
・1位…X(70%)
・2位…T(20%)
・3位…G(10%)
●人気オプション
・1位…スマホ連携ナビゲーション(7万3500円)
・2位…ディスチャージヘッドランプ(X、T)(5万2500円)
・3位…セットオプション(G)(2万6250円)
●販売台数(1~4月)…1万5357台 ※2013年3月登場
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■ダイハツ 5代目ムーヴ(107万~137万1000円)
ダイハツ 5代目ムーヴ……全長×全幅×全高:3395×全幅1475×全高1620mm/エンジン:0.66L 直3(52ps/6.1kgm)/JC08モード燃費:29.0km/L(カスタムX “SA”)
現実のユーザーがどこまで評価しているかはわからないが、ぼくにとっては現行ムーヴの評価ポイントは先進安全装備の充実ぶりだ。
ムーヴのマイチェンで、軽初の衝突回避自動ブレーキが5万円で提供されるというニュースを聞いた時、正直「エッ、マジですか?」と驚きの声を上げた。激しい燃費競争を繰り広げている軽自動車業界だけど、ダウンサイザーを取り込むには経済性だけじゃダメということ。
そういう意味で、燃費の次のターゲットとしていち早く安全デバイスを積極投入したダイハツの見識を大いに評価したい。(TEXT/鈴木直也)
●オーナーズVoice(福岡・Kさん)
・広々した室内スペースに大満足!
・ターボ車の加速感はとてもいい
●人気グレード
・1位…カスタムX”SA”(22%)
・2位…L ”SA”(16%)
・3位…X ”SA”(12%)
●人気オプション
・1位…インテグレートCD AM/FMステレオ(1万500円)
・2位…セーフティーパック(10万5500円)
・3位…メモリーナビゲーション(11万6000円)※カスタムは12万6000円
●販売台数(1~4月)…7万9394台
(内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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