今年は日本にドアミラーが解禁されて40年目の年。それまでの日本車はいわゆるフェンダーミラーで、フロントタイヤの上あたりにニョッキリとミラーがはえていた。そんなフェンダーミラーが妙に似合った、昭和の傑作スポーツカーを5台紹介しよう。
文/藤田竜太、写真/マツダ、トヨタ、日産、いすゞ、ホンダ
ドアミラー解禁から40年! それでもフェンダーミラーじゃなきゃダメな国産スポーツ5選
■輸入車はOKなのに国産はダメだったドアミラー
今やトヨタのジャパンタクシーくらいしか見かけなくなったフェンダーミラー。実はちょうど40年前の1983年まで、国産車はフェンダーミラーしか認可されていなかった(輸入車のみ、1970年代後半から認められていた)。
「ドアミラーは視線の移動量が大きくて危険」というのが、当時の運輸省の言い分だったが、輸入車はOKで、国産車はNGというダブルスタンダードへの批判が高まり、1983年3月から、ドアミラーが全面解禁に。
それ以前のクルマは、スポーツカーといえどもすべてフェンダーミラーが標準だったわけだが、そんなフェンダーミラー時代の象徴的なマシンをここでピックアップしてみよう。
■マツダ RX-7(SA22C)
初代マツダ RX-7(SA22C)
マツダの初代RX-7、SA22Cは1978年のデビュー。リトラクタブル・ヘッドライトに、フロントミッドシップという本格的なスポーツカーで、デザインはマツダ車内の前田又三郎(RX-8のチーフデザイナーを務めた前田育男の実父)と、小野隆が担当。
リアシートの居住性を無視した明快なスタイリングで、空力性能も追求。コンパクトなロータリーエンジンならではの低いボンネットフードを実現し、初期型でも空気抵抗係数(Cd値)は0.36を誇った。
そんなSA22Cでも、後期型まではフェンダーミラー。1978年といえば、ちょうど第二次オイルショック。また昭和53年規制がはじまり一段と排ガス規制が厳しくなった時期と重なっている。
しかし、そんな逆風の中、SA22Cは130馬力のピュアスポーツとして登場(初期型はNAの12A型2ローターエンジン)。1982年のマイナーチェンジでターボモデル(165ps)が追加され、チューニングも一気に加速。
最高速御三家のひとつ、RE雨宮のRE雨宮フロンティアRX-7が、1985年1月にロータリー車としてはじめて300km/hの大台(307.42km/h)をマークしたが、ブルーとピンクに塗装されたこのブルピンSA22Cは、ドアミラー仕様だった……。
■トヨタ ソアラ(Z10)
初代ソアラ(Z10 )
日本の高級パーソナルクーペのパイオニアともいえる初代ソアラは1981年に発表された。
世界に通用する高級GTを目指していて、キャッチフレーズは「SUPER GRAN TURISMO」。
関西ペイントが開発した、圧倒的に明度が高いホワイト「スーパーホワイト」を身にまとい、はじめてCPUで本格的にエンジンを制御し、デジタル表示メーターやタッチコントロール式空調パネル、国産初の4輪ベンチレーテッドディスクブレーキなど、新技術をこれでもかと盛り込んだ、まさに新時代のクルマだった。
それを男性のクルマ好き以上に感じ取っていたのが、当時の若い女性で、ソアラに乗るだけで女の子にキャーキャー言われるデートカーの王者として君臨。
それほど注目を集めたソアラも、初期型はフェンダーミラーだった。にもかかわらず、Aピラーからルーフをプレス式のドアで覆うことでボディをフラット化し、Cd値は0.36と優れもの。
トヨタ2000GT以来のDOHC6気筒エンジン、5M-GEUは2.8リッターで、当時、国産最強の170psを発生した。
初代ソアラでは、トラストの大川光一がチューンした「大川ソアラ」が、外観ほぼノーマル、エアコン、パワステ付きで、はじめて300km/h(300.50km/h)をオーバーし、伝説になっている。ベースはマイナーチェンジ後のMZ12だったが、本革製のシートにオーディオまでついたストリート仕様!?
