リース形式で販売
ホンダは、新型燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」を発売した。CR-V e:FCEVは、燃料電池自動車(FCEV)の普及促進に協力を頂く自治体や企業、ならびに一般の顧客へリース形式で販売するという。
【画像】ホンダ新型燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」とCR-Vを写真で 全45枚
リース専用で、ボディーカラーにはプラチナホワイト・パール/メテオロイドグレー・メタリックを用意し、メーカー希望小売価格(税込)は809万4900円となる。
CR-V e:FCEVは、日本の自動車メーカーが発売するモデルとして初めて、外部から充電可能なプラグイン機能を持つ燃料電池自動車だという。
FCEVが持つ長い航続距離と水素の充填時間の短さといった特長はそのままに、家庭や外出先で充電できるプラグイン機能を加えることで利便性をさらに高めたことにより、CR-V e:FCEVの一充填走行距離は約621km、一充電走行可能距離は約61kmを実現したと述べる。
また北米地域や中国などで販売している6代目CR-Vをベースにすることで、SUVならではのユーティリティーやパッケージで個人顧客の多様なニーズにも応えるという。
CR-V e:FCEVの主な特長
燃料電池(FC)システム
CR-V e:FCEVでは、コアとなる燃料電池(FC)スタックを刷新するとともに、補機類の合理化や低消費電力化を徹底。
新構造のセルユニットの採用や生産性の向上などにより、CLARITY FUEL CELLに搭載されていた従来システムに対しコストを1/3に削減したという。
また、耐食材料の適用や劣化抑制制御により、耐久性を2倍に向上させたほか、耐低温性も大幅に向上しているとホンダは語る。このFCシステムは、ホンダとゼネラルモーターズ(GM)が共同開発し、両社の合弁会社であるFuel Cell System Manufacturing, LLC(米国ミシガン州)で製造される。
パッケージング
歴代のCR-Vが培ってきた、SUVならではのゆとりの空間を確保するために、FCシステムとプラグイン機能の2つの主要メカニズムを搭載するスペース効率を徹底的に追求。その上で、乗員が使い勝手のよさや安心感を実感できる工夫を施した。
FCスタックを核とするFCシステムと、モーターやギアボックス、PCU(パワーコントロールユニット)を一体化した駆動ユニットを組み合わせ、フロントフード下に集約することで居住スペースへの影響を最小化。
荷室部分に設置された水素タンクを棚状の平らな面で覆い、この上面から荷室の後端まで収納スペースを広げることができるフレキシブルボードを設定。荷室を上下2段に分けて使用可能とした。
ダイナミクス
SUVとしての安心感や快適性と、操る楽しさを兼ね備えるCR-Vをベースに、モーター駆動によるFCEVならではのスムーズでトルクフルな走りを追求。
また、重量物である水素タンク2本と大容量バッテリーを含むIPU(インテリジェントパワーユニット)を可能な限り低く、かつ車両中心近くに搭載する低重心レイアウトにより、重厚で上質な乗り味とリニアなハンドリングを実現したという。
また、サスペンションには、入力に応じて減衰力を変化させ、操縦安定性と乗り心地を高い次元で両立する振幅感応型ダンパーを採用し、細かな振動を吸収して快適な乗り心地を提供するとともに、コーナリングでは進入から立ち上がりまでコントロールしやすい優れた接地性を発揮すると述べた。
充給電やエネルギー事情は?
充給電機能
フロントフェンダーに設置されたAC充給電コネクターは、日本と米国における普通充電の規格である「SAE J1772」を採用する。
普通充電は6.4kWに対応し約2.5時間で満充電が可能で、また、AC200V電源に加えAC100V電源での充電にも対応した。
普通充電口に差し込んでAC100V電力が取り出せるAC車外給電用コネクター「ホンダ・パワーサプライコネクター」を標準装備とし
、1500Wまでの消費電力に対応。アウトドアなどのレジャーや停電時の電源として活用可能だ。
また、荷室内に設置されたCHAdeMO方式のDC給電コネクターに「パワーエクスポーターe:6000」/「パワーエクスポーター9000」などの可搬型外部給電機を接続することで、最大で一般家庭の約4日分の電力を供給することも可能だ。
災害時の非常用電源として、自宅や避難所、小規模のオフィス・店舗などで利用できるほか、排出ガスもなく音も静かなので、屋内のイベントなどにも活用が可能だという。
エネルギーマネジメント機能
水素による発電電力と、充電バッテリーからの電力を組み合わせ有効に活用する、エネルギーマネジメントモードを装備する。
日常走行ではバッテリーに蓄えた電気のみでEV走行、休日のレジャーなどではFCが発電する電力も合わせて長距離ドライブ、といった移動の用途や運転状況に合わせてエネルギーの使い方を選択でき、センターコンソールに設置されたeボタンで「オート」/「EV」/「セーブ」/「チャージ」の各モードが選択可能となる。
スマートフォン感覚でナビゲーションやオーディオなどの操作を快適に行える「ホンダ・コネクトディスプレー」に、FCEVならではの機能も追加され、水素ステーションの稼働状況がリアルタイムで分かる「水素ステーション検索機能」、充電に使用する電流量を調節することで、合計電力量を契約アンペア以下に抑制する「充電電流設定」、あらかじめ設定した水素残量になると自動で給電を停止し、車外給電などでの水素の使い過ぎを防ぐ「給電下限水素残量設定」など、充電/外部給電の使い勝手を最大限に引き出す便利機能も備えた。
ホンダコネクト
カーライフをより安心・快適にするホンダ独自のコネクテッドサービス「ホンダ・トータル・ケア・プレミアム」に加入することで、FCEVのカーライフをさらに快適にする各種機能が利用可能となる。
最大充電量設定
使い勝手に合わせて、充電量の上限を80%~100%の間で5%刻みに設定可能。バッテリーの負担を抑え、バッテリー性能の劣化抑制に寄与する。
充電待機時間設定
バッテリーの充電時間帯を曜日単位で設定できることにより、充電ケーブルをクルマにつないでいても指定の時間までは待機状態となり、電気代の高い時間帯を避けた充電設定が可能となる。
お出かけ前タイマー設定
充電器をつないだ状態でクルマを使用する時間をタイマー設定することで、設定時間に合わせて車内を快適な温度に整え、バッテリーも満充電の状態で出発可能となる。バッテリーの温度もエアコン設定に連動して調整されるため、バッテリー温度による航続距離への影響を最小限に抑えるという。
安心・安全性能
衝突安全世界の多くの国と地域で販売されるCR-Vは、世界トップレベルの衝突安全性能を目指して進化を続けてきたとホンダは語る。その骨格をベースに、燃料電池システムや水素タンクなどの搭載構造を新開発し、車両重量の増加にも対応。優れた乗員保護性能に加え、水素や高圧電気に対する安全性も高い水準で確保したという。
予防安全性能先進の安全運転支援システム「ホンダ・センシング」を全タイプに標準装備。また、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)には加減速や電動パワーステアリング設定など、FCEVの特性に合わせた制御の最適化を行った。
ホンダ・センシング搭載機能一覧
1.衝突軽減ブレーキ<CMBS>
2.誤発進抑制機能
3.後方誤発進抑制機能
4.近距離衝突軽減ブレーキ
5.歩行者事故低減ステアリング
6.路外逸脱抑制機能
7.渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール<ACC>
8.車線維持支援システム<LKAS>
9.先行車発進お知らせ機能
10.標識認識機能
11.オートハイビーム
12.トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
13.ブラインドスポットインフォメーション
14.パーキングセンサーシステム
15.後退出庫サポート
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