時代のトレンドがクルマには色濃く反映されている?
筆者が物心ついた1970年代には「イケメン」という日本語はまだなかったが、当時の(今で言う)イケメンは皆、眉毛が濃かったような記憶がある。初代仮面ライダーで主役を張った藤岡 弘、『また逢う日まで』でレコ大を獲った尾崎紀世彦などだ。その後、気づいたら男たちの眉毛は薄めとなり、ロン毛で波乗りを楽しんでいるニュアンスの男たち――若き日の木村拓哉や反町隆史などが「イケメン」と言われる時代になった。
前のほうがイケメン? マイナーチェンジで理解しがたい見た目になった国産車トップ5
現在は……あまりよく知らないのだが、細身で色白の中性的なタイプ(でもじつは細マッチョ)が、たぶん「イケメン」とされているのだろう。人間界におけるイケメンの基準がこのように変化してきたのと同様に、自動車界のイケメン基準もまた、時代時代に応じて変化してきた。
1990年代におけるイケメンCARの顔立ちは、総じて「バタ臭い感じ」だったと言えるはずだ。といっても、お若い読者各位には「バタ臭い」という単語の意味がわからないかもしれない。
ええとですね、バタ臭いというのは「ソース顔」のことです……などと1988年の流行語大賞・大衆賞を受賞した言葉を出したら、よりいっそう混乱するかも。えっと、バタ臭いというのは要するに「彫りが深い西洋人っぽい」ということです。「バターくさい」ということですね。
で、1990年代に人気を博し、人々から「なんかカッコいいじゃん!」と称賛されたクルマは、
ホンダ アコードワゴン(通称US和コードワゴン。1991年4月発売)
日産 ステージア(1996年10月発売)
三菱 ギャラン(1996年8月発売)
といったあたりだったろうか。
日産ステージアは尾崎紀世彦のようなこってりバター顔で、8代目の三菱ギャランもまあまあこってり。1991年のUSアコードは比較的さっぱり味だが、「北米開発、北米生産」という文字どおりのバター文化と風味に対し、当時の人々は憧れを抱いたのだ。今となっては、北米生産といわれても「……だからなに?」で終わってしまいそうだが。
2000年代前半は「遅そう」な外見がむしろ高評価に繋がった
だが2000年代に入ると、1988年の流行語でいうところの「しょうゆ顔」、すなわちバタ臭くないさっぱり系のフェイスが「カッコいい!」とされるようになってくる。
代表的なのは2002年に登場した2代目の日産キューブだ。
クルマというのは「なるべく速さが感じられるようなデザインにする」というのが定石だが、2代目キューブは「なるべく遅く見えるように」とデザインされた、ある意味パンクで革命的なクルマだった。そしてそれが見事に支持されたのが、2000年代の特徴といえるだろう。
2代目キューブと同じ2002年には初代ダイハツ コペンも登場。
その後2014年に登場した2代目のコペンは「速さ」を感じさせるデザインになったが、2002年の初代コペンは、どこかキューブにも通じるさっぱり顔と「遅そうな感じ」こそが美点であった。
さらにその後の2006年に誕生した三菱 i(アイ)も、2000年代ならではの「さっぱり顔こそ美しい」というムードを感じさせるデザインだったが、同年にはさっぱり顔とは対極にあるミツオカ オロチが登場したり、2004年にはひたすらバタ臭い顔をした初代日産 ムラーノが人気を博したりしている。
このあたりが、歴史やトレンドというものの「そう簡単にはまとめられませんよ」といった部分ではある。
存在感溢れる「オラオラ顔」がユーザーの心を鷲掴み
そして近世たる2010年代になると、今現在まで続く「オラオラ顔」のムーブメントが勃発しはじめる。「ド迫力のいかついオラオラ顔」こそがイケメンであるという解釈が――クルマ好きの各位は認めたくないだろうが――一般家庭の間では醸成されていったのだ。
きっかけは、2010年代を間近に控えた2008年5月に登場した初代トヨタ・ヴェルファイアだろう。
ヴェルファイアの姉妹車であるトヨタ・アルファードのほうはさほどのオラオラ顔ではなかったが、2代目アルファードと同時に誕生した初代ヴェルファイアは、ビッグなフロントグリルとド派手な二段構造のヘッドライトで、人々のヤンキーマインドを刺激。その結果として大ヒット作になった。
そして2015年に登場した3代目トヨタ・アルファードの銀歯のようなオラオラグリルが、お茶の間から高く評価されたことが(より正確には、2017年のマイナーチェンジ後のデザインが大人気となったことが)、近年の「オラオラ顔こそが正義」というトレンドを決定づけたといえる。
2021年後半以降の「クルマのイケメントレンド」がどうなるのかは、わからない。このままオラオラ路線が続くような気もするが、新型ヴェゼルや日産ノート オーラなど最新モデルの“顔”を見ると、若干ながら「洗練」という方向にシフトしているような気もしないではない。
だが、いずれにせよ、メジャーなトレンドを決めるのは自動車メディア人である筆者ではないし、これをお読みのカーマニア各位でもない。なんだかよくわからない「空気」のようなものが、いつだってそれを決めるのだ。カーマニアの知らないところで。
ところでファッション界の「今年のトレンドカラーは紫色!」みたいなのって、いったい誰が決めてるんでしょうね?
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