■販売店やユーザーからは惜しむ声もあるが「仕方ない」
日本独自の規格として軽自動車は、新車販売台数の約4割を占めるほどに成長していますが、一方で軽トラックの需要は減少傾向にあります。
そんななか、2021年4月にホンダの軽トラ「アクティ・トラック」が、44年の歴史に幕を下ろします。どのような経緯で生産終了となり、その後の対応はどうなるのでしょうか。
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アクティ・トラックは、ホンダ発の4輪自動車「T360」の血を引く名車で、1977年の初代モデルから40年以上に渡って製造・販売されてきました。
軽トラックでは唯一のミッドシップレイアウトを採用しており、一部のファンからは「農道のフェラーリ」や「農道のNSX」などと呼ばれ、愛されてきたモデルです。
そんなアクティ・トラックですが、2019年末に生産終了がアナウンスされ、当初は2021年6月に現行モデルが終了する予定でした。
しかし、販売店への取材でその予定が前倒しになることが判明、2021年4月をもって44年のモデルライフを終えるとのことです。
このようにメーカーが生産・販売を終了している背景には、軽トラック市場の縮小が関係しており、軽トラ市場のピークは1979年から1983年だといいます。
全国軽自動車協会連合会によれば、ピーク時の年間販売台数は約40万台から43万台でした。
しかし、昨今では農業規模の縮小による需要の減少を受けて販売台数は減り続けています。
直近の軽トラ市場は、2018年が18万5689台、2019年が18万2564台、2020年が17万5150台とピーク時と比べて半減しています。
撤退する理由として、ホンダは「新たに設けられる排出ガス規制をクリアしたり、義務化される衝突被害ブレーキに順次対応する開発費用をかけたりしても収益を望めない」ことを挙げています。
では、ホンダ4輪の源流ともいえるアクティ・トラックの生産終了への反応や、既存ユーザーの今後の対応などはどのようになっているのでしょうか。
現行のアクティ・トラックは4代目で、2009年に登場しました。先代となる3代目はセミキャブオーバータイプでしたが、2代目を彷彿とさせるフルキャブオーバータイプとなっています。
ホイールベースが先代に比べ短縮され、足元の空間を拡大。また、搭載エンジンは先代を踏襲しているものの、改良と軽量化により燃費は向上し、JC08モード燃費で16.2km/Lから18.4km/Lを発揮。全グレードで「平成22年度燃費基準+5%」を達成しています。
首都圏のホンダの販売店スタッフは、「積んでよし乗ってよし走ってよし、そんな機能性抜群モデルの生産終了には、商業利用ユーザーだけでなく一般ユーザーからも惜しむ声が寄せられています」と話しており、多くのファンがいるクルマであることは間違いありません。
では、4月の生産終了を目前として、現在の販売状況はどうなっているのでしょうか。前出のホンダ販売店スタッフは次のように話します。
「現在、アクティ・トラックは在庫分のみの販売となっていますが、当店ではMT車のみしか在庫がなく、AT車は既に完売しています。
また、MT車においても、すでに法人からの注文枠で埋まっており、一般の購入希望の人、数名にはキャンセル待ちをして頂いている状況です」
モデル末期とはいえど、商業利用の多い軽トラで順番待ちが起こっているといことが、アクティ・トラックの人気の高さを物語っています。
別の販売店スタッフも「生産終了のアナウンスがあってから一般ユーザーからの問い合わせはやや増えており、『記念に注文しておく』というお客さまもいました」と話しています。
※ ※ ※
なお、アクティには2018年7月まで商用バンとなる「アクティ・バン」が生産終了となり、後継として「N-VAN」がデビュー済みですが、アクティ・トラックの後継モデルに関するアナウンスはありません。
■「アクティ・トラック」、既存オーナーへの対応はどうなる?
現オーナー向けのサポートサービスについて、販売店スタッフは次のように話します。
「生産終了といってもすぐに部品などがなくなるということはないので、しばらくサポートは継続します。
しかし、軽トラは1台を長く使用される人が多いので、年数が経過していると短期間に複数箇所が同時に故障してしまうというケースも考えられます。
そうなると、保証期間外になっていたり、最悪の場合は部品が足りなくなることもあるかもしれません。
現在、すでに所有されている人で、購入から長い時間が経っている場合は、こまめなメンテナンスや点検をおすすめします」
今回ホンダが軽トラック市場から撤退することで、国内の軽トラはスズキ「キャリイ」とダイハツ「ハイゼット」の2車種を軸に、そしてそれらOEM車を残すのみとなりました。
海外でも人気の高い軽トラ市場の縮小に対しては、商業利用と一般利用だけでなく、年代という垣根を越えても惜しむ声が寄せられています。
実際にアクティ・トラックを所有する農家を営む男性は、次のように話します。
「RRレイアウトのスバル『サンバー』もOEM生産に切り替わり、次はミッドシップレイアウトのアクティ・トラック。各社の個性を活かした農道のアイドルたちが姿を消すのは悲しいことです」
※ ※ ※
近年のSUVブームにも見て取れるように、クルマにも「流行」があり、その渦中ではほとんどのメーカーが持てる技術のすべてを投入します。
その昔、戦後の国内産業を支え、人々の生活を背負い走り続けた軽トラですが、いつしか時代という流れに追い越されてしまったのでしょうか。
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みんなのコメント
100万以内で買えて、メンテナンスさえきちんとしてれば数十年持つでしょうし、そんなに買い替えをするものでもないですし。
スズキとダイハツさんには是非とも軽トラックを売り続けて欲しいです。