この大川ソアラも、すでにドアミラーになっていたが、初代ソアラはフェンダーミラーが似合うクルマだった。
■オーテック・ザガート・ステルビオ
オーテック ザガート ステルビオ
1980年代のクルマで、もっとも個性的なフェンダーといえば、オーテック・ザガート・ステルビオ!
スカイラインの父、櫻井眞一郎が立ち上げたオーテックジャパンが企画し、日産の2代目レパード(F31)をベースに、イタリアのカロッツェリア、ザガートがエクステリアとインテリアのデザインを担当。日伊合作のラグジュアリー・スポーツクーペとして、1989年に発表された。
その最大の特徴こそ、ボディと一体となった特殊なフェンダーミラー!
かなり好意的に見ても、あの部分だけ全体とのバランスがとれていないように思えるが、あれは櫻井眞一郎の強いリクエストで採用されたアイデアといわれている(当時のイタリアでは、乗用車のフェンダーミラーは皆無で、ザガートのスタッフは「フェンダーミラー」というオーダー自体にかなり戸惑ったという)。
良くも悪くも、あのミラーと車体価格の高さ(1870万円。アルミ製のボディはほぼハンドメイド)が、オーテック・ザガート・ステルビオのアイデンティティになったことは間違いない。
余談だが、ベースとなったレパードには、初代のF30型に世界初の「ワイパー付電動リモコン式フェンダーミラー」も用意されていた。
■いすゞ ピアッツァ(JR120/JR130)
初代いすゞ ピアッツア(JR120/JR130)
巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロ がデザインした、斬新な3ドアクーペとして脚光を浴びた初代ピアッツァは、日本のドアミラー規制と戦ったクルマとしても記憶されている。
ジウジアーロは、Assoシリーズの集大成として、ピアッツァの原型を1979年のジュネーヴショーにデザインカーとして出展。その細部をリファインしたのが1979年の東京モーターショーに出品され「いすゞX」で、それが1981年にピアッツァとして世に送り出された。
ジウジアーロはヨーロッパ車のセオリーどおり、ドアミラーを前提にデザインを描き上げたため、いすゞは市販化に向け、ドアミラーでの型式認定を当局と折衝し続けたが、運輸省側が折れることはなく、初期型はやむを得ずフェンダーミラーでデビュー。1983年のドアミラー解禁と同時に、ドアミラー仕様車が追加されたいきさつがある。
■ホンダ シティ(AA/VF)
初代ホンダ シティ(AA/VF)
「トールボーイ」と呼ばれる背が高く、ユニークでかわいらしいボディで人気を博した初代シティ。この初代シティも1981年11月の発売開始なので、フェンダーミラー時代のクルマだ。
背は高いのに、ボンネットはかなり前下がりだったため、そのフェンダーミラーのステーがかなり長かったところも、シティらしさが強調される部分でもあった。
シティには、ホンダ伝統のビッグボア・ショートストロークの高回転エンジンの真逆を行く、スモールボア・ロングストロークの燃焼効率の高いコンバックス(高密度速炎燃焼原理)エンジン=ERエンジンが搭載された。リッター20kmの燃費を誇るエコなエンジンで、シティはそれまでになかったスタイリングと使い勝手の良さ、高効率のエンジンで一大センセーションを巻き起こした。
ちなみにホンダの第二期F1では、1985年のウイリアムスFW10に積まれた、RA165Eエンジンから、シティのエンジンにならい、スモールボア・ロングストローク型にスイッチ。これをきっかけにF1でホンダの快進撃がはじまり、黄金期を築くことになっていく。
他にも、三菱のランタボや、日産のシルビア(S110)、トヨタのセリカ(初代)なども、フェンダーミラーのイメージが強いクルマだったが、デザイン的にも距離の測定の正確さでも(とくに運転席側)ドアミラーに利点があり、フェンダーミラーは廃れていった。
一方で、2016年から「カメラモニタリングシステム」(CMS)が解禁になったので、今後はドアミラーのカタチもどんどん変わっていき、やがて今のドアミラーすら「懐かしい……」といわれる時代が来るかもしれない……。
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みんなのコメント
アレでデザイナーのジウジアーロは激怒したと言うのに。