2021年F1第4戦スペインGPで、アルファロメオは大きな不運に見舞われた。決勝で極めて珍しいトラブルが立て続けに発生し、アントニオ・ジョビナッツィが入賞するチャンスを奪ったのだ。ひとつはタイヤ、もうひとつはFIAが提供するソフトウエアの問題だった。
1周目にジョビナッツィはチームメイトのキミ・ライコネンの後ろに落ちて、15番手になった。ライコネンは全ドライバー中唯一スタートタイヤにソフトを選ばず、ファーストスティントを長く取る戦略だった。アルファタウリ・ホンダの角田裕毅がリタイアし、8周目半ばにセーフティカーが出動。ジョビナッツィは、すぐさまピットに飛び込んだ。他と違う戦略で戦うチャンスが訪れたとその時思ったと、彼は言う。
18インチF1タイヤのテストにアルピーヌのクビアトが合流。アルファロメオは新ホイールカバーのテストも
「いずれにしても2回ストップで走る予定だったので、早々にピットインし、(スタートタイヤの)ソフトタイヤを捨ててしまうことができた。ソフトタイヤはあまり長くは持たないと分かっており、その後は、決勝用にとっておいた2セットのミディアムを使うつもりだった。決勝ではミディアムがベストタイヤだと思ったからね」
「ウイリアムズ2台とハース2台の後ろに下がることは予想していた。でも彼らのソフトタイヤがだめになったら、抜くのはさほど難しくないだろうと思った。そうすればまたキミの後ろに戻れる。2回目のピットストップをできるだけいいタイミングでやって、その後はチェッカーフラッグまでプッシュしていく。そういうプランだった」
「皆がピットに入る時期を迎えたら、僕は楽にポイント圏内に繰り上がるだろう。いいタイミングで2回目のピットストップをやれれば、トップ10圏内に残ることは可能だ」
「でもそういうシナリオにはならなかった。ピットでトラブルが発生したからだ」
ジョビナッツィのためにメカニックたちは新品ミディアムタイヤを用意していた。しかし彼がピットインしてマシンを停止させた時、左フロントタイヤ担当のメカニックが、自分のタイヤにデフレーション(空気が抜けること)が起きていることに気付いたのだ。彼は仲間のメカニックたちに合図し、他のセットを装着する必要があることを告げた。それによってジョビナッツィは30秒をロスし、その上ウイリアムズが1周後にダブルストップを行ったことで、状況が悪化した。
さらに悪いことに、FIAが提供するソフトウエアにより誤ったメッセージがダッシュに表示されたことによって、ジョビナッツィはレースが再開する前に隊列の最後尾に追いつくこともできなかった。
「ステアリングホイールのソフトウエアがセーフティカー後、うまく機能しなかった。バーチャル・セーフティカーの時のように、ずっと守るべきデルタを示し続けていたんだ」とジョビナッツィは説明する。
「そのために、レースが再開する前にスピードを上げて隊列の後ろにつくことができなかった。チームがなんとか問題を解決したのは、セーフティカー先導の最後のラップの終わり近かった。そのため、グリーンフラッグの時に、僕はまだ前のマシンより10秒遅れたところを走っていたんだ……」
ジョビナッツィはソフトからミディアムに換え、最後のスティントではソフトを履いて走り、15位でレースをフィニッシュした。
チームによると、タイヤに起きた問題の原因は、ガレージでバルブを傷つけてしまったことであり、ふたつめの問題については、FIAからの説明を待っているところだという。
「FIAに話をした。なぜこのようなトラブルが出たのか我々には理解できない」とチーフエンジニアのゼビ・プジョラーはコメントした。
「今の段階では彼らからの説明はまだない」
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