2018年のインディカー・シリーズ第14戦ポコノで大クラッシュを喫し脊椎損傷の怪我を負ったロバート・ウィケンスが、事故から3年と5カ月ぶりにレースに復帰することが発表された。
ポコノ・レースウェイで行われたレースに当時、シュミット・ピーターソンから参戦していたウィケンス。彼は7周目にライアン・ハンター-レイ(当時アンドレッティ・オートスポート)とサイド・バイ・サイドの状態で接触し、直後にスピン状態でハンター-レイの車体に乗り上げマシンごと空中に投げ出された。ウィケンスのマシンはそのままマシンはキャッチフェンスを直撃。空中で激しく回転する大クラッシュとなった。
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この事故によってウィケンスは腰から下が麻痺によって動かせなくなったが、不屈の精神でサーキットに戻ってくる。32歳のカナダ人ドライバーは今年、ブラインアン・ハータ・オートスポーツの一員として2022年のIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジにフル参戦し、同チームが走らせる33号車ヒュンダイ・エラントラN TCRをドライブすることが決まった。
IMSAが運営する耐久シリーズのひとつである同選手権は、1月27~30日に行われる第1戦デイトナで2022年シーズンが開幕する。シーズンカレンダーにはウィケンスにとって母国戦となる、カナディアンタイヤ・モータースポーツパーク(モスポート)での1戦も7月1~3日に予定されている。
ウィケンスは、6台体制となったブライアン・ハータ・オートスポーツのTCRラインアップの一部として最近指名された、同じカナダ人のマーク・ウィルキンスとクルマを共有する。これに先立ち、元インディカードライバーは2021年5月にミド・オハイオで同チームのヒュンダイ・ヴェロスターN TCRのステアリングを握り、事故以来初めてレーシングカーをドライブした。
テスト終了後、ウィケンスはコクピットに戻ったときに「たくさんの感情」があったと語り、モータースポーツへの復帰を望んでいると明かした。
「僕はこの瞬間のことを考え、夢見ながら多くの夜を過ごしてきた。ブラインアン・ハータ・オートスポーツのサポートによって、そのすべてが現実のものになりつつある」と彼は述べた。
「僕はあの事故以前よりも、ふたたび勝利のために戦うことに対してハングリーになっている。ブライアン・ハータ・オートスポーツのチームに溶け込み、ヒュンダイ・エラントラN TCRを初めて味わうことを本当に楽しみしているんだ」
■新設計のハンドコントロールシステムを使用
デイトナでの復帰戦を前に、ウィケンスは同じくデイトナで行われる“ロア・ビフォア・ロレックス24”でのプレシーズンテストで、エラントラN TCRの最初のラップをマークする予定だ。
なお、下半身不随の彼はマシンをハンドコントロールシステムを用いて操縦する。このシステムはブライアン・ハータ・オートスポーツのテクニカル・ディレクターであるデイビッド・ブラウンと、開発技術者のジョナサン・ゴームリーによって設計されたもの。
同システムは、指で引っ張る金属製のリングがクルマのブレーキペダルに接続され、スロットルとギア変更に用いるパドルもステアリングホイールに配置されている点が特徴だ。また、ウィケンスとマシンをシェアするウィルキンスが通常どおり足でスロットルとブレーキを操作するために、スイッチひとつでハンドコントロールを無効にすることができるようになっている。
「今日はチームとして、またロバート・ウィケンスのファンとして、私たちにとって記念すべき日だ」と語るのは、チーム代表のブライアン・ハータだ。
「我々はロバートのリハビリを見守り、彼の多くのファンとともに彼の決意と献身に驚嘆してきた」
「そんな彼が我々のヒュンダイ・エラントラN TCRで、プロのモータースポーツシーンに復帰することを発表できることは、本当に素晴らしいことだ」
「ヒュンダイの素晴らしいサポートと、ロバートが本来いるべき場所に戻るための道を築くのを手伝ってくれた彼らに感謝している」
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