新生GTの二代目はレース活動を本格化
GT40の現代版として生まれたフォードGTは、当然ながらレースでの戦いを宿命づけられたモデルである。1960年代、打倒フェラーリを目標にフォードがGT40でル・マンに挑んだ経緯は、『フォードVSフェラーリ』として映画化されたこともあって、一般的にもかなり知られた話となった。
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初代フォードGT(2005-2006年)では、そのモータースポーツ活動はさほど大掛かりなものではなかったが、2016年に登場した二代目では、ル・マン24時間などビッグイベントでの活躍を見せた。参戦初年度である2016年のル・マンでは、いきなりクラス優勝を果たすという快挙を達成、その後の戦果にも期待が高まった。
チップ・ガナッシ・レーシングのオペレーティングによりIMSAとWECに参戦している車両は、LM-GTE規定に準じて改造されているが、フォードGT自体が元々それを前提に設計されているため、フォルム的にも大きな違いはない。バットレス(梁)式のリアフェンダーなどの特徴的な形状もそのままに、大型のリアウィングやリアディフューザーを装着している(そのためリアバンパーはざっくりと削除)のがやや目立つところ。
カーボンモノコックにV6ツインターボを搭載するミッドシップ、サスペンションは前後ともトーションバーを加えたダブルウィッシュボーン、というスペック部分も大よそ同じである。コクピット内にはダッシュボードこそ市販車と同じ基本形状のものが残るが、強固なロールケージが巡らされている。ミッションはリカルド製6速セミオートマチックのパドルシフト。前述のV6エンジンは排気量214-cid(3.5L)の“フォード・エコブースト”で、このLM-GTE規定に合わせたマシーンでは、最高出力はおよそ500hp以上とされる。
ここで採り上げたのは、IMSA WTSC第一戦である2019年1月のデイトナ24時間仕様である。このレースでは、67号車(ライアン・ブリスコー/リチャード・ウェストブルック/スコット・ディクソン組)は総合13位/クラス4位、もう1台の66号車(ジョーイ・ハンド/ディルク・ミューラー/セバスチャン・ブルデー組)は総合27位という結果、総合優勝はキャデラックDPIであった。また、フォードGTのレース活動は2019年をもって終了している。
この二代目フォードGTは、タミヤからも1/24スケールでプラモデル化されたのが印象的だが、レベルもキット化している。ノーマルだけに終わったタミヤとは違い、レベルはレース仕様(2017年ル・マン)もリリース。ここでお目にかけている作例は、このル・マン仕様のキットをベースに、デカールを替えて制作したものだ。以下、作者・畔蒜氏による説明をお読みいただこう。
ボディの分割線を最小限に抑えるには…?
「二代目フォードGTは、トンネル状のCピラー?のお蔭で、モデルにする場合はボディのパーツ分割が難しいと思われる。本キットでは、ボディ前後を大きく2分割にしてパーツの簡素化を意図しているようだが、それぞれに複雑な形状で金型を組み合わせているようで、随所にパーティングラインが存在する。その影響か、残念ながらボディラインの一部が崩れてしまったところがある。塗装前にパーティングラインを取り除く際には、ボディ表面の滑らかなラインを再生すると良いだろう。
ただ、ボディ前部中央のような繊細なキャラクターラインが随所に入るので、これを潰さないように注意が必要だ。制作にあたっては、2分割のボディを一体に組み立ててから塗装したいところだが、トンネルの内側の塗装やデカール貼りが困難なので、やはり2分割で塗装とデコレーションを施してから一体に組み上げることになるだろう。そして完成後にその継ぎ目を目立たなくするのが、美しく仕上げるポイントとなる。
そこで気になるのが、サイドシルのドアの部分に上下の分割線が出来てしまうこと(後部ボディ側にドアの裾部分があるため)。作例では、後部ボディのドアの筋彫りでドア部分を切り離し、これをボディ前半のドア下に接着、継ぎ目を消すことでドアを一体にすることができた。こうすればボディの分割線を最小限に抑えられる。
さて、この作例では、スタジオ27から発売されていた、本キット対応の2019年デイトナ仕様のデカールを使うことにした。外観はキットのまま改造なしで制作が可能であるが、燃料口は左のみとなるなので、右側の給油口を、パテか丸く切った薄いプラ板で塞ぐ。アンテナのディテールもル・マン仕様とはやや異なるようだが、元々アンテナのパーツはキットに付属しないので、伸ばしランナーなどでディテールアップすると良いだろう。なお、作例ではほぼキットのまま追加工作はせず、デカールのみを変えた。細部のデカールにはドイツレベル版から流用したものもある。
ところで、スタジオ27のデカールを貼る場合、曲面に馴染ませる時にマークソフターが効かないことがあるようだ。作例ではソフターだけでなくドライヤーを併用して柔らかくしながら、曲面に馴染ませていった。本品に限ってかもしれないが、ご参考まで。シャシーやインテリアはほぼフルディテールなので、完成後はボディを接着しないで取り外せるようにしたいところ。作例では残念ながら、ちらほら隙間ができてあまり体裁が良くないので、ボディは接着した」
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