現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ルーフSCRへ試乗 NA 4.0Lフラットで510ps 1250kgのカーボンボディ 前編

ここから本文です

ルーフSCRへ試乗 NA 4.0Lフラットで510ps 1250kgのカーボンボディ 前編

掲載 1
ルーフSCRへ試乗 NA 4.0Lフラットで510ps 1250kgのカーボンボディ 前編

独自のタブシャシーにカーボンボディ

1988年に、アルファ・ロメオ164のプロカーというレーシングカーが作られた。見た目は4ドアサルーンの164だが、取り外せる専用のボディカウルをまとった、V型10気筒をミドシップしたまったく別物のレーサーだった。

すべての画像をみる 全133枚

このルーフSCRも、似たようなクルマだとお考えいただければわかりやすい。ポルシェ911にしか見えない美しいシルエットを湛えているが、共通している部分は殆どない。

基礎構造をなすのは、マクラーレンにも似たカーボン・コンポジット素材によるタブシャシー。ルーフ社独自のもので、重さは88kgしかないという。

サスペンションは、プッシュロッド構造のダブルウイッシュボーン。一番近いポルシェを探すと、唯一、1988年にル・マン優勝を果たした911 GT1が存在するだけだ。

大人受けしそうなダックテール・スポイラーを備えた、964や993ライクな低いボディも、ルーフ社オリジナルのカーボンファイバー製。シュツットガルトで作られた911と、共有するパネルは一切ない。

ルーフ社がこれまで手掛けてきた独創的なチューニング・ポルシェを、ご存じの方も多いと思う。だがSCRは、従来のルーフとはまったく異なるモデルだといえる。

このSCRは、ルーフ社の代表を務めるアロイス・ルーフ・ジュニア氏が追い求める、究極のリアエンジン・パフォーマンスカーが体現されたモデル。ドイツ南部、ファッフェンハウゼンの工場で製造され、1台のお値段、実に77万ポンド(約1億1935万円)なり。

3.6Lメツガー・ユニットを源流に510ps

間違いなく高価なクルマだが、施された技術力も不足なく大きい。シンガー社がレストモッドする964ベースのDLSでは、100万ポンド(約1億5500万円)を超える値段が付いているから、この手の市場では法外な金額とはいえないだろう。

惜しみない情熱が注ぎ込まれたSCRで、最もポルシェ911に近いといえる要素の1つが、8700rpmまで回る水平対向6気筒エンジン。ブロックは社内で鋳造されているものの、設計自体は997 GT3用の3.6Lメツガー・ユニットを源流としている。

度重なる試行錯誤を経て、最高出力とエンジンとしての個性、費用対効果などのバランスを考慮し、排気量は4.0Lがベストだと判断されたという。増やされた容積に対応するため、アグレッシブなカムシャフトと、レース仕様のECUも採用されている。

もちろん、すべてはクルマのコストに反映はする。だが、日常的な乗りやすさが犠牲になってはいない。

オーバースクエアな寸法のシリンダーが与えられたブロックを覆うヘッドは、ルーフ社のオリジナル。チタン製のコンロッドや鍛造ピストンなども同様だ。そこへ、ポルシェ997 RSR用のクランクシャフトが組み合わされているという。

その結果、得られた最高出力は510ps/8270rpm。パワフルだが、2022年では驚くほどの数字ではないかもしれない。最新のBMW M3 コンペティションも、同等の馬力を発揮している。

パワーウエイトレシオは911 GT3 RS以上

ただし、ターボが一般化した現在にあって、ルーフSCRのエンジンは自然吸気。過給器に頼ることなく、水平対向6気筒が直に生み出すパワーという点で大きく異る。しかも、車重はガソリンを積んだ状態で、1250kgしかない。

パワーウエイトレシオに換算すれば、M3 コンペティションはもちろん、911 GT3 RSをも凌駕する。ちなみに伝説のCTR、通称イエローバードをオマージュしたSCRのツインターボ版は、軽く700馬力を超えるそうだ。

エンジンのパワーは、ZF社がルーフ社のために用意したシーケンシャル6速MTと、機械式リミテッドスリップ・デフを介して、センターロック・ホイールへ伝えられる。タイヤはグッドイヤー・イーグルF1 スーパースポーツRで、リア側の幅は305もある。

19インチのホイールは、美しくシンプルなデザインの鍛造品。カーボンセラミック・ブレーキを装備し、バネ下重量を一層軽くしている。

今回、完成したSCRを試乗したのは、ドイツ・バイエルン地方の一般道。路面は雨で濡れ、トラクターが泥や小石を路面に残した場所も多かった。だが、ルーフ社はSCRを普段使いもできるモデルだと説明する。理屈としては、問題ない環境ではある。

事実、500馬力のリアエンジンでも、想像以上に手懐けやすいようだ。フラット6は鼓膜をつんざくひと吠えで目を覚ますが、アイドリングに落ち着くと穏やかになる。軽量なフライホイールが組んであるものの、発進も特に難しくはなかった。

この続きは後編にて。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
  • これは最高だけど、1億もする車は乗る車じゃなくて投資対象の置物だろ。
    どんだけ凄いの作って普段乗りまでできるといってもこれじゃ意味無い
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